「香り」の科学 匂いの正体からその効能まで (ブルーバックス 2020)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065020203

作品紹介・あらすじ

人類は何千年も前から香料を利用してきましたが、じつは「匂い」を感じるメカニズムや、その正体が何かということについては、長い間謎に包まれていました。
自然にはどんな香りが存在するのか?
人は新しい香りをどのように作りだしてきたのか?
アロマテラピー、香水、シャンプーや石鹸などの香りは、人体にどのような影響を与えるのか?
香りの神秘を最新科学で解き明かします。

・人類は5000年以上前から香料を使っていた
・香りが記憶をよみがえらせる「プルースト効果」の秘密
・「動物の糞の臭い」と「ジャスミンの香り」はじつは同じ分子!?
・夏目漱石の『三四郎』に登場する香水「ヘリオトロープ」に込められた意味とは?
・人が嗅ぎ分けられる匂いの種類は1兆種類!?
・ラベンダーの香りが血圧を下げる
・香りが引き起こすアレルギーとは!?

感想・レビュー・書評

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  • 以前から、匂いに関する本を読んでみようと思っていた。
    千早茜さんの小説「透明な夜の香り」にも刺激され、
    香りが人体に与える影響を(科学的な見地から)勉強できそうな本を探して、選んだのがこの本。

    人体に与える影響には、身体機能の変化と快感・不快感の増減作用があると思う。
    都市ガスには、人体に危険だぞと感じさせる匂いをつけているし、殺虫剤にもココに散布したぞと分かる匂いをつけている。
    洗剤、シャンプー、消臭剤、香水、アロマオイルは、気持ちを和らげたり、心地よさを感じる香りになっている。
    飲食物も香り付けを大切にして味を調えている。

    嗅覚を客観的に表す言葉はないに等しい。
    視覚だと、赤、青、黄といった色や、丸、三角といった形、明暗など誰もが同じように理解できる表現がある。
    味覚だと、苦い、甘い、辛い、酸っぱい、などだ。
    嗅覚で、上品な、落ち着いた、軽やかな、重厚な、高級な、官能的な、と表現されても個人差が大きそう。

    どんな香りなのか言葉で伝えるのは難しい。
    例えば、人の汗に含まれるアンドロステノンという物質は、
    「小便のような不快な臭気」と感じる人がいる一方で、
    「甘くてフローラルな良い香り」と感じる人や、この匂いを全く感じない人がいるそうだ。

    本書は「香」の説明をする本だが、万人に伝わる客観的な表現はない。
    匂いは「焦げ臭い」「ガス臭い」とか「ジャスミンの香り」「ラベンダーの香り」のように、匂いの元になる物の名前で表される。
    それだけ匂いは多種多様で、個人差があるようだ。


    以前どこかで「実は、人と犬の嗅覚に大差はない」と聞いて、本当?と、ずっとモヤモヤが残っていたが解決した。

    ・犬と人間の嗅覚の違い。
    何種類の匂いを識別できるかについては、明確な答えが見つかっていない。
    以前は1万種類が定説だったが、もっと多いとか少ないとかいろんな学説が発表されている。
    人間の場合、嗅覚受容体の種類は821個で、機能しているのが396個ほどらしい。犬は1000個、ゾウは2000個。
    受容体の数は、人は600万だが、犬は犬種によるが7000万~2億。
    犬より嗅覚がいい動物は、ゾウ、ウシ、ウマ、ネズミなど沢山いることも分かった。
    犬は人より50倍くらい嗅覚がいいと思って良さそうだ。

    もう一つ、人工的に作り出した香は身体に良くない、と決めつけがちな考えもなくなった。

    ・「自然から得た物質は安全で、人工的な物質には毒性がある」は正しくない。
    自然にも有毒物質はいくらでも存在する。
    香料は植物から抽出したものなら安心で、人工的に作られたものは身体に良くない、は商売上の営業トーク。
    広く長期間に渡って世間で使われているものは、自然か人工的かによらず(一応)安全だと思って良いだろう。

    歴史的に香りを利用してきた事実に注目すると、心を癒すだけでなく血圧や食欲などのコントロールにも使われている。
    現在でもストレス軽減や認知症の改善にも使えるのではと、各所で研究や実験が進められている。

    「良い香り」は生活の質を向上させるのに役立っていそうです。

  • 大学時代は一応理系だったのと、化学の基礎知識もあるので、流石に化学反応まで詳しくはないけれど、読んでいて面白かった。

    以下、気になった内容。

    プルースト効果という、香りにより記憶を思い出す効果は、実際に神経が嗅覚の場合、ダイレクトに脳の記憶を司る海馬や扁桃体に繋がるため起きる

    アビセンナがアラビアで錬金術をしている中でバラからバラの香りを取り出す方法を見つけた、これがいまの水蒸気蒸留法
    ドルトンの分圧の法則で、沸点が高い成分も水蒸気蒸留法にて分圧が効き、100度でも蒸発する事を応用

    香料をとれる動物は四種のみ
    マッコウクジラ、ジャコウジカ、ビーバー、ジャコウネコ
    マッコウクジラはアンバーグリス 竜涎香
    ジャコウジカ ジャコウ、甘く粉っぽい、ムスク
    ビーバー 海狸香 頭痛や発熱などの治療に使われていたが、薄めるとジャコウのようになる、シャネルのアンテウスなどに利用
    ジャコウネコ ジベット 薄めると良い香り、シャネルのNo5

    匂いを感じる時は、嗅覚受容体に匂い分子が結びつき、Gタンパク質共役型受容体に連絡され、GTPと結合して酵素の働きを起こして伝達される
    嗅覚受容体遺伝子は821個あり、そのうち396個が実際に機能している、つまりこの組み合わせが香りである
    しかし、アフリカゾウは1948個遺伝子が存在、他の生物にはより嗅覚が重要

    世界共通の香り分類
    Floral fruity sweet honey anise citrus aromatic balsamic green woody mossy early minty herbal spicy marine leather amber musky animalic powdery aldehyde

    炭素原子8〜10が心地よい香りと感じる分子

    シスジャスモンとトランスジャスモンは、メチル基が逆の光学活性体の違いだが、前者はジャスミン、後者はキノコの香りがする

    天然物化学という、自然界にあるものをそのまま化合物として抽出する分野があり、日本はその第一人者。その中で、天然の香りを人工的に作る研究がなされている。
    各国やブランドで香りは合成されているが、ニトロ基をもつものが以前使われて肌への刺激が問題になったり、一世を風靡する香りの成分が実は毒性が強いなどの歴史がこれまで起きている。しかし、自然由来なら毒性が低いというわけではない。

    1937年にガットフォセにより提唱された芳香療法がアロマテラピーの始まり。
    リナロールが血圧を下げる研究 2006 永井ら
    ローズマリーカンファーとレモンの香りを6高度アルツハイマー病患者に嗅がせて認知症評価法を試したところ、明確な改善がみられた 2008神保ら
    アロマテラピーについても、より定量的な研究で効果を立証していく必要がある

  • 匂いとは何か?
    謎に満ちた「香り」の世界を徹底解説!

    何千年も前位から人類は香料を利用してきましたが、じつは匂いを感じるメカニズムや、その正体は長い間謎に包まれていました。自然にはどんな香りが存在するのか? アロマテラピー、香水、シャンプーや石鹸などの香りは、人体にどのような影響を与えるのか?
    香りの神秘を最新科学で解き明かします。

    ・人類は5000年以上前から香料を使っていた
    ・香りが記憶をよみがえらせる「プルースト効果」の秘密
    ・「動物の糞の臭い」と「ジャスミンの香り」はじつは同じ分子!?
    ・夏目漱石の『三四郎』に登場する香水「ヘリオトロープ」に込められた意味とは?
    ・人が嗅ぎ分けられる匂いの種類は1兆種類!?
    ・ラベンダーの香りが血圧を下げる
    ・香りが引き起こすアレルギーとは?


    [著者プロフィール]
    平山令明(ひらやま・のりあき)
    1948年、茨城県生まれ。1974年、東京工業大学大学院修了。ロンドン大学博士研究員、協和醗酵工業(株)東京研究所主任研究員、東海大学開発工学部教授、東海大学医学部教授、東海大学糖鎖科学研究所教授を経て、2016年より東海大学先進生命科学研究所所長。理学博士。現在のおもな研究課題は、コンピュータ科学を駆使した、より効果的で、より安全な医薬品の開発。さらに、人間のQOL向上につながる有用物質の探索・創製にも興味を持って研究活動を展開している。著書に『暗記しないで化学入門』『実践 量子化学入門』『熱力学で理解する化学反応のしくみ』『分子レベルで見た薬の働き 第2版』(いずれも講談社ブルーバックス)などがある。

  • 庭に植えたバラやカモミールから精油を採りたくて四苦八苦した事を思い出しました。アロマに興味があり、楽しく読めました。

  • 匂いの正体について,その分子構造から解説する。〜の匂いはーという分子,といった感じ。逆に,どういった分子がどういう匂いをするかを調べるのにもいい本。内容としては,大学1〜2年相当の有機化学が中心である。有機化学を学習する動機付けとして読むのも良いだろう。

  • 香りの科学情報について、ここまでわかりやすく書いてある本は初めて。
    イメージや情感として捉えられがちな香りを科学として説明されており、腹落ちする本でした。

  • ある方面の匂い、香りに関する専門家でもあるので詳しい方だと思いますが、それなりに勉強になりました。科学的事実に基基づいて不明なことに余地を持たせている著者のスタンスにも好感が持てました。細かい部分で数カ所記述が引っかかる箇所はありましたが香りの中身を知るには良い本だと思います。

  • 香りを感じるメカニズム、香りの抽出方法、香りの分子構造、それらが混ざったアロマや香水の解説、いろいろ勉強になった

  • 日本酒造りの参考にと買った本で、まさに欲していた本だった。網羅的であり、有機化学も過不足ないレベルで、加えて香水や身近な例などをふまえた拡張性もある。
    香りとは何かから、抽出方法、嗅覚のしくみ、表現方法、香り分子自体の説明←(ここのレベルが最適だった!)、匂いの測定方法、合成香料、効果と安全性。
    度々見直す予定。

  • 電子ブックへのリンク:https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057448
    ※学外から利用する場合、リンク先にて「学認アカウントをお持ちの方はこちら」からログイン

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著者プロフィール

1948年、茨城県生まれ。1974年、東京工業大学大学院修了。ロンドン大学博士研究員、協和発酵工業(株)東京研究所主任研究員、東海大学開発工学部教授、東海大学医学部教授、東海大学糖鎖科学研究所教授を経て、2016年より東海大学先進生命科学研究所教授。理学博士。現在のおもな研究課題は、コンピュータ科学を駆使した、より効果的で、より安全な医薬品の開発。さらに、人間のQOL向上につながる有用物質の探索・創製にも興味を持って研究活動を展開している。著書に『暗記しないで化学入門』『熱力学で理解する化学反応のしくみ』『「香り」の科学』『カラー図解 分子レベルで見た体のはたらき』『はじめての量子化学』(いずれも講談社ブルーバックス)など。

「2020年 『カラー図解 分子レベルで見た薬の働き なぜ効くのか? どのように病気を治すのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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