「おいしさ」の科学 素材の秘密・味わいを生み出す技術 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065020517

作品紹介・あらすじ

旨味成分に関する研究が注目されるなど、近年は「食」の科学的な研究が進んでいます。実際に、食品メーカーでは分子レベルの研究から新商品の開発が行われたり、科学的な知見をもとにした調理技術がフランス料理をはじめとする実践分野でも応用されたりしています。そもそも、「おいしさ」とは飲食にともなって起こる生理的な感覚(快感)です。人は五感をフルに使っておいしさを感じており、そのファクターは味や香りだけでなく、人間特有の生理作用や環境にまでおよびます。
 現在、「食の科学」の分野で活躍されている大学研究者、メーカー研究者にサイエンスライターが取材し、「おいしさ」を感じるとはどういうことか、「おいしさ」を作るとはどういうことか、「食」分野での研究の最前線をわかりやすく紹介します。また、食材のおいしさはどこから来るのか、その成分や、調理や熟成によってどのような化学変化がおこっておいしくなるのか、詳しく解説します。

第1章 おいしさとはなにかおいしさの科学
 おいしさは生命維持のために備わった快感 など
第2章 おいしさを生む化学反応
 おいしさへの変化/水の役割
第3章 おいしさの素を探る
 だし・調味料・熟成
 ~だしのおいしさの科学 伏木亨(龍谷大学農学部教授) 
  だしの嗜好性に寄与する香気成分の研究 網塚貴彦(長谷川香料) など
第4章 食材のおいしさを探る
 肉・魚介類・米・野菜・豆類のおいしさ
 ~肉のうまさの秘密 松石昌典(日本獣医生命科学教授) 
  食感の科学、レオロジー 小川廣男(東京海洋大学特任教授)  など
第5章 調理から生じるおいしさ
 おいしさを作る熱/おいしさを作る形・テクスチャー
第6章 科学が作るおいしさ
 香りを作る/冷凍食品と不凍素材/おいしさを計る/おいしさを包む
 ~美味しさを感じさせる香り 中原一晃(高田香料) 
  冷凍食品を美味しくする技術 荒井直樹(株式会社カネカ) 
  味覚センサーで味を科学する 池崎秀和(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー)  など
第7章 おいしさを感じる脳と味細胞のしくみ
 脳の連携プレー/分子レベルで明らかになった味細胞/なぜ食べすぎるのか など

感想・レビュー・書評

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  •  料理と音楽は似ている。好きだったり嫌いだったりするのに、なんで好きなのか、嫌いなのかちゃんと説明できない。「ビートが効いているから」「甘いから」と無理に理由をつけてみたところで、じゃあビートの効いている音楽は、甘い物はなんでも好きかというとそういうわけでもない。同じ楽器、同じ譜面で演奏してもなんか違うように、同じ材料、同じレシピで作ってみてもうまくない。不思議だ。

     不思議なことには何か隠された理由があるに違いない、と考えるのがぼくの悪いクセだ。視覚が光に対する、聴覚が音波に対する感覚であるように、味覚も化学的な感覚の1つなんだから、科学的かつ合理的な因果関係があるはずだ。それを知りたい。

     で、面白かった。知らないこともいろいろ知った。情報の詰め込みすぎか、細切れのトピックの羅列みたいになっていて、途中で飽きるのはご愛嬌か。

     でも事実は事実として、なんかもやっとするものは残った。科学的に設計され、「おいしさ測定器」で測定された「おいしいもの」は本当においしいんだろうか? 音楽の「好き」が解析できたとして、誰もが好きになる究極のヒットソングを計算できるんだろうか?
     そうであって欲しくない、と思っているのは認める。人生は謎があったほうが面白い。グルタミン酸ナトリウムxグラム、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステルyグラムで完璧!・・・より、利尻昆布と削りたての本枯れ節でとった出汁で作ったほうれん草と油揚げのみそ汁! とか、うちの奥さんの唐揚げどうやって作っているか何度聞いてもわかんないけどとにかくサイコー! とか、知る人ぞ知る謎の天才シェフとか、そっちのほうが世の中的には楽しそうだ。産業製品としての食べ物、音楽という一面からは、科学的アプローチやコストパフォーマンスとは無縁ではいられないのだろうけれど、やりすぎるとつまらないことになりそうだな、と思った。

     謎があったほうが面白い、という意見と、知りたい欲求は一見相反するようだが、実はしない。知りたいという気持ちがないところには謎も生まれないのだから。

  • ふむ

  • おいしさを科学的に説明した素晴らしい書籍。

  • 【書誌情報】
    著者:佐藤 成美  科学ライター。
    カバー装幀:芦澤泰偉・児崎雅淑
    カバー写真: 「ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世」(ジュゼッペ・アルチンボルド・作)/PPS通信社
    本文デザイン:齋藤ひさの(STUDIO BEAT)
    本文図版:さくら工芸社
    発売 2018年03月15日
    価格 本体1,000円(税別)
    ISBN 978-4-06-502051-7
    通巻番号 2051
    NDC:588.596
    判型 新書
    頁数 240
    シリーズ ブルーバックス

    著:佐藤成美(サトウ ナルミ)
    東京都生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科修了(農学博士)。サイエンスライターとして、サイテック・コミュニケーションズに所属し、生物や食品化学などの分野を主に担当する。明治学院大学、東洋大学非常勤講師。著書に『理学部・理工学部』『理系学術研究者になるには』(以上ぺりかん社)、『お酒の科学』(日刊工業新聞社)、『あっと驚く科学の数字』(共著、講談社ブルーバックス)など。
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000226700



    【目次】
    はじめに [003-005]
    目次 [006-012]


    第1章 おいしさとはなにか 013
      「食べてよい」すなわち「おいしい」
      味はシグナル
      おいしさは生命維持のために備わった快感


    第2章 おいしさを生む化学変化 023
      おいしさへの変化 024
        分解されるとうまくなる
        タンパク質の変性と凝固
        こんがりはメイラード反応
        乳化でとろりとした口ざわりに
      食べ物の状態を決める、水の役割 033
        水分量とおいしさ
        水分活性と保存性


    第3章 おいしさの素を探る 039
    ◎だし 040
      うま味とは
      合わせるとおいしくなる
      うま味は凝縮する
      世界のだし
      やみつきになるかつおだし

    ◎調味料 051 
      おいしさを引き出す食塩、砂糖、食酢
      微生物が作る複雑なおいしさ――みそ、
      食品を格段においしくする油脂
      おいしさを引き立てる香辛料(スパイス)や香草(ハーブ)

    ◎熟成 066
      時間をかけてもっとおいしく 
      うま味と色の変化
      しょうゆのメカニズム
      独特の食感を生み出す
      食品をおいしくする魔法


    第4章 食材のおいしさを探る 073
    ◎肉のおいしさ 074
      肉のおいしさを決める要因とは 
      組織構造と脂肪がおいしさの決め手
      ナッツのような香りが魅力の熟成肉
      和牛肉特有のおいしさの秘密
      肉のかたさは何で決まるか

    ◎魚介類のおいしさ 085
      握りずしは江戸の偉大な発明品
      赤身、白身、イカ、貝――すしネタの食感にはワケがある
      シャリやノリも使い分け
      海藻の色
      アワビの歯応えの秘密

    ◎野菜のおいしさ 108
      野菜独特の味・香り・食感
      おいしさを左右する鮮やかな色
      野菜や果物の変色を防ぐには
      次々生まれる新品種
      高機能野菜を量産できる、管理技術

    ◎米のおいしさ 099
      味がないからおいしい
      粘り気が米の特性を決める
      冷めたご飯がおいしくないのは

    ◎豆類のおいしさ 122
      世界中で食べられている豆 
      大豆七変化
      デンプンを巧みに操るあん作り


    第5章 調理から生じるおいしさ 133
    ◎おいしさを作る熱 145
      熱の伝わり方
      ゆでる、煮る、蒸す
      煮込み料理のおいしさ、カレーのおいしさ
      熱が生む卵料理のおいしさ
      焼く、揚げる
      電子レンジのスピード加熱

    ◎おいしさを作る形・テクスチャー 
      切る
      混ぜる、こねる
      攪拌する


    第6章 おいしさを作るテクノロジー 167
    ◎香りを作る 168
      コカ・コーラが火付け役だった、食品香料の進化
      調香師が数千の香料から香りを組み立てる
      「ひとくち目」「のどごし」「余韻」の3段階変化
      次々に生まれる個性的なフレーバー

    ◎冷凍食品と不凍素材 177
      おいしくなった冷凍食品
      不凍素材が冷凍食品をさらにおいしく

    ◎おいしさを計る 186
      おいしさを評価する
      味を計ることが可能に
      味覚センサーを使って味を設計

    ◎おいしさを包む技術 197
      プラスチックフィルムの包装技術が向上
      5種類の貼り合わせでいつでもパリパリ
      呼吸する野菜や果物に透過性で対応


    第7章 おいしさを感じる脳と味細胞のしくみ 207 
      おいしさを感じる脳の連係プレー
      空腹は最高の調味料
      もっと食べたい
      分子レベルで明らかになった、味細胞のしくみ     
      脂肪と糖はなぜおいしい
      甘味を感じるしくみ
      味覚は衰えるか
      状況によっておいしさは変わる
      なぜ食べすぎるのか。止まらない食欲のメカニズム


    おわりに [232-233]
    参考書籍 [234]
    さくいん [235-238]

  • わたしたちが食事を愛するのは、食事を通して「おいしい」という経験を得られることを知っているからです。では、そもそも「おいしい」とはどういうことなのでしょうか? 本書では、人間がおいしさを感じるメカニズムを分解し、定量的な説明を加えているほか、食品のおいしさがどのようにして生み出されているのかを、食材および調理の面から詳しく説明しています。
    (経営工学系 B4)

  • うーん、食品の成分や調理方法によってこう変わる!というのはよくわかったのだけど、タイトル的に「人はなぜこれを美味しいと感じるのか」みたいな話を期待してたため、肩透かし感はあった。

  • おいしさの科学素材の秘密・味わいを生み出す技術
    科学的な視点から美味しさとは何かを知ることができました。

  • 図書館
    美味しさを科学的に。

  • ・アミノとカルボニルによるメイラード反応でパンの焼き目がつく
    ・野菜を加熱するとタンパク質が変性してクロロフィルのMgイオンが脱離して黄褐色になる。MgがCuやFeに置換されると緑色が安定化する
    ・ナスなどの紫色はアントシアニンがFeやAlと錯形成すると安定化する。ミョウバンで安定

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00260624

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著者プロフィール

博士(農学)。食品メーカー研究所勤務のあと、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。現在、サイエンスライターとして専門誌や科学系ウェブサイトに執筆。明治学院大学、東洋大学の非常勤講師も務める。主著:『おいしさの科学』(講談社)、『理系学術研究者になるには』『理学部・理工学部』(ぺりかん社)など。

「2019年 『栄養学部 中高生のための学部選びガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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