我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち (ブルーバックス)

著者 :
制作 : 海部 陽介 
  • 講談社
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本棚登録 : 368
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065020371

感想・レビュー・書評

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  • アジアの人類としての古代史が、こんなにも興奮に溢れる場だとは知らなかった!

    ジャワ原人、フローレス原人、北京原人、名前は知ってるけど、はるか昔の曾祖父くらいのイメージしかなかった。
    しかし実際は生物種としての適応と繁栄と消滅といったダイナミズムをもつ存在だった。

    そして現在では我々は我々の種しかいないけど、それは昔からそうではなかった。多様な種が、祖先から綿々と旅をし、環境に適応し、進化し、そして(多分静かに)消えて行った、という壮大な物語の一端を味わえて大満足。
    これからの研究の進展にも期待したい。

    それにしても我々しかいないのは、拡散の速度が速すぎて均一化してしまった、というのは、宇宙はなぜこんなにも均一なのかというインフレーション宇宙論にも通じるものがあるなあと思ったりして、これもまたおもしろい

  • 配架場所 : 新書
    請求記号 : SHIN@469.2@K100@1
    Book ID : 80100488307

    http://keio-opac.lib.keio.ac.jp/F/?func=item-global&doc_library=KEI01&doc_number=002573141&CON_LNG=JPN&

  • 請求記号 469.2/Ka 91/2037

  • 遡上はついに人類のはじまりに到達。自然人類学の最新の発見を、ジャーナリスト川端裕人が自ら見聞して臨場感あふれるレポートすることで、アジアにおける知られざる原人の存在や交雑の可能性を明らかにしています。
    それにしても、先に読んだ『世界神話学入門』でも名前が出てきた海部陽介さんは、21世紀の知の巨人のような気がするだけに、今後も注目です。

  • かつてアジア地域に生息していた原人・旧人たち - 北京原人やジャワ原人という名前で知られている - についての解説本。アフリカやヨーロッパではかなり研究が進んでいるが、アジア地域ではかなり遅れていたため、最近になってフローレス原人や台湾沖での澎湖人など新しい発見が21世紀に入っても出ている状況である。その道の第一人者である国立科学博物館の海部陽介グループ長に導かれる形で著者がまとめたものである。自らの起源に関わる話であり、思い入れのある著者の筆にも熱がこもっている。

    なお、我々の起源と書いたが、フローレス原人も澎湖人も北京原人もジャワ原人も我々の祖先ではないことがほぼ確認されている。タイトルにあるようにアジアからは消えてしまったのだ。アフリカから先に出て個別に進化した原人ではあるが、後に出アフリカを果たして後からたどり着いた現生人類に他の地域におけるネアンデルタール人やデニソワ人と同じようにその立場を奪われた形になったのだ。

    DNAの研究により、ネアンデルタール人と現生人類が混血していることが示されたが、アジアの原人と現生人類が接触し、さらに混血したのかについてはまだ明らかになっていない。海部さん含めて現状のアジアの原人の研究は化石からの形態分析が元となっており、DNA分析が使えないのが現状なのである。

    「我々はなぜ我々だけなのか」という問いに対しては、我々の移動速度があまりに速かったからだと結論づけられている。進化の速度よりも圧倒的に速く移動を果たすことができたため、現生人類はこれほどまでに一様なのだという。現生人類の特徴をその移動の速さに結び付けてもよいのかもしれない。
    しかし、「我々はなぜ我々だけなのか」という問い - かつては確実にいた旧人や原人は世界のどこにも残っていないのはなぜか - についての答えはない。アジアの地でも人類と旧人は接触したのか。我々が駆逐をしたのか。それは我々の持つ本質がゆえなのか。なぜ我々だけがここにいるのか。彼我の差はどこにあったのか。

    海部さんは、日本にどうやって人類が渡ってきたのかを実証するために古代の方法で船を作って海を渡るプロジェクトをクラウドファンディングで資金を募って実現するなどアグレッシブに活動されている。これからもまだいろいろとわかるのかもしれない。

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著者プロフィール

川端 裕人(かわばた ひろと)
1964年、兵庫県明石市生まれの小説家、ノンフィクション作家。東京大学教養学部卒業後日本テレビに入社し、記者として科学技術庁、気象庁を担当。
1995年『クジラを捕って、考えた』を執筆し、ノンフィクション作家としてデビュー。1997年日本テレビを退社後、1998年『夏のロケット』で第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞を受賞し、小説家デビュー。
その後も小説とノンフィクション二つのジャンルで活躍を続け、2000年『動物園にできること』で第31回大宅壮一ノンフィクション賞候補、2004年『せちやん 星を聴く人』で第25回吉川英治文学新人賞候補。2018年『我々はなぜ我々だけなのか』で科学ジャーナリスト賞、講談社科学出版賞をそれぞれ受賞した。

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