- 本 ・マンガ (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063881912
作品紹介・あらすじ
明治三十六年、満洲へ「好太王碑」調査に訪れた安積亮。日露戦争が始まり社会が揺れる中、安積は四世紀末に神功皇后は朝鮮に渡っていたという夢を見る。日露戦争終結後に日本政府が朝鮮支配へと乗りだす中、安積は再び満洲で発掘調査をする。そこで古代日本と朝鮮の王家が繋がっていた証拠となる「七支刀」を発見した! 発見を表に出したくない追っ手から逃れて、安積は日本へ戻れるのか!? 安彦良和歴史ロマン、ここに完結!
感想・レビュー・書評
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かつて5巻までの感想を書いた時に「古代国家成立と近代国家の没落の始まりを描く本作は、著者の集大成なのかもしれない。」と指摘しておいた。あれから2年、ウソと事実、そしてホントかもしれないこと、それらを混ぜながら、マンガだから描ける安彦史観の続きは、いつの間にか完結していた。とりあえず、全体をみての感想を記しておこう。
海人族の末裔の帝大生安積、その妻で諏訪大社の神長の娘翠。あまりにも根拠薄くて白鳥庫吉に却下された安積の論文は「三韓出兵は、四世紀中頃であり、日本書紀神功記の編年は100年繰り下げられる」というものだった。安積は直に見たので自信持って書いたのだが、もちろんこれはマンガ的なウソである。「好太王碑は倭国が百済・新羅を臣民にした証拠だ」と解釈して韓国併合の手段に使おうとした内田良平。右翼の大陸拡張論。それと結びつく孫文の謀略。無政府主義の暴走。教科書に決して出ない日本近代史が展開される。
第8巻において、遂に安積たちは、奈良の石上神社七支刀の原刀を好太王碑側の王墓より見つける。それこそが、神功皇后と百済王との子供ができたことを祝い、中国王受け渡しの剣に新たに鋳造して文字を彫って倭国に渡したものだった。「日韓の王家が同祖であることがこれで証明できる。つまり、記紀以来の史観が一変する、ということは、日韓の『合併』は対等であるべしという世論を盤石のものにできる!」という大発見である。それができていれば、現代の反日も嫌韓もなかっただろう。もちろん、これはマンガ的なウソである。
しかし、いいのだ。この大長編の結論がそこに落ち着いたのだから。つまり、マンガ的な結論は出たのだから、終わり方が云々という批判はあるようだが、そんなことはどうでもいいことである。
2017年8月読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公に子供ができたら死亡フラグとなるのは虹色のトロツキーと同じですね。ラストはなんじゃそりゃ・・・ある意味斬新なオチですな
著者プロフィール
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