- Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063885750
作品紹介・あらすじ
【逆子】聖ペルソナ総合医療センターの産婦人科にやってきた仲間は、倉崎エミ。研修医だった頃に鴻鳥と四宮がよく世話をしていた人物。出産を終えたばかりだったが、彼女は「大丈夫です」の一点張り。何やら込み入った家庭事情があるようだが……。他シリーズ【腎盂腎炎】【子宮頸がん〈前編〉】を収録!!
感想・レビュー・書評
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テレビドラマ化もされた人気シリーズの第13巻。ドラマ第1期の放映が終わってからの刊行ですが、熱さはそのままに新展開に向かっています。
「ペルソナ総合医療センター」の産科を中心に、妊娠出産、赤ちゃんとお母さんを巡る悲喜劇と、主人公サクラ先生を中心とした群像劇が、綿密な取材に基づく圧倒的なリアリティと現場感を伴って語られます。
そんな中、第1話からずっと出演していたサブキャラ、下屋先生が転科により退場し、代わって研修医の赤西ゴロー先生にかなりスポットライトが当たり、そして細身で清楚で儚げな美人、27週で早産をして1ヶ月、離婚したてのシングルマザー、赤ちゃんは離婚した旦那が新生児科をやっているNICUにいて、友達のいないメタル女という個性てんこ盛りの倉崎エミ先生が新登場しました。
群像劇ですから連載を続けていけばこの先もキャラクターは際限なく増えていくことでしょう。一人ひとりの掘り下げは上手にされていますが、下屋先生は存在が当たり前になっていた分、あまり掘り下げられることなく退場してしまいました。産科復帰を心待ちにしています。
この巻には「逆子」「腎盂腎炎」「子宮頸がん〈前編〉」が掲載されています。
特筆すべきは、子宮頸がんを取り上げたところ。この本が刊行された2015~2016年頃は、子宮頸がんワクチンの積極的な接種勧奨が中止され、副作用に関する集団訴訟が提起されようとしていた頃です。無責任なマスコミ報道が「薬害」一色に染まる中、子宮頸がんとHPVワクチン接種について、きちんと取材して科学的裏づけのある情報を、両論併記であるものの冷静に取り上げています。雰囲気だけで一斉に反ワクチンに飛びついたマスコミやら、福島の風評被害の拡散に一役買った美○しんぼやらと大違いです。
以下、各エピソードに一言ずつ。
「逆子」
新レギュラー、倉崎先生登場回。あと、逆子についての啓発回でもあります。
かつてペルソナで研修医をしていた倉崎先生が下屋先生の代わりにやってきました。細身で清楚で儚げな美人で、サクラ先生、四宮先生、小松さんとは知り合いの様子。
27週で早産してから6週間、さらに離婚してシングルマザーという事情があるようで、なるべく無理はしないほうがいいよと心配するサクラ先生に対してなぜか大丈夫です、当直もオンコールもします、と頑なな様子。
この時点では倉崎先生がなぜそこまで頑ななのかは明かされていません。でも、逆子を心配するお母さんの中込さんに「一生懸命になりすぎて無理をするので」敢えての塩対応をしているようなのに、自分が一生懸命になりすぎて無理をしていることには無自覚です。
それが、サクラ先生や小松さんと一緒に仕事をするうちに、やや解けてきます。決め手は何だろう、サクラ先生と手の大きさを比べて女性であることを思い出したからかもしれません。
ラストでは中込さんに柔らかい表情と寄り添う言葉を向けていて、読んでいる方としても一安心。
「腎盂腎炎」
引き続き倉崎先生回。
サクラ先生、四宮先生と倉崎先生の出会い、倉崎先生の離婚の事情が語られます。
友達同士キャッキャ言いながら点滴(ルート)をとる練習をするのは医者あるあるなのでしょうか。
身の回りの事情を話すにつけ頑なさは和らいだものの、早い現場復帰を目指してまだ無理を続けようとする倉崎先生に、ツンデレ四宮先生の「だからそんなに張り切らなくていいぞ」に加えてサクラ先生も「「私が無理をするので大丈夫」って聞こえるけどな」と続けます。無理をすることは美徳じゃないんだよ、と。
ペルソナの産科には四宮先生、ゴロー先生の2人の産科医の子がいます。自分の経験から、四宮先生なりに倉崎先生のことを心配しているのでしょう。ゴロー先生の子ども時代のエピソードはかつて9巻で語られています。四宮先生もきっと同じような想いをしてきたのでしょう。ちなみに、倉崎先生の娘のユリカちゃんと四宮先生のエピソードは後に出てきます。
…と、このあたりまで書いて思いました。
何で粗筋書いてるんだろ…?
これまでのレビューはほとんど、共感が大きなポイントでした。実際に自分たちが経験したこと、噂だったり、友達の経験談だったり、健診やパパママ教室で聞いた話だったり。
倉崎先生のエピソードは、女性が、母親が産科医として働き続けることに焦点が当てられています。倉崎先生の強烈なキャラクターと、四宮先生のツンデレっぷりで楽しく読めますし、母親として、NICUに赤ちゃんを預けてまで産科医を続けることに粛然とした気持ちになりますが、少なくとも、共感できるかという観点では他のエピソードに一歩譲ります。
ただ、登場人物が非常に多く、一人ひとりのキャラクターが立っている中に途中から新キャラを参加させるのですから、これくらい掘り下げる必要があるのは必然なのかもしれません。実際、この後も倉崎先生は娘のユリカちゃんを含めしっかりペルソナに馴染んでいますし…。
「子宮頸がん<前編>」
過去、1976年4月、サクラ先生のお母さんの幸子さんががん宣告を受けるところから始まるエピソード。
妊娠中に子宮頸がんが判明した幸子さんは自分の治療よりお腹の中の赤ちゃんを無事産むことを優先します。
そして現在。
市川さん夫婦はどこにでもいそうな共働きの仲良しカップル。上司で先輩だったはずのマイさんと結婚したテッちゃんは、空回り気味ながらも妊娠出産に協力的です。
マイさんは妊娠12週の妊婦健診のときに子宮頸がん検診を受けたのですが、結果は前がん状態か初期のがんの可能性があると告げられてしまいました。
再検査、さらに円錐切除へと進むマイさん。
平行して語られる、マイさん同様、妊娠中に子宮頸がんと診断された幸子さんと養護施設でのサクラ先生のエピソード。
緊張感の中で第14巻へ続きます。
【追記 2010/10/02】
「みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」(https://minpapi.jp/)の活動に合わせ、子宮頸がんのエピソードが(1週間限定だそうですが)無料公開されています。
(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75775)
反ワクチンを煽るだけ煽って後は知らん顔のマスコミより漫画のほうがよほど真摯です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読めば読むほど、本当にこの漫画は素晴らしい。
自分が出産した時のことを思い出す。
この本がドラマ化されたのは確か出産直後だったが、ここまで読んでみてやはりあの時ドラマを見てなくてよかったなと思った。
刺激が強すぎるし、子育ても不安の中やっていたのでメンタルをやられていたと思う。
逆に言えばそれだけリアルなことを描いているということ、妊娠なんて男はしないからわからないという世の男性たちは正座してぜひ全巻読んでほしい。 -
【推薦者】
体育学部 健康学科教員 三瓶 舞紀子
【学生へのメッセージ】
COVID-19流行下では、「10代の妊娠」「望まない妊娠」「貧困」の問題がよりクローズアップされました。産婦人科医&謎のピアニストでもある主人公が、様々な妊婦のお産に向き合います。この漫画に登場する様々な生命から、子どもたちを育てる社会の責任とは何か、全ての学生と特に教員を目指す学生にお薦めします。
▼配架・貸出状況
https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00539355 -
子宮頸がん前編、よくぞ取り上げられました。
よく練られたストーリーです。 -
サクラ先生の生まれ、育ちが少し明らかになる。ピアニストと医者になる、どちらも叶えることの裏には、辛いこと、そして勇気、希望外苑前あるのだということ
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新しいメンバー登場。女性の方が産科で働くということ、いや、それ以外の医師、それ以前にほかの仕事でもそうだけど、やはり大変だなと感じた。
また、子宮頸がんの怖さ。わからないまま進行していることもある。定期的に診断を受けるべきだけど、日本では若い子たちの定着は低い…。これだけじゃなく、やはり身近で感じたりしないと、動こうって気持ちにはなれない。
この漫画を通して、行く気持ちになった人は多いだろう。 -
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