我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち (ブルーバックス)

著者 :
制作 : 海部 陽介 
  • 講談社
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本棚登録 : 370
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065020371

感想・レビュー・書評

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  • 私たちは、ホモサピエンスの末裔だと思っていますが、それが出現する前には、アジアには多様な「人類」がいたそうです。この本にはそれらについて、実際に発掘現場に行かれた、本書の著者である川端氏によって書かれています。

    歴史の好きな私ですが今まで触れてきた「古代史」は、すでにホモサピエンスが我々のような生活をし始めてからのものです。それ以前に世界はどうなっていたのかについて思いを巡らす上で、良い機会を与えてくれた本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・人類には大体700万年くらいの歴史がある、初期の猿人、猿人、原人、旧人、新人、これらの5段階を通って人類が進化してきたと考えられてきたが、一直線に変化してものではないと今では考えらている(p24、41)

    ・大きなくくりの、ホミニドは、大型類人猿と人類の共通祖先から進化した全ての子孫を含む、チンパンジー・ボノボ・オランウータン・ゴリラ、それよりも範囲が狭く初期の猿人(ラミダス猿人、アウストラロピテクス等)が、ホミニン、そしてその後の原人・旧人・新人は、すべてホモ属である(p46)

    ・オランダは300年以上にわたって、インドネシアを植民地にしており、19-20世紀初頭には現在のインドネシアのほぼ全土を手中に収めていた(p55)

    ・島嶼効果とは、利用可能なリソース(生息環境、食料資源など)が限られた島嶼環境では、大型動物は、代謝量が小さく性成熟も早い、小型の身体を持ったほうが有利なため、矮小化しやすい。フローレス原人は、島にいたほかの動物と同様に、島嶼効果によって矮小化してしまった(p143)

    ・今の時点で本当に一つだけ言えるのは、アジアには北京原人とジャワ原人がいました、だけではないということ(p240)

    ・移入種が在来種を駆逐するとき、直接バトルするというよりは、生態系の中での位置を奪う形で入れ替わる、血なまぐさい戦争をするわけではない(p252)

    ・新人サピエンスと、旧人・原人との違いは、サピエンスはいろんなところにあっという間に行けたということ(多様化しなかった)、旧人・原人は行けない(閉じ込められる)から多様化した、ホモサピエンスの均質化は、地球を股にかけることができる能力(創造性)の裏返しである(p256、257、258)

    ・ホモサピエンスがやってきたとき、今のインドネシアにいた古代型人類は、ジャワ原人かフローレス原人である(p267)

    2018年2月25日作成

著者プロフィール

川端 裕人(かわばた ひろと)
1964年、兵庫県明石市生まれの小説家、ノンフィクション作家。東京大学教養学部卒業後日本テレビに入社し、記者として科学技術庁、気象庁を担当。
1995年『クジラを捕って、考えた』を執筆し、ノンフィクション作家としてデビュー。1997年日本テレビを退社後、1998年『夏のロケット』で第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞を受賞し、小説家デビュー。
その後も小説とノンフィクション二つのジャンルで活躍を続け、2000年『動物園にできること』で第31回大宅壮一ノンフィクション賞候補、2004年『せちやん 星を聴く人』で第25回吉川英治文学新人賞候補。2018年『我々はなぜ我々だけなのか』で科学ジャーナリスト賞、講談社科学出版賞をそれぞれ受賞した。

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