新しい1キログラムの測り方 科学が進めば単位が変わる (ブルーバックス)

  • 講談社 (2018年4月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784065020562

作品紹介・あらすじ

腐食せず、摩耗にも強く、慎重に扱えば10万年は機能するだろうと言われていた「キログラム原器」。しかし、製作から約130年がたったいま、じつはその原器の重さがゆらいでいることがわかってきました。重さの基準が変わってしまえば、1グラムあたりいくらという約束によって成り立っている取引も安心して行えません。絶対に変わらず、誰にとっても納得できる「重さ」の基準とはなにか? 最先端の科学がその難題に挑みます。


「キログラム原器」がなくなる!?
2019年、質量の単位の定義が130年ぶりに変わります!


1889年のメートル条約決議以来、世界中のあらゆる「重さ」の基準であった「国際キログラム原器」がその役目を終えようとしています。
なぜ新しい定義が必要なのか?
単位を決めるとはどういうことなのか?
数億分の1をめぐる計測の世界で展開されるメトロロジスト(計量学者)の挑戦を追えば、そこには「単位」と「科学」の深い関係が見えてきます。

2019年に改定される定義は次の4つ
・質量の単位キログラム「kg」
・電流の単位アンペア「A」
・物質量の単位モル「mol」
・温度の単位ケルビン「K


【目次】
第1章 計測の基本――単位とは、測るとは
第2章 メートル法の誕生――すべての時代にすべての人々に
第3章 地球から光へ――メートルの定義の変遷
第4章 原器から原子へ――キログラム原器の受難
第5章 メートル法」から国際単位系へ――あらゆるものを測定対象に
第6章 量子力学と相対性理論の時代――宇宙をつらぬく法則
第7章 量子標準の時代――取り残されるキログラム
第8章 原器から光子へ――キログラムと光をつなぐ天秤
第9章 新しいキログラムへの道――動き出した国際プロジェクト
第10章 一気にゴールへ――メトロロジストたちの奮闘
第11章 定義改定がもたらすもの――すべての時代にすべての人々に
付録 光速度不変の原理/プランク定数と電気素量/電気素量と力の関係

みんなの感想まとめ

単位の定義が科学の進歩とともに変わる様子を描いた本書は、計測の基本から最新の量子標準までを網羅しています。読者は、キログラム原器が130年の歴史を経て新たな基準へと移行する過程を追い、単位と科学の深い...

感想・レビュー・書評

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  • 疑問に思っていた単位、度量衡の仕組みが全て理解できる有用な本でした。なかなか難しい理論もありましたが、今後の変更に期待です。

  • 面白かったですが、後半が難しいと感じました。
    質量が原器から解放される、わくわくしました。

  • 測ることの奥深さが面白い

  • ●メートルやキログラムと言う単位は、革命期のフランス。
    ● 1秒振り子の長さ、地球赤道の長さ、地球子午線の長さをもとに単位が検討。
    ●メートルは、北極と赤道の間の子午線の10,000,000分の10キログラムは、水1立方デシメートルに相当する質量。
    ●光の速さが秒速2億9979万2458メートルと決定。それ以後は、光の速さ基準に1メートルを定義する。
    ●電流(アンペア)時間(秒)、熱力学温度(ケルビン)、光度(カンデラ)、物質量(モル)
    ●量子を単位として計測の標準を作り出すことを「量子標準」と言う。
    ●原子時計の出現。1967年にセシウム原子の固有の周期に基づく秒の定義に変わる。
    ●シリコンによるアボガドロ定数の決定。
    ● 2018年には、国際単位型7基本体のうち4つ。キログラム、アンペア、ケルビン、モルの定義が改正されます。改訂の瞬間、何が変わるのか、何も変わりません。

  • 第95回アワヒニビブリオバトル「テスト」で紹介された本です。オンライン開催。チャンプ本。
    2023.1.14

  • 609-U
    閲覧新書

  • これまでキログラム原器やメートル原器といった、不変でないものを基準に単位の基が定められていたが、今回の単位の定義の改定により、不変のものを基準にしたということが大きな変化だということが理解できました。メートルなら光の速さが定義に、キログラムならプランク定数とアボガドロ定数が定義になっています。本書ではこのプロセスがわかりやすく説明されており、特にプランク定数とアボガドロ定数を比較するためのメトロロジスト(計量学者)の努力が伝わってきます。わかりやすく説明されているとはいえ、不確かさなどの専門用語も結構出てきますので、理解するにはある程度科学の素養が必要かと思われます。
    キログラムの話では、キッブルバランスによりプランク定数が、アボガドロ国際プロジェクトによりアボガドロ定数が測定できたわけですが、こういう発想に叡智を感じます。また、写真で紹介されておりましたNISTの『キッブルバランス』が美しくて、思わず見入ってしまいました。
    測定とは科学そのものだと実感しました。メトロロジストの叡智と努力に触れる事ができます。

  • 何気なく使っている「単位」。その裏でこんなドラマがあるとは。

    この話はぜひ中学校あたりで知ることができたら面白いのではないかと思いましたが,大人になって,「測る」ことに興味がでたから面白いのかもしれないとも思いました。

    私たちの世界がいかに誰かの支えによって安定しているかがわかるお話でした。

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB25919929

  • 単位の決定・統一の歴史からその改定やそれに関わる理論・技術についてとてもよくまとまっていてよかった.
    諸々が量子標準になっていくのめちゃめちゃ正しい...
    原子時計とプランク定数でドミノ倒ししていくの良すぎる.
    あとアボガドロプロジェクトの国際競争・協力すごい.

  • 昨年、キログラム原器が年々重くなっているなどのニュースが取り上げられていた。その後はまったくと言っていいほど後日談が語られず、どうなったのか気になっていたところに図書館で目に飛び込んできたのがこの1冊。もともと品質管理の仕事をしていた事からキログラム原器に変化があれば常日頃の検査データにおいても変化が生じるので?と考えていたので読んでみた1冊となりました。
    メートル・秒・カンデラ・キログラム・アンペア・ケルビン・モルの7基本単位のうち、キログラム以降4つの単位は2019年5月20日(読了の2日前!)に改定が行われたとの事。日常これらを何気なく使っているが、今すぐ問題が発生する事ではないとの事。今後さらに科学が進歩すれば誤差が生じでくるのだろうが、それはこれからの問題。自分の生活では必ず使う単位。それらを見過ごさずにいきたいと思った。

  • 長さの定義がメートル原器から、光の速度を基準にしたものに変わったのはいつだったでしょうか?学生時代に友人たちと、重さの単位を恣意的な「もの」から、比較的普遍的な定義へ変えることは困難だ、といった議論をした記憶があります。
    さて、今年2019年、重さの定義が原器によるものから、普遍的なものに変わります。ではどのように変わるのでしょう?

    また、この本は重さだけでなく、それ以外の「定義」がどのように定められているかも述べています。詳しい必要はありませんが高校レベルの理科的な知識が必要だと思いますが、とても楽しく読めました。これぞブルーバックスといった一冊です。

    最近は新書の劣化が激しく、あたかも新書地獄とでもいうような状況ですが、クズも多いものの良書もたくさん出てますね。

  • 質量の基準が実体としてのキログラム原器から物理定数を基準とした抽象的な定義へと変わることを最近の報道で見かける。本書では、まさにその定義変更に携わった著者が、質量だけでなく、様々な「単位」について解説している。
    もっとも、新しいキログラムの定義は、プランク定数やアボガドロ数を用いるなど、素人から見ると概念的で、正確さ(誤差)は減るものの、イメージはしにくい。その上、本書の前半の「長さ」(メートル)の定義の仕方について、原器から光速を基準としたものに変更する部分の記載で、「時間」(秒)が誤差なく決定できるということが何の説明もなく前提とされていて、そこで引っかかってしまった。
    というわけで、少々読みにくい部分もあるが、様々な単位の再定義により、例えば、質量であれば、誤差は原器が負うことになるなど、基準の変更によって考え方や実態が変わるという部分は中々興味深かった。

  • 物理法則から

  • 時間や長さ、重さなどの基準が10億分の1程度かわっても日常生活には何の影響もない。が、単位と単位は相互に依存しあっているし、単位の定義の確からしさ以上の精度をもって物事は測定できない。メートル原器のように手で触れるものからより物理学的で世界中どこでも再現できる基準に変更していこうというメトロロジスとたちの熱気も伝わってくる本。
    役にも立たない知識、と言ってしまえばそれまでだが、役にたたないことこそ面白いという好例。

    ・1メートルは北極点と赤道の間の子午線の弧の1000万分の一、1キログラムは水1リットル(1メートルが定義されると10cm立方の大きさも決まる)の質量、として1798年に定められた。1875にメートル条約が定められた時、子午線の長さを再測量しようという話もあったがこれまでとの整合性を重視して当時使われていたメートル原器の値を継承することにした。

    ・キログラム原器はその保管場所に三重の鍵がかけられており、それぞれ別々の三人が持つ鍵がそろわないと中にあることが確認できない、というぐらい厳重に管理されているが、1889年に作られて以来、50μg(おそよ指紋一個分)ほどの変化が生じているとされている(副原器との比較からの推測)。

    原器から離れて定義を策定しようという時、重量を定義するためには2つの方法が考えられた。一つは既知の原子を多数集める(アボガドロ定数を正確に求める)、もう一つは電磁気力によって発生した力を用いるもの。
    E=mc2を用いて
    質量=プランク定数X電磁波の周波数/光の速さの2乗
    ということもできるが、プランク定数を正確に求めることはアボガドロ定数を求めることと等価(両者の関係を表す式がある)

    純粋な結晶での原子一つが占める体積は分かっているため、まず、シリコンの結晶を作ろうとした。シリコンには大多数を占めるシリコン28の他に29,30などの同位体がある。そのため、シリコン結晶をこのまま使っても制度は1000万分の1レベルが限界であった(キログラム原器は1キロ当たり50μgなので1億分の5)ため、制度が一桁不足している。

    この問題の解決のため、冷戦の終結によって使わなくなった遠心分離機をロシアが提供することを申し出、シリコン28を濃縮するという国際プロジェクトが立ち上がった。
    得られたシリコンの結晶を正確な球体に切り出す技術は日本とドイツのみが有しており、これでシリコンを切り出した。

    その結果、「キログラムはプランク定数の値を正確に6.62607015X10-34ジュール・秒と定めることによって設定される」という定義ができた。

    ・温度は水の氷点が0度、沸点が100度、絶対零度がマイナス273.15度。しかし、氷点は実際は氷水が空気に触れている状態のため空気が溶けて凝固点降下などの影響があって安定しない。そのため、現在では水の三重点(固体、液体、気体の三相が存在することのできる温度)がを基準にとっているが、これはマイナス0.01度。なのでケルビンの一目盛りは273.15分の1ではなく273.16分の1。

    ・秒は最初、地球の自転(一日=86,400秒)をもとにしていたが季節変動や経度変動があるため1956年に地球の公転に基づく定義(1年=31,556,925.9747秒)に変更された。その後、原子周波数標準の研究が進み、1967年にはセシウム原子の固有の周期に基づく定義(Cs133原子の9,192,631,770周期)となっている。こうした定義の変更のたびに精度は二桁ほど上がり、現在の不確かさは10^-14のレベル

  • 本館開架(新書) [国際単位系]
    http://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB25919929

  • とても面白かった。かつての原器使用時の課題から、いかに時を経ても変わらないものにするか、そしてそれを実現するためのアイデアと測定技術の進歩。
    よい意味での変態が、科学技術の土台を支えているのだなあと思う。

  • 長さ(メートル)や重さ(キログラム)、時間(秒)など私たちの日常生活には当たり前のように様々な「単位」が存在しています。これらの単位がどのように定義されて来たのかという歴史をひもとき、そしてその定義が科学技術の発達に伴い、どう変化していくのかを易しい切り口で紹介する本です。
    かつてメートルの定義は地球の子午線を基準に定義され、基準はメートル原器という合金製の棒でした。科学技術の発達に伴い、より高精度が求められ光の波長、そして光の速度を用いた定義へと進化して行きます。
    「単位の定義以上には高精度の測定ができない」という制約が、それぞれの時代における最先端科学によって単位を定義する動機付けとなっています。
    そして長らく単位の再定義の流れの中で、フランス革命の時代に定義された質量の定義である「キログラム原器」という分銅のような錘で定義されてきた質量の定義が約130年ぶりに改められるという歴史的な瞬間を迎えようとしているのです。これら興味深い事実なども踏まえ、単位の定義がいかに私たちの日常生活に大きな影響を与えているのかを読みやすい新書サイズにまとめた一冊です。

  • 請求記号 609/U 95/2056

  • 腐食せず、摩耗にも強く、慎重に扱えば10万年は機能するだろうと言われていた「キログラム原器」。しかし、製作から約130年がたったいま、じつはその原器の重さがゆらいでいることがわかってきました。重さの基準が変わってしまえば、1グラムあたりいくらという約束によって成り立っている取引も安心して行えません。絶対に変わらず、誰にとっても納得できる「重さ」の基準とはなにか? 最先端の科学がその難題に挑みます。

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著者プロフィール

1987年、東京工業大学総合理工学研究科修士課程修了。学生時代の専攻は精密工学。新日本製鐵株式会社(現・日本製鉄株式会社)を経て、1990年、通商産業省工業技術院計量研究所(現・産業技術総合研究所)入所。振動計測、光波干渉計などの研究に従事。開発した振動加速度校正の国家標準装置は、自動車の衝突安全性向上などに生かされている。2012年より世界18人の委員から構成される国際度量衡委員会のメンバー。博士(工学)。長野県生まれ。趣味はオートバイツーリング。振動加速度の国家標準開発に対して第43回市村学術賞貢献賞受賞(2010年度)、おもな著書に『宇宙を支配する「定数」―万有引力定数から光速、プランク定数まで』『新しい1キログラムの測り方―科学が進めば単位が変わる』(以上、講談社)がある。

「2023年 『秒・メートル・キログラムの大研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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