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本 ・マンガ (208ページ) / ISBN・EAN: 9784063883114
作品紹介・あらすじ
【風疹編】先天性白内障という視力の発達障害と、心臓の壁に穴がある心室中隔欠損という障害を持っている女の子。その原因は先天性風疹症候群。先進国では日本だけで流行っている風疹。それはワクチン接種率が低いからだ。その他【救急救命編】【夫のDV編】完全収録。
感想・レビュー・書評
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産科を舞台に妊娠出産にまつわるドラマを圧倒的なリアリティを持って描く人気シリーズの第4巻。TVドラマ化もされ、こちらもなかなか見ごたえがある傑作でした。
この巻には、「救急救命<後編>」「夫のDV」「風疹」の3編が掲載されています。
前巻の妊娠中の海外旅行や喫煙についても同様ですが、「コウノドリ」には、妊娠・出産に関する啓発的な内容が、科学的な裏付けと圧倒的な現場感から生ずるリアリティを伴って説教臭くならないように織り込まれています。
この第4巻の「風疹」エピソードは、2015年のドラマ放映時に話題になり、さらに2018年秋に風疹が大流行したときはこのエピソードを講談社が無料でWeb公開したことがあったもので、正確であり、また「注射1本で防げる悔しい障害です」という取材元の先生の気持ちが反映されている、そんな貴重な一編です。
1979年4月1日以前に生まれた男性が、この漫画を読んだだけで、自費で、平日に休みを取って、風疹の予防接種に行くと期待するのは正直楽観的過ぎるでしょうけれど、何か仕組みができたときに、予防接種を決意する最後の一押しには十分なるのではないでしょうか。たくさんの人に読まれるといいなと思います。
そして、前巻から救急の加瀬先生が登場して、医療モノのエンターテインメントとしてのクオリティがいっそう上がりました。「4分…いや 3分以内に赤ん坊を取り上げろ」「四宮、滅菌手袋2枚重ねろ」「時間がない」「ここで帝王切開する」「ああ」なんてやりとり、見ただけでテンション激上がりです。内容の重たさはともかく、やっぱり救急・外科手術は医療モノの華だと思います。
以下、各エピソードに一言ずつ。
「救急救命<後編>」
前巻を受けたエピソード。救急救命の緊迫したやりとりからページをめくる手が止まりません。あの四宮先生が「こんなに頑張った妊婦 放って行けるか…」と返すところまで、ひたすら胸熱。
でも、それだけではありません。妻を取るのか、赤ちゃんを取るのかの決断を迫られるお父さんの心境、そんなお父さんを1ヶ月健診で見かけて、産科医は「頑張ってください」と声をかけることしかできない無力さを改めて感じるサクラ先生、そのサクラ先生に対するお父さんの「ありがとうございました」の一言と、その言葉に救われたサクラ先生の笑顔。
どこを読んでも、隅々にまで人間ドラマの面白さが詰まった珠玉のエピソードです。
そう言えば、TVドラマではお父さんのその後―父子家庭で、フルタイムで働きながら娘の育児をし、パタハラに悩まされている―が取り上げられていました。奇跡のあとに待っている日常をきちんと掬い上げるのはとてもフェアだと思います。
「夫のDV」
人間関係を捨て、安定した収入を捨て、家も捨ててシェルターに逃げ込む。読者としては一安心ですが、被害者が逃げなければならない…というか、社会から消えなければならない仕組みに釈然としないものを感じます。
それどころか、そこまでして逃げたのに、被害者の住所をお役所が加害者に漏らしたという報道を見かけることもまれではありません。
このエピソードのような夫婦間のDVだとか、児童虐待だとか、中高年引きこもりだとか、家族間のことだから、家庭内のことだからといって、そこに司直の手を入れることに躊躇している時間はもうないのかもしれません。
「風疹」
上に書いたように、啓発的な内容にもかかわらずあまり説教臭くないのは、取材元の先生の思いが強く、それをきちんとサクラ先生に語らせたこと、そしてハルカちゃんとベイビーの連弾というエピソードを盛り込んだことによるものだと思います。
Webでの無料公開は終わってしまったようですが、試し読みも兼ねて続けて欲しいなあ。どうですか、講談社さん。 -
大変さが分かる。男性の諸君は読むべし。
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DVのお話は、コウノドリの中でも1番なんじゃないかと思う読後感の悪さ
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だいたい泣いてします話しがある。
著者プロフィール
鈴ノ木ユウの作品





