聲の形(7)<完> (講談社コミックス)

  • 講談社 (2014年12月17日発売)
4.18
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  • 本 ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063952681

作品紹介・あらすじ

お前なんかに出会わなきゃよかった。もう一度、会いたい。耳の聞こえる少年・石田将也。耳の聞こえない転校生・西宮硝子。ふたりは運命的な出会いをし、そして、将也は硝子をいじめた。やがて、教室の犠牲者は硝子から将也へと移っていった。幾年の時を経て、将也は、 もう一度、硝子に会わなければいけないと強く思うようになっていた。【作者・大今良時先生から】「点と点で生きている人たち。遠く、離れ離れの小島のように生きている人たちを描きたくて、この物語を描きました。みなさまに読んでいただければ、この上ない幸せです」


「じゃーな、西宮」。硝子を庇って大けがを負い、眠り続ける将也。前を向くと決めた硝子は、絶望の中、壊してしまったものを取り戻そうと動き出す。バラバラになった仲間たちの「こえ」にそっと耳を澄ませる━━。繋がる想い。そして、再開した映画作り。時を刻み始めた彼らの世界に、待ち受ける未来は━━。

感想・レビュー・書評

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  • 人生は軌道修正可能。
    未来の扉はいつだって期待を持って開きたい。

  • 全巻読了。石田将也は小学生の時に、聴覚障害者の転校生西宮硝子を苛め、硝子は転校、将也はその後ずっとイジメに遭う。高校生になって再会した彼らの心の襞を、作者は丁寧に写し取る。

    イジメや聴覚障害だけでは無く、硝子の妹は不登校だし、将也の姪はハーフだ。そして2人の親は片親である。登場人物たちは何らかの「障害」を負っている。友人たちを含めて悪人は1人も居なくて、ただ将也にとってちゃんと相手の聲が聞こえない人物は全部バツ印や顔付きで表現される。そして友人たちも実は、1人ひとり「周りのホントの聲が聞こえない障害者」であることが、作品全体を通して明らかになる。将也のバツ印が剥がれるのは、この作品全体を通してでしかあり得なかった。

    振り返って見て、私の学校時代にこういう作品が必要だったのか、考えてみる。お前が鈍いだけだ、ともいわれるかもしれないが、私の時にはこんな陰湿なイジメも、片親も、ハーフも居なかった。だけど、友だちの気持ちがわからない問題は、いつも深刻だったし、恋の問題もあったと思う。ただそれはマンガでは描かれることはなかった。マンガはそこまで成熟していなかったし、不良や貧困問題の方が深刻だった。

    だからこの作品は、現代だからこそ生まれた作品であり、記憶しておいていい作品だと思う。アニメ映画がヒットしている。アニメを観たからこの作品を読んだのだが、アニメでは到底わからなかった真柴や植野の気持ちや、西宮の自殺未遂のホントの気持ちも、今回やっと納得がいった。ただ、アニメは全7巻をよくぞあそこまで纏めたという意味ではちょっとすごいとは思った。

  • 元から持ってたけど、あんまり印象に残ってなくて、映画を機に再読。なんでか涙が止まらなくて…

    人生は、人間は、みんな、みんなだ。みんなそれぞれ偽善者で、からっぽで、おせっかいで、いじっぱりだ。
    この物語の中で、キャラクターだけ抜き出したら好感が持てる人物なんてせいぜい主人公の母だけなのではないだろうか?
    みんな、みんな、どうしようもない。
    どうしようもなさの果てに死を企図してしまいさえする。

    でも、それでもみんなそれぞれ一理あるようなことを言うし、それぞれ気持ち悪いような言葉を吐いたりするし、なにを考えてるのかわからなかったりする。

    みんな、みんなそうなのだ。
    ただ一つ言えることは、話してみないとわからないということ。
    ちゃんと顔を見て、声を聞いて、向き合おうとしなければなにも得られない。たしかに、得るものは罪や恥でもあるかもしれないが、でも、可能性もすぐそばにあるのだ。いつだって。


    いろいろなことがあった。いろいろな苦悩があった。
    でも、でもやっぱり、まだ死ぬには値しない。

  •  なんというか、円満に終わりました。作者の気持ちを感じました。多分こんなふうになることはむずかしいでしょうね。でも、他者のことがわかるということは、同情することではなくて、自分を突き詰め、他者からの自分を見つめることなんでしょうね。
     読み終わった感想をブログに書きました。読んでみてください。
      https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202005180000/

  • 映画がとても良かったので全部読みました。
    素晴らしい物語だった。
    映画では映画作るのは割愛したのか。

    ※全ての元凶はあの小学校教師。これは間違いない。クソ大人め。

    連載中はきっと石田が許されてもいいのかという議論が出たんだろうな。
    許されなくても別のところで生きることはいいよねと思うんだけど、彼はがんばったので偉かった。

    ところで硝子って名付けはどういう意図だったんだろうかと気になります。
    字義的にも歴史的にも火薬の原料だよね…。
    親視点ではガラスのように透き通った子とか…そんなん嫌だけど。
    著者視点では彼女を通して世界を見ろとかそういうのかな。
    ジャイ子と同じで実在の子と被らないようにしたとかはあるかも。
    インタビューでもちょっと謎の子とか言われてましたけど。

  • 僕は無理矢理のハッピーエンドは本来好きではないタイプの人間です。ですがこの聲の形は綺麗にまとまり過ぎてるんじゃないの?というくらい綺麗なハッピーエンドですが、非常に胸踊る素晴らしい展開とラストでした。人は皆違うからこそ良いのだと感じると共に、全ての人々がお互いの違いを理解し合って平和に暮らせていければいいなと感じました。

  • ……エグイと思った。



    子供が残酷なのはある意味では当然というか、しょうがないというか。
    何とも言えないものがあるけれど、残酷な大人は質が悪い。けど、もっとたちが悪いのはそれを当然とみなしてる現実があるわけで。そんな現実のお話しだなぁと思って読んでしまった。



    ファンタジー要素はほぼ皆無。皆無故に胸糞悪い。



    1巻でお腹いっぱいの気持ち悪さを味わった。2巻からはファンタジー(幻想)要素が入ってきて、ちょっとだけ心地よくなる。



    キャラクターの名前はあまり覚えてない。
    いじめっ子の男の子が主人公。いじめられた女の子がヒロイン。主人公に恋する暴力女。が、ほぼメインなのかなと思う。

    そこに、主人公のお友達の面白キャラに、イケメンキャラ(?)
    ぶりっ子学級委員長、スタイルのいい臆病な女の子
    ヒロインの妹などなどが絡まってくる。

    映画だけではいまいち分からなかったキャラクターたちが、漫画では深く描かれていて判りやすかった。



    特にヒロイン……ほぼ喋らない。文字や手話のコミュニケーションなので、何を考えているのかさっぱり謎なキャラだった。
    それが、漫画で思ってることとが描かれていて、なるほど……そう思っていたのかと。



    特に聲の形第6巻のヒロインの手紙。
    『私は今まで自分の聞き取っていることに自信が持てず、自分の感じ取っていることが真実の上になりたっていることなのか 判断できませんでした(略)』



    この辺りは、はっとした。
    なるほど、これがヒロインの『不安』の理由だったのかと。
    さらには『笑顔』の理由もその先に書いてあった。

    で、ああ。私もそう思っていたのかなと思った。
    聞こえていても、『普通』を求めてしまう。

    「感じ取っている事」というよりも『理解し、対応する事』というのは、年齢が上がるほど難しくなってしまう。ほんのわずかな差が『あいつウザい』になる。



    それが学校独特の『異常な世界』だと気が付くのは、外に居るから思う事で
    その中にいる『子供』はもちろん、先生たちもほとんどが外に出ずに『学校でのみ生きる』
    だから、誰も『異常』だと指摘できないんだと思う。



    1巻に出てくる『担任』は結構、酷い人で
    暗に「耳が聞こえないからいじめられても仕方がない」といじめっ子主人公の前で言い放つ。
    主人公はそれを良い風にとらえて、『いじめていい』と解釈する。

    もしここで、全く外の世界の人間が「これはおかしい」と一言言える仕組み(社会)があれば、何かが変わってたかもしれないけれど、外の世界は存在しない。
    学校は学校の中で完結する。



    それと同じように、子供時代のキャラ達は『自分の中で完結』してしまっている。
    いじめっ子主人公も、いじめられっ子ヒロインも暴力女も、皆、自分の世界で閉じてしまっている。



    高校生になって主人公がヒロインに会うことで、少しずつ世界が広がる。が、担任は閉じた世界の学校に居るので、閉じた世界の中の住人としてその後も『嫌な奴』として出てきた。



    全く話が変わるが、1巻を見ながら嫌な気持ちになったのは
    この担任が私の高校時代の担任と被ったからだ。
    『自己責任』『何かあっても俺は知らない』『俺に迷惑をかけるな』と言い放っていた担任は、警察に捕まった。

    良い思い出はない。



    話を戻して、主人公はヒロインに会いに行って変わっていく。主人公の性格はとてもわかりやすい。『面白い事大好き』なのだ。けれど、そのために人を傷つけたことに気が付いて、『自己否定』に走っていく。極端だとは思うケド、それがなければ物語が進まない。



    ヒロインは手紙からも判るように、最初から『自己否定』人間だ。聞こえないことの引け目。普通でない事の引け目。それに伴う他者の協力を必要とする引け目。

    それらが、自己否定に繋がっている。(ところで全く別の話になるかもしれないけれど、ヒロインの高校生活がほぼ出てこない。ヒロインの学校の友達というのも出てこない。この子の学校生活って?と思いながら読んでしまった)



    暴力女さんが一番よく分からなかった。
    好きなら、なぜ主人公をいじめていたの?それも、積極的に。これは男の子が好きな女の子をいじめるのと同じ心理?

    それに全てが『ヒロインのせい』と言ってるけど……。
    それは自己肯定感に基づいたものなのか?ただの『ヒロインへの嫌悪』なのか?
    口が悪いのは家庭環境に基づいたもの?だったら、結構ひどい家庭な気がするけれど、そうじゃなくて成長過程で単に個人の好みとして獲得した言葉なの?

    暴力女さんに共感できる点があまりなくて、何で怒ってるのか、何が不満なのかが、よく判らなかった。
    特に観覧車の中…気に入らない事を言われたから、手を出すってお子様なの?

    唯一『耳が聞こえないコの世話が大変だった』みたいな部分は共感できるけど、それ以外は……え?としか思えなかった。
    好きって……とりあえず、『(主人公の想いに関係なく)独占したい』という話だったのかな。



    他のキャラたちはそれぞれ、良い部分、悪い部分があって考えさせられるキャラたちが多かった。





    映画と違って漫画は『文字を読むもの』だから、読みやすかった。
    ……映画はとりあえず、『音』しか聞いてないから途中で文字(字幕)が入ってると「あれ?」と思う。
    映画は動いているから手話の動きとか再現できるんだろうなぁと思う。
    逆に漫画は動きを絵で停止画として再現するしかない……どう動くんだろうなこの絵と、思うものが沢山あった。







    そんなわけで、まとまらない感想。

  • 先ずは、ハッピーエンドで終わって良かった。大人への階段を登りながら悩みもがく青春時代。きっとこれからも決して順風満帆ではないかもしれないけど、自分の正直な姿に向き合って成長した彼らは、きっと強く生きていけるのではないだろうか。そんな希望を感じながら最後のページを閉じた。

  • 各キャラクターそれぞれに共感要素あり。
    また、お決まりの予定調和ではないのもgood!

    人は簡単に変われないけど、変わろうと出来る。

    いじめっ子、いじめられっ子が仲良くなってhappy end!ではない。

    扉の向こうが"happy"とも限らない。

    程度は軽いけど中学校での勝手な疎外感から登校拒否になって中卒の自分にとっては大切な作品でした。

    ※昨晩寝る前に1巻、翌日に2〜7巻一気読み。短いのもgood!

  • ・悩みに悩みながらも相手のことを思い続けることなんだろう

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著者プロフィール

岐阜県生まれ。2008年、『聲の形』で、週刊少年マガジン新人漫画賞に入選。2009年『マルドゥック・スクランブル』(沖方丁/原作・『別冊少年マガジン』連載)でデビュー。『聲の形(全7巻)』は入選作をリメイクした形で2013年から『週刊少年マガジン』に連載され、大ヒット。『このマンガがすごい!2015』(宝島社)のオトコ編で1位に選ばれ、2016年には劇場版アニメに。2014年、大垣市文化連盟賞(生活文化部門)受賞。2015年、 手塚治虫文化賞新生賞受賞。第12回 大垣市民大賞受賞。現在、『不滅のあなたへ』を『週刊少年マガジン』に連載中。

「2019年 『小説 聲の形 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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