ファンタジウム(9) (モーニングKC)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 69
感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063884944

作品紹介・あらすじ

「『ファンタジウム』を読むといつも泣いてしまいます。暖かい涙。良くんと北條の出会い、そこから全てが生まれたんだよなーって(遠い目)。人生には良き理解者が絶対に必要なんです。2人の船出に乾杯!」(アニメーション監督・コバヤシオサム)。モーニング・ツーから週刊Dモーニングに連載の舞台を移した人気連載『ファンタジウム』。8年にわたってつむがれた物語の最終巻が発売。作者・杉本亜未のおまけ漫画もついてます。

感想・レビュー・書評

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  • 読了!!泣いた…と言うより勝手に目じりから涙が流れていた。人は否応なく感動する生き物、情動を殺してしまう事は出来ない。だからこそ辛いと言う感情も抱く、それと同じ様に喜びも感じてしまうんだ…どちらも同じものだったんだなぁ… ずっと「白」か「黒」かの判断が出来る事が自分の性格だと思っていた。「灰色」の世界に抗っていた。恐らく今でもそうだろう、時と場合によっては「黒」「白」が最良の選択である場合があると思っている。「灰色」はうやむやにする事だと思っている。ただ「人間」をそれで分けるのは止めようと思った。ただ「そうなんだな」と在りのまま見るだけでいいんだ、と思おう。
    この作品が「大人になってもマジックで喜びを与え続けている長見良と言う青年」で終わらなかった、良くんは常に「現在進行形」であり、出来る事、自分が一番したい事に向かっていく事、それが読者に伝わり、嬉しくて泣けてしまった。この作品は広く長く読み継がれて欲しい漫画の一つ。現実がいつになっても生き辛いと感じるのは何故だろう…って思っている人には読んで欲しい杉本亜未さんの『ファンタジウム』。ハンデがあるから、逆境にあるから色々考えられるんだ、と言うのも現実的な考えかもしれない。順風満帆なり、現代社会で普通に生きていけているから考える必要がない、と言うのは「逆に人生損してるかも」と言う結論の達するのもいいかもしれんが、そんな事より良くんに触れることが喜びになる漫画。
    杉本亜未さんの他作品を読み返したくなった。JUNEで描かれていた作品なども振り返りたい。2015年は殆どBLを読んでない。こう言うのも、漫画と言うカテゴリーの中でBLだけを特別扱いしていた証拠だろう。何故BLを読んでいたか、何故読みたいと思えなくなったのか。それには様々な理由が重なり、正解は一つではなかった。一番大きな原因はBLしか読まない人間と直に振れた事だろう。読まなくなった訳じゃなく、その人の様を見て、BLを好きでい続けようと思い込む必要はないのでは?と気付いてしまったから。私は「漫画」が好きなのであり、「小説」が好きなのである。「物語」が好きなのである。そして、「物語」を現実逃避の手段にしてない、と言う事にも気付いてしまった。どうしようもなく情動が揺さぶられる事、良くんが言う様に「それでも私は感動する」なのだ。感動をもたらすものとしてBLにしがみつくのを止めた、と言う事。メンタルケアを受けていると、辛い現実は「去らない」と言う事実を突きつけられる。ただの現実逃避では追いつかない。それでも感動する、それがBLである必要がなくなっただけだ。現実を忘れる為に読むのではなく、現実に戻るエネルギーをチャージさせて貰う為に読む。フィクションの世界にリアルな自分は絶対に入ってはいけないが、入れない分、リアルに応用できる知恵を貰う。恋愛の在り様だけを描いているBLは読めなくなっただけだ。恋愛も人間関係の一部でしかない。恋愛体質では全くない自分が何故BLを読んでいたのか、それは人間関係を学びたいためだったんだろう。皮肉な事に現実で人間関係に破たんを来す事で「感動はどこからやってくるのか」やっと気づいたのかも。

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著者プロフィール

代表作に『アニマルX』シリーズ、『独裁者グラナダ』、『アマイタマシイ』『ファンタジウム』など。公式ツイッターのアカウントは、https://twitter.com/SugimotoAmiInfo

「2015年 『ファンタジウム(9)<完>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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