螺旋じかけの海(2) (アフタヌーンKC)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 72
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063882285

作品紹介・あらすじ

遺伝操作が産業として発達し、異種動物のキメラ体が生産される世界。遺伝操作を生業とする生体操作師・音喜多(おときた)の元に、様々な事情を抱えた者たちが訪れるーー。寿命が迫る異種キャリアが最後に残したいものはーー「花と揺れる嘘」。代々伝書鳩を操る異種キャリアたちの矜持――「金色を渡る鳩」。急遽「出荷」が決まった食用人魚の行く末はーー「人魚が融ける指」。3編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 身体の一部が獣化したキメラたちを利用しようとする悪人を返り討ちにする勧善懲悪ストーリーが主。人間の尊厳とか定義とか、自然に訴えてくる良質なエンタメ漫画。萌え要素はケモ少女よりも中年主人公かな。

    螺旋じかけの海ってタイトルが、DNAの詩的な言い換えみたいで綺麗。

  • 獣まじりの人間が存在する世界を描く良作。ギミックだけでなくそれを支える作画とネーム力がハンパないっすわ……

  • SF

  • 面白いわあ……ずるいわあ……

  • これもまた、「読ませる」漫画の一つ
    数えて覚えておく事も出来ぬほど歳を重ねてきたからか、それとも、私の漫画読みとしてのレベルが上がりつつあるのか、ここ最近は、シンプルに面白い作品だけでなく、この『螺旋じかけの海』のような深みのあるモノを読みたくなる
    漫画ってのは心のモヤモヤを取り除くために読むモノだ、少なくとも、私の中では
    この『螺旋じかけの海』は、単に澱を払うのではなく、その澱の正体は何なのか、を考えさせるキッカケをくれる
    『小林さんちのメイドラゴン』(クール教信者)や、『モンスター娘のいる日常』(オカヤド)のように、可愛い人外っ娘が出てくる作品も当然、好き。そこは誤魔化せない
    この『螺旋じかけの海』に、その手の可愛さがあるのか、と聞かれたら、「ない」と答えるしかない
    けど、イイ漫画であるのは確かなので、お勧めしたい
    ストーリーを展開させるのは、獣化が進んでしまっている人間
    だからこそ、「人間」とは何なのか、を改めて考えに耽りたくなる、読むと
    人間の定義とは、外見で決まるのか、性格で決まるのか、血筋で決められてしまうのか、環境で決められてしまうのか、それは分からない
    ただ、自分が何者であるか、を周りの意見に左右されず、芯を持っていれば道は閉ざされず、世界は狭まらない、と私は思った、読みながら
    キャラクターたちは様々な境遇に、己を置いている
    ストーリー的にスカッとするものはあるけれど、善と悪に分かりやすく、二分化されている訳ではなく、「人間らしい」者ばかりだ
    綺麗なトコも、汚いトコも、ごちゃごちゃに混ざり合っているのが人間なんだろう
    一度、読んだだけでは設定が突飛だと感じるかも知れないが、幾度も読んでいると、「こんな未来もありえるかもしれない」と背筋が寒くなる
    未来ってのは、良くも悪くも不確定。現在の行動一つで如何様にも変化するのだから、人が、人でないモノが混ざった人を、人扱いしない時代が来ても、何らおかしくない
    この朧な現実感こそが、『螺旋じかけの海』の強みなんだろう
    その魅力は、永田先生自身が、この作品、テーマと向き合っていなければ出ない
    目立ちこそしていないが、確実に注目されているはずだ、漫画を評価するプロに
    どの回も真面目に読みたくなるモノばかりだが、個人的に好きなのは、「花と揺れる嘘」だ。悲恋モノ、けど、哀しいラストではない。相手が大切だからこそ、隠したい自分がいて、終わりの刻が来るまで辛い嘘を吐き通そうとする。けど、それは結局、自分も相手も傷つけてしまう
    相手を想い合いすぎる男女の為に、何も出来ないからこそ、自分に出来るコトを全てやるオトの切ない心情がグッと来た
    好きな人と一緒に幸せになるのは難しく、そして、易しい
    この台詞を引用に選んだのは、オトのシブさが出ているからだ。多くの生と死、生き方と死に方を目の当りにしてきたオトだから、薄っぺらくないんだろう。いてくれるだけでいい、そんな人が人生で見つかるのは、男でも女でも最高だ。けど、それが思ったようにならないのが人生だ。だから、面白い

  • 世界観と、その重みがいい。婆ちゃんかっこいいな…!

  • 自分の寿命を悟り、自分の身体を切り売りして収入を得るキャリア。どんなことでもして力になりたい、治療を受けさせたいと願う存在。同じ時間を過ごせただけで、人生の時間を重ならせてくれてありがとう、とい言葉が重く。食用に開発した人魚に買い手がつかず、飼育していた飼育員が、いざ買い手がついた途端、一緒に逃亡を図る。心が通じ合ったと思えば、どうして食用に供することができよう、と。ただSFの設定だけど、どこまでが人間か、という線引きには考えさせられる。それが恣意的に運用されれば、人ではないから何をしてもいい、という世界になる可能性も秘め。

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著者プロフィール

四季賞2013年冬のコンテントで藤島康介特別賞受賞の後、
「アフタヌーン」2014年5月号に読み切り「虚ろ羽の飛ぶ海」でデビュー。
2015年10月に初の単行本となる『螺旋じかけの海』1巻を刊行。

「2016年 『螺旋じかけの海(2)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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