もののけ◇しぇありんぐ(3) (KCデラックス)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063931549

作品紹介・あらすじ

女子高生と妖怪娘のギュウギュウ共同生活、まさかの解散危機!? 新居も完成し、順風満帆なヤタ達のところへ妖怪世界の偉い人・般若の智慧姫がシェアハウスを解散しろ、と乗り込んで来た!! そこには、人間と妖怪の根深い問題が絡んでいて‥‥。笑いとエロと涙、+ちょいシリアスでお届けする第3巻!!

感想・レビュー・書評

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  • やはり、クール教信者先生の作品は、朝から読むと、元気にさせてくれるなぁ
    いや、そういう、変な意味合いではない元気なので、誤解なさらぬよう・・・まぁ、正直なとこを言えば、反応はしちゃう。若い男なら、仕方ないですよね
    『俺の彼女になにかようかい』や『奇異太郎の妖怪絵日記』のように、美少女ないしは美人の妖怪っ娘が登場する、また、人間と妖怪が共同生活ないしは共存を図っているって設定が同じなのが、この『もののけしぇありんぐ』
    個人的な漫画の好みでは、ぶっちぎりの一位。もちろん、他の二作品には、この作品にはない好さがあるので、魅力を語る事は出来る
    どこが他の二作品に勝ってるのか、そう、他の漫画読みに尋ねられたら、ストーリーのシリアスさである、と私は答える。まぁ、エロさがあるってのも理由だが、そこは一先ず、脇に置いておきたい
    人間だって、赤の他人と一緒に暮らしていれば、問題が次から次に起こる。何せ、家族とだって、些細なキッカケでギスギスとした空気が広がり、下手をすれば修復不可能な亀裂が入ってしまうのだから。もちろん、家族だからこそ、力を合わせれば直せる時もある、今、差し迫った問題に悩んでいない私の薄っぺらい理想論かもしれないが
    その気になれば、妖怪は人を簡単に害せる、恐ろしい存在だ。けれど、妖怪もまた、人を恐れている。何せ、数が違うし、人間もまた、強くなっているのだから
    そんな異種族が互いの良い所も悪い所も、同じ屋根の下で暮らし、見合っていく事で、ちょっとずつ相手の事情を知っていき、各々に居心地のいい環境を作っていく、その現実性が私好みなのだ
    この(3)では、(2)とは違った意味合いで、シェアハウス存続の危機が、ヤタ達を襲ってくる。当然、ヤタ達がそれに屈するわけがないので、シェアハウスを解体したい、智慧姫と戦う事になった
    5vs5の真剣勝負、少年漫画的にならず、とことん、自分らしさを出してくるのがクール教信者先生
    クロとよーこはコミカル、ユキとミズチはシリアス、と勝負の内容の切り替えが実に上手く、読み手は惹きつけられていく
    妖怪にも家族があり、その仲が良好って訳でもないようだ。互いを強く想うが故に気持ちが擦れ違ってしまう事もあるし、血統などの事情から周りの大人が諍いを助長する事もある
    だからこそ、自分の本音を戦いの中でブチ撒け、相手の素を知り、自分の芯を知ってもらう事で、姉妹の修復の兆しが見えた
    二勝二敗の戦況で迎えた最終戦、そこにエントリーしたのは、この『もののけしゃありんぐ』内で、シンプルに最強なモミ様・・・・・・ではなく、虚弱貧弱無知無能たる人の娘たるヤタ。長命ゆえに、あらゆる善悪を目の当りにしてきた聡いモミの指名を受諾し、ヤタは妖怪の元締めの一角たる智慧姫と相撲で勝負
    常識的に考えれば、馬力が違う妖怪相手に、単純な力の勝負となる相撲は不利どころか死亡フラグが、ケーキをグチャグチャにするレベルで立つ。『火ノ丸相撲』のような熱い展開にならないのは火を見るより明らかだ
    それでも、ヤタは自分の居場所を守りたいから、危険を承知で土俵に上がる
    しかし、この相撲勝負、誰もが予想もしていなかった、いや、モミと管理人さんだけはこうなると分かっていた展開となった
    ヤタが智慧姫に勝ってしまったのだ。何故、妖怪が人間に相撲で敗したか
    妖怪は変わっていくモノ、人間と同じように。ヒトを知るべく、ヒトに近い姿を得ていった。変化は決して悪い事じゃない。だが、長い永い時間が流れ、代を重ねていく事で、予期せぬ変化が起きる事はある
    智慧姫の一族に起こった変化、それは人間に近づいていったコト、つまり、妖怪としての力の弱体化。つまり、種族としては妖怪だけど、権限があるのみで、スペックとしては、あのヤタにすら負けてしまうほどなのだ
    ずっと、彼女は怖がっていた、周りの妖怪に自分が弱い事実がバレる事を、これまでの冷徹な対処で煽ってきた怒りを暴力という形でぶつけられる事を、そして、必死な努力をしている自分がちっぽけなプライドに縋っているだけの空っぽでちっぽけな弱虫である事を
    モミが智慧姫は己に酷似していると指摘した理由を、ようやく察したヤタ
    そんな彼女が智慧姫に対して取った行動、それは・・・・・・おっと、これ以上は語れない。騙りがたりな私も、この程度の領分は弁えている
    グッと来たオチを感想に書いてしまったら、クール教信者作品の最強ヒロイン勢に囲まれてしまいそうだ
    しかし、私がクール教信者先生の作品に惹かれる理由、それは、シリアスな展開でもハッピーエンドにしてくれるトコ、とだけは言っておきたい、ファンの矜持で
    あと、どこのコマとは言わないけど、他の少年漫画のパロっぽい事をしてくれる点も好きだ。それ、言っちゃうか、とコッチの背が寒くなった、あのコマは。でも、クール教信者先生は、あの作品を嫌ってるわけじゃなく、そこをズバッと指摘できるくらい、ちゃんと読み込んでるんだろうな
    この台詞を引用に選んだのは、ヤタもまた、妖怪に感化され、変わってきているんだな、と感じたので。自分と同じ苦しみを抱えて、必死に抗い、全力で立ち向かっている相手を守ってやりたい、そう思うのは人間ならば当たり前の感情。彼女は、自分に「当たり前」が欠けている、と思っている。確かに足りないトコはあるだろう。けど、それはヤタに限った事じゃない。誰だって、全部が足りてる訳じゃない。その欠けている部分は埋められるのだ、誰かと関わり、絆を築く事で

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著者プロフィール

多数の作家を輩出している漫画投稿サイト「新都社」にて、『ピーチボーイリバーサイド』を始め数多くの作品を発表。2012年に『小森さんは断れない!』で商業誌デビュー。その他に『旦那が何を言っているかわからない件』『小林さんちのメイドラゴン』『おじょじょじょ』『チチチチ』など多くの著作がある。

「2023年 『ピーチボーイリバーサイド(13)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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