- Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063951165
作品紹介・あらすじ
ボードレールを愛する少年、春日高男。ある日、彼は、放課後の教室に落ちていた、大好きな佐伯奈々子の体操着を、思わず盗ってしまう。それを、嫌われ者の少女・仲村佐和に見られていたことが発覚!! 盗んだことをバラされたくない春日に、彼女が求めた“契約”とは‥‥!?
常磐と生きていくため、仲村に会いに行くと決めた春日。海沿いの町で穏やかに暮らす仲村と、春日は3年半ぶりの再会を果たす。夏祭りの日、あの瞬間まで春日は信じていた。仲村と二人“クソムシの海”から抜け出すのだと‥‥。それは、ずっと春日の心を過去に縛り付けていた疑問。かつて二人で見た夕焼けと同じ空の下、春日はあの時、自分を突き飛ばした理由を仲村に問いかけるが‥‥!?
感想・レビュー・書評
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思春期とはかくも醜く儚いものか。
さも美しいかのように賛美するマンガは数あれど、〝自意識過剰な日常〟であることを読者に突きつけてくる意味で2000年代の古谷実とこの作品は双璧をなす。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最終巻。
初めて惡の華を買った時は「なんで買っちゃったんだ……」と頭を抱えました。思春期のエグイ部分をとにかくはぎとり、痛い痛すぎるの連続。恥ずかしいですが、わたしにもあった若い頃の破壊衝動を思い出させられ「もうイヤ……読むけど……」というかんじでした。
高校生編に入ってどんどん普通になっていく物語を読みながら、そこに生じる空っぽの感覚に「もういいかな」という後悔がありました。
しかし、9巻を読んで自分の過ちに気づきました。中学生編で終わらなかった意味、高校生編に続いた意味。涙が出ました。
大抵の人は後悔しているであろう痛い過去を赦してくれる。それでいいんだよ、と背中を押してくれる大切なマンガになりました。
普通である愛おしさ、苦しさ。同時に自分の中にある暗い気持ち。それでも幸せを掴みたいと思う気持ち。
最終巻を読んで、穏やかな涙が出ました。集めた意味があったと心から思います。ありがとう。 -
青春とは疾風怒濤、吹き荒ぶ風と、猛り狂う波と、
そして海辺での殴り合いだ。
それはもう、お決まりのパターンなのだ。
青年期を「疾風怒涛」と表現したのはアメリカの心理学者G.S.ホールであるが、彼が提唱した学説に「心理的反復説」というものがある。
個人の発達は生物としての人類が辿った進化の歴史に似た発達段階を繰り返す、というもので、
要するに文化や時代は違えど結局人は、過去の人が繰り返してきた同じパターンの反復でしか成長していけないんだよ、ということである。
結局みんなふつうに生きて、ふつうにセックスして、ふつうに死んでいくんだよ。
それしかできないんだよ。
それのどこがいけないの?
物語は永遠に続く繰り返しとして、幕を降ろした。
これは永遠に終わらない春日青年の思春期の記録であり、
永遠に繰り返される人類の歴史の一部なのだ。
…とまで言ったら、言い過ぎか。 -
うわー!めっちゃ良かった。これは文学だな。無音のコマで訴えかける押見修造先生の思想が心に刺さる。どんな作品か形容するのは難しいが、閉鎖的な空間で思春期の少年少女のリアルが描かれていた。
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終わった。いや終わってないわ。春日くん幸せになって良かった。
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押見修造らしいラストだったかな。
ぐるぐる。 -
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1巻を読み始めた時は最後まで読めそうもないなぁと思った。
中学生編はやっぱり気分が悪くなるというか理解しがたい。
どんな思春期を送ったかで、この作品の受け止め方は違うんだと思う。私には刺さらなかった。
けれど、どんな人間でも多かれ少なかれモヤモヤした気持ちで過ごした学生時代を経験しているだろうから、広い心で受け止めれば中学生編の行動は理解こそできないが拒絶もできない。
最終話の仲村さん視点の話は、登場人物の中で初めて人として認識したのが春日で、その彼によって彼女の人生も左右されたのかと思うと複雑な気分。
著者プロフィール
押見修造の作品





