春と盆暗 (アフタヌーンKC)

著者 :
  • 講談社
3.73
  • (17)
  • (18)
  • (18)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 291
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・マンガ (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063882346

作品紹介・あらすじ

好きな子ができた。同じ職場の女の子。それも誰もが認める「いい人」キャラ。しかし僕は、彼女のとんでもない“頭の中”を知ってしまう!(『月面と眼窩』) 月刊『アフタヌーン』でデビューを飾った2017年最注目の新鋭、熊倉献(くまくら・こん)待望の初コミックス。さえない男子たちが予想外のドラマをつむぐ、4編の恋愛譚を収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 何だろうな、この漫画は・・・
    笑える訳でもない、泣けるわけでもない、イライラさせられる訳でもない、シュールやチープでもない
    でも、不思議と印象に残る
    あくまで、私個人の印象だけど、『アフタヌーン』らしい漫画だな、と思った
    漫画読みの「受け取る」能力を計られているような気はした、もちろん、気のせいに過ぎないんだろうけど
    面白いか、つまらないか、って評価は下せないけど、私は好きだな、うん。でなきゃ、レビューは書かない
    正直なトコをバラすと、てっきり、人間の男と人じゃないヒロインの恋愛モノだと思って買った、この『春と盆暗』は。恐らく、その勘違いがあったから、予想が裏切られた事で、より強く印象に残るんだろう
    ありふれた日常を、ちょっとズレた視点から、しっかり描いているな、熊倉先生
    恋愛のように思えるし、男と女の友情のようにも感じる、いうなれば、シャボン玉に反射する光のような作品だ
    うわー、久しぶりに、自分でも「拙い」と恥ずかしくなるレビューを書いちまった。これ、熊倉先生の目に留まりでもしたら、切腹もんだわ
    けど、誰かに「気になるな」と思わせて、書店で買って貰えれば、感想書きとしちゃ嬉しい限りだし、熊倉先生にも顔向けできるかねぇ
    どの話も予想外の方向から衝撃が来るものばかりだが、個人的にオススメしたいのは、|第4話|甘党たちの荒野、だ
    ホシノの「早送り」衝動は、何となく理解できる。命も物も全てが滅亡し、更地になった世界に、自分だけがポツンと独りだけ、って想像は誰でもしたことがあるだろう。楽しい、とかではなく、心の安らぎにはなる、凄ぇ寂しいけど
    そんな現実逃避に終止符を打つのではなく、新たな変化を齎したのは、一人の女性との出会いと、お菓子作り
    ストレートではなく、カーブ、いや、シュート気味なラブコメだった
    この台詞を引用に選んだのは、熊倉献って漫画家を感じ取ったので。しみじみ、キャラってのは漫画家の分身、台詞は魂の叫びだな、と思った。モヤモヤした時の解消法は人それぞれ。標識を月面にブン投げるのもアリだし、自転車でぶっ倒れるほどキツい坂を3連続で登るのも、漫画を一気に読むのもアリ。ナシなのは、モヤモヤを他人へぶつけて傷つける事だけだ

  • 2年前に購入せずに読んで、こう書いた。

    「月面と眼窩」
    バイト先のにこやかな女性は、手をぐーぱーぐーぱー。もやもやしたときは月面を思い浮かべて思い切り道路標識を投げる想像をしている。そこにクリームパンを。

    「水中都市と中央線」
    ネカフェにいつも別の男連れでくる女性は、名前が中央線からとられている。金魚みたいに息をぱくぱく。

    「仙人掌使いの弟子」
    憧れのお姉さんは恐竜好き、仙人掌好き。ティラノと呼ばれいじめられているクラスメイトの絵を、アロサウルスじゃんと気づいてあげられる。ツツジって首ちょんぱすると七味唐辛子の味がすんだよね。

    「甘党たちの荒野」
    目の前の風景が時間を早送りすることで荒廃するのが見える、という話を聞いて、じゃあ巻き戻しできないんですかね、と声をかけてきた女性。好きなお菓子の原材料が知りたい、と。お菓子作りを教えてもらう。少年漫画好きで、嬉しくなると殴ってしまう。

    「二足獣」
    自己紹介作文で突飛な内容を発表したクラスメイトを忘れられない。……かなり好きな世界観。いつか本を購入する。

    読みながら、2年前の感想を思い返せるくらいに、憶えていた。
    やはり傑作!
    ただの薄い不思議ちゃんではなく、ほんとうにこういう人がいそうだと思わせてくれる。
    要はこのいびつさがいいんだな、そして男女が凸凹コンビになるという優しさ。

  • 揶揄する文脈で使われがちな、「ビレバンにおかれてそう」というセンテンスを最大限の賛辞として送りたくなるような漫画。突拍子もつかない発想を、アイデアでもって成立させる手際が鮮やか。早送り↔️巻き戻しの概念の作劇的な誇張によって展開する話にしびれる。お菓子作り、少年マンガ、SF、モチーフの抽出と様々な要素がごったになりながら渋滞しない整理され抑制された作劇の鮮烈さは、センスの一言でもってしか形容できない。それでいて超実力派作家だとも思わされる。

  • 恋愛の話なんだか哲学的なんだか与田話なんだか、とにかく不思議で癖のある話が4編とおまけ。どのお話にも変わった考えを持った人がいて、その人の話を聞いてるだけでも面白い。そこから恋愛に結びつきそうなとこは単に偏屈にならずポップになっていて読みやすかったです。かと思えば深い意味があるのか、特に意味はないのかはわからないけど、その曖昧な感じというか間をとっているようなとこはシュールだし、何だか変わった恋愛漫画な印象で面白かった。変な人の頭の中を覗けてるようで好き。

  • いやー。 

    この短編集もとても良かった。
    どのストーリーも最&高!だったのですが・・・特に第1話”月面と眼窩”と第4話”甘党たちの荒野”が大好き。

    このじっくりと心に沁み込むような恋模様がなんだかLove Itなんだよなー。


     明日、また読み返して読んでみよう。

  • とてもよい。なんか、端的に良い。

  • もやもやすると想像の中で月面に道路標識を思い切り投げつける子。時折水面から顔を出して呼吸する魚のように息苦しく感じ、目の前に水中都市を現前させる、中央線の駅名を偽名に使う子。美味しいお菓子の解明に血道をあげ、嬉しくなると相手の肩を殴る子。サボテンとコーヒーが好きで、少年たちに空想を吹きこんで楽しむ子。ちょっと不思議な子たちに心惹かれて、片思いする少年・青年たちを描く短編集。一読、ちょっと飛躍多くて、どういうことだろう…と気になり、造形も突飛で、心に引っ掛かり、二読、三読してしまった。少しずつ、距離が縮まり行く過程もまた見てて愉しい。

  • 短編4つ+おまけの後日譚1つ。結論に導いてくれるわけではなく、フッと手を放されるように終わるけど、でもなんだかまだそばに居るようなお話しで、どれも読後感がとてもいい。
    『ブランクスペース』から遡ってきたけど、この作家さんすごく好き。

  • 好きです。

    恋物語には違いないですが、もっと素朴で純粋なものを描かれたように思えました。
    「気になるあの子」という感じでしょうか。

    他人とは違う世界が見えているような彼女たちの言動。
    正直よくわからない妄想だったりするのですが、その詩的かつ視的な表現がとても魅力的で、現実との落としどころがお上手でした。

    そんな不思議の断片に触れつつ、現実と虚構を行ったり来たりしながら。作者の頭の中にはいったいどのような妄想が広がっているのか。私もまた6人目のヒロインに惹かれた男子でした。

    それは興味であり、好奇であり
    あるいは「気になるあの子」なのです。

    この作品が独創的な表現を含みながらもシンパシーを感じられたのは、読み手の私が同じ感覚を味わっていたからかもしれません。

    それが初々しい男女であったなら。
    微笑ましいドラマに仕上がるのですね。

    以上、私なりに巻き戻してみました。

  • 特別展開がおもしろいわけでも、じーんと感動するわけでもない。ただ、こういう出会い方をしても人はちゃんと人と繋がることができるんだろうなと思った。
    「甘党たちの荒野」が特によかった。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

アフタヌーン四季賞「2012年夏のコンテスト」で佳作受賞。
2014年、「good!アフタヌーン」5号に読み切り『盤上兄弟』が掲載されデビュー。今作が初連載。

「2017年 『春と盆暗』 で使われていた紹介文から引用しています。」

熊倉献の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
志村 貴子
スケラッコ
町田 洋
なかとかくみこ
中村 明日美子
panpanya
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする
×