ジョン・ハンケ世界をめぐる冒険 グーグルアースからイングレス、そしてポケモンGOへ
- 星海社 (2017年11月25日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065105559
作品紹介・あらすじ
グーグルアースからイングレス、そしてポケモンGOへ――。
Googleを飛び出し、ナイアンティック社を創業したジョン・ハンケは、常に革命的なプロダクトを世界に送り出し、人々を熱狂させつづけてきた。
テキサスの田舎町を抜け出したかった幼少期、プログラミングにのめりこんだ学生時代。巨大企業Googleでの成功と葛藤。そして、ナイアンティックでの自由な挑戦へ――。
世界が今もっとも注目する経営者にして哲学するプログラマーが、その半生と思想をしずかに語った、未来を生み出す偉人のはじめての自伝。
全世界に先駆け、日本の読者に向けて堂々の登場!
感想・レビュー・書評
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p.25 老いて自分の人生を振り返ったとき、おもしろい話であふれているように生きたい。それが私の考えです。もちろん、人間は、本能的に不安な時期は何度かありました。しかしそれでもわたしは、チャンスがまわってきたときには、たとえ困難なハードルが見えたとしても、挑むようにしてきました。
p.46 グーグルアースがハリケーンカトリーナが襲った時に使われ感謝の言葉をかけてもらうことで、わたしたちの仕事は単なるお金儲けではなくら世界に貢献できるのだと考えるようになったのです。
p168. 禅師鈴木大拙は「自分を燃やしきれ」と言っています。足を目一杯使わない限り、人間は満たさせることはないのです。人生には時に困難な問題が訪れます。そこから何かを学びながら歩んでいけば良いのです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ナイアンティックCEOの自伝。子供時代の回想から始まり、ポケモンGOのブームまで、どのような道を歩んで来たのかを語る。
やはりメインとなるのは、副題にもある3つのプロダクト「Google Earth」「Ingress」「ポケモンGO」がどのように誕生したのかということ。見事なまでに連続性があり、何かが生まれるときは、必ず元となったものがある。あまりにも分かりやすい流れなので、意外性は少ない。それでも成功させているのだから大したものである。
興味深いのは、著者はポケモンGOなどをARという言い方で呼ぶのは好まないということ。ARだとスマートグラスのような特定のデバイスを連想するからだ。たから彼はHD Realityと呼ぶらしい。確かにポケモンGOをARと呼ぶとき、それはカメラを使って現実世界とポケモンを重ねる機能を指すことが多い。しかしそれが無くとも現実世界にデータを重ねることで拡張しているのだから、ARにも広義と狭義があると理解したほうがいい。 -
インタビューその他を補完してNiaが監修した本なのでどこかで読んだ内容が多いのと、本の出版以降にもインタビューで話してることが多かった。
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著作ではなく、日本人がインタビューして構成しなおしたもの。ポケモンGOにあやかろう作戦なんだろう。
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今年(2018)の初めに、妻に誘われて、伊勢で開催されたIngressのイベントに初めて参加しました。予め設定されたチェックポイントを探しながら、コースを回って、その終了後にメダル(電子上の)を貰うゲームですが、とても面白かったのを覚えています。
この本はそのゲームを作成した会社(ナイアンティック社)のCEOである、ジョン・ハンケ氏によって書かれたものです。彼は私より2歳下です、同じような環境にありながら、ずいぶんと異なる人生を送ったのだなと思いました。
ゲームをまず楽しみ、それをもっと高めるために、今後は作る方の技術を磨き、そして更に完成度を上げるために、自分よりも優れた専門家を束ねて会社をつくって、製品を提供する、素晴らしい起業家だと思いました。そうして完成したのが、今では誰でも名前だけは知っている「ポケモンGO」です。Ingressというゲームは、それを生み出した、いわゆる元となるゲームのようですね。
単なるお金儲けよりも、自分が楽しんできたことを、世界中の人達に楽しんでもらうために、どうすべきかを常に考えている姿勢は見習うべきポイントだと思いました。
以下は気になったポイントです。
・pushとは、無理やりせっついて人を動かすこと、pullとはメンバーみんなに共通する、高い目的を設定すること。個人の名声や金銭欲求を刺激するよりも、それぞれのメンバーに「自分たちはチームとしてどういう状態になりたいのか」を考えてもらい、納得してもらうことが大事である(p36)
・2002年にKeyholeのサービスを利用する企業は、1アカウント1200ドルかかったが、グーグルに吸収された後は、B to Cのサービスとなり、利用料は30ドル以下、そして2005年にローンチしたグーグルアースは無料で使えるようになった(p45)
・グーグルマップを公開して半年後の2005年8月に、大型ハリケーン「カトリーナ」がメキシコ湾岸を襲った、この時のGeoチームの行動は、pullの重要性を強く思い起こさせた、そして世界初のスマートフォン(初代iPhone:2007.6.29)に搭載された(p46、47、48)
・人々を幸せにする方法は2つある、1)体を動かすこと、2)人と人をつなげること、人間という動物にとっては、人間との関係が最も大切であり、それこそが「イングレス」の根幹にある思想である(p56、69)
・2013年10月には、イングレスは誰でも参加できる、オープンβに移行、11月15日には正式運用となった。今では2000万ダウンロード(p72)
・ナイアンティックの4つの活動指針は、1)世界がゲームの舞台である、2)動いて遊ぶ、3)現実世界の友情をつくる、4)新たな視点から街を見る、これは「イングレス」でも「ポケモンGO」でも共通している(p73)
・イングレスでは、プレーヤーそれぞれが自分の住む町にはどんな文化があるのかを再発見し、現実をもう一度見直すような体験を提供している(p79)
・人間は身近なものを退屈に感じ、同じ道をくりかえし通って慣れてしまうと、どんなに素晴らしい景色もつまらなく思えてくる、イングレスの根本にあるフィロソフィーは、わすれられた空間に人を呼び込み、そのことによって忘れられた空間がまた栄えるように、というもの(p81、95)
・地方政府が独自に「イングレス」を活用しようと動いた事例は、おそらく岩手県が世界ではじめであろう(p99)
・日本のローソンと、2014.11に「イングレス」と提携を発表している(p101)
・2014.7 iOS版リリース以後、日本のイングレス、プレイヤー数はアメリカとほぼ同じになった、人口比を考えると驚異的な数字である(p107)
・もし仮にグーグルが「ポケモンGO」というアプリを申請したなら、ライバル関係にある appleは、リジェクトしたかもしれない。なので、ナイアンティックは、グーグルからの独立を選んだ、なのでApple Storeへの申請時も問題は起こらず、任天堂とも抵抗なく交渉できたのではないか(p136)
・イングレスは2013年12月の正式サービスから、2年以上かけて1400万ダウンロード、ポケモンGOは、1か月で1億3000万ダウンロード(p138)
・ナイアンティックの長所の一つは、日本とのつながりが深いところ、それを活かして、今後も日本人と文化的なコラボを生み出したいと考えている(p159)
・グーグルの目的は、目先の利益を得ることではなく、世界を変えることにある、会社の利益よりもユーザーに貢献することを優先してきた(p163、164)
・若い人に言いたいことは「好きな道を選んでほしい」、人間として満足する道を選ぶ、ということ(p167)
2018年5月13日作成 -
彼は「自分を燃やしつくせ」と言い、そして、「Make them(創るしかない)」と言う。夢のある本だった。
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ナイアンテックCEOのジョン・ハンケの本。アメリカで発売した本の日本語訳だろうなと思ったけど、よくよく見てみたら訳者の名前がどこにもないうという。どうやら飯田和敏という人と1年以上にわたる対話からうまれた本らしい。こういう場合、訳者は表紙に書かないのか(中を見ても誰が訳したのかは分からなかった)。
内容は、ジョン・ハンケがコンピュータとであってからポケモンGoをだすまでの話。例にもれず(?)、高校時代にはゲーム制作といったプログラミングに熱中し、マッチングソフトも開発したらしい。フェイスブックかよと思ったら、やっぱりその後、「しつこくつづけていたら、マーク・ザッカーバーグよりも早くFacebookのようなソーシャルネットワークサービスを作るようになったのかもしれません」と書いてあった。まあ、ポケモンGoはともかくIngressはちょっとしたSNSっぽい感じもうけるけど(いや、やったことはないのだけど)。
イングレスは巨大なフィールドづくりをはじめ、田舎のほうがむいているという面もあるらしい。ポケモンGoは田舎のほうが不利という意見をよく見るけど、こういう点はもっと改善してほしいところ。田舎格差のあるポケモンGoについては何か考えてたりしないのだろうか。 -
ナイアンティック社のことをもっと知りたいと思い読了。人を家の外で遊ばせたいというシンプルな思いで、テクノロジーを活用しながらその世界を実現している様子が読み取れて面白い。AR業界を牽引していきたいとのことなので、これからも追いかけていきたい。
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読みやすく、著者の他者に貢献する事が幸せという考え方が、素晴らしいと思いました。