アニメプロデューサーになろう! アニメ「製作(ビジネス)」の仕組み (星海社新書)

著者 :
  • 星海社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065114391

作品紹介・あらすじ

アニメスタジオ「ヤオヨロズ」のプロデューサー・福原慶匡が、自身が学んできたアニメ「製作(ビジネス)」の仕組みをまとめた1冊。

感想・レビュー・書評

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  • コンテンツビジネス、エンタテインメントのビジネスは本当に難解。だからこそ目指す人を増やす必要がある。
    本書はコンテンツビジネスのポイントを網羅的に解説している。
    本書を読み解けたらプロデューサーとして合格だろうと思った。
    (当方も過去いくつかの作品の製作委員会に参加した経験がある)
    しかしながらアニメプロデューサーをこれから目指すという未経験の人が、本書を読むだけで内容を理解するのは相当に難しい。
    それは本書の問題ではなく、それだけこれらの仕事が難解だからである。
    逆に言うと、よくこれだけ内容をまとめたものだと感心する。
    「制作」という意味での、アニメーション作品を作り上げる工程に携わる人は多数いるだろう。
    これらについてはアニメーション専門学校などでも講義があるだろうし、案外と書籍も出ている。
    業界内幕物として映画などにもなりやすい題材なので、制作プロデューサーの仕事は理解があるかもしれない。
    分かりにくいのは「製作」のプロデューサーだ。
    これはアニメーションに限らず、映画など実写についても同様である。
    「ビジネス」の特徴を理解することが重要で、さらに困難なのはそのビジネスで「儲けること」なのだ。
    正直、利益を出しづらいビジネスと言っても過言ではない。
    しかしながら、大ヒットを起こせばその心地よさは格別である。
    どんなに経験を積んで、これら仕組みを理解し尽くしたプロデューサーであっても、永遠に連続してヒット作を飛ばし続けることは絶対に出来ない。
    「9本の赤字を1本の大ヒットで埋め合わせして、全10本で何とか黒字化」というビジネスモデルは、当方の経験と照らしても合致していると思う。
    コンテンツビジネスの経営のポイントは、この資金繰りの悪さと、数字が安定化しないところだ。
    だからこそ各社とも「窓口権」という安定収入を図って、少しでも投資のリスクを下げることを行う。
    そんなことも含めて時流を読み解きながら、どの作品にメリハリ付けて投資をしていくのか。
    この判断は実は相当に難しい。
    それなりにヒットを出しているはずの会社が、たった1本の投資判断ミスやタイミングの悪さなどで簡単に倒産してしまうのを何度も見てきた。
    なぜそういう事が起こるかというと、全10作に同額ずつ持ち分割合もビジネス形態も全て同じとして出資をしたならば、結果の良し悪しだけを計算すればいいだろう。
    現実は、全10作の中でも、ヒットしそうな作品に大張りできず、赤字作品に高額出資をしてしまうことがあり得てしまう。
    10作の内でも、出資金額も持ち分割合もビジネス形態もそれぞれ異なるから、会社経営が不安定化してしまうのだ。
    これらコンテンツビジネスの投資は決してギャンブルではない。
    運任せではないのだが、ヒットに「運」が左右されてしまうのは間違いない。
    むしろ自身の判断でコントロールできる範囲も狭いながらあるのだが、その範囲での操縦が実に難しいということでもあるのだ。
    関わる人数が増えれば増えるほど意見をまとめるのは難しくなっていく。
    作品内容についてもそうだし、ビジネスプランについても、たった一人の尖がったアイディアを10社の合議で進めていくのはなかなかに無理がある。
    こういうビジネスの特性も全て腹落ちしてから、業界に飛び込んでくればいいと思う。
    「こんな仕組みが変だ」と言ったところで始まらない。
    なぜか日本ではこの方式で長期間続けてきた訳である。
    問題があればとっくに廃れているはずが、現在でもこの方式が残っているということは、それなりに課題はありつつも「歴史の中で最適解だった」という証明に他ならない。
    今はテクノロジーの加速的な変化によってあらゆる業界がいよいよ変革を迫られている。
    今までの最適解とは言え、これからは変化せざるを得ないだろう。
    しかしながら、過去のやり方全てが否定されることはあり得ない。
    本書の中で記載されている部分で、何の項目が残り、何の項目が時代に合わせて変化していくのかを考え、それこそ操縦しながら追いかけていく必要性があるのだ。
    はからずも本書の最終章は「呑み会の作法」についての内容だった。
    コロナ禍となり、呑み会自体も開催が出来なくなった訳だが、ここはどうやってアップデートされていくのだろうか。。
    「呑み会の作法」は変わるのか、「呑み会」自体が消滅するのかは不明であるが、人間が社会的な生物である以上「腹を割って話をする」「交流を深める」「お互いを理解する」は根源的な部分としか言いようがないと思う。
    他人とのコミュニケーション方法は、今回のコロナウイルスによって今後どうやって変化していくのだろうか。
    私自身もどうやって変化に対応していこうか悩みながら生きている所である。
    そういう状況の中で、他者との軋轢の中でこそ、今までにない素晴らしい作品が生まれることもまた事実だったりする。
    そういう点も踏まえ、本書を読みながら考え込んでしまう自分がいた。
    本当に奥深い仕事である。
    業界を本気で変えて行ける人が一人でも増えることを願いつつ、自分自身も諦めずに頑張っていこうと思った。
    (2022/5/25)

  • ヤオヨロズ株式会社取締役の他多くの肩書を持つ福原慶匡氏がアニメの製作と制作についてまとめた本。クールジャパン戦略の一つとしてアニメが注目をされています。そんな中で本書はアニメプロデューサーを目指す人へ書かれたものなので、アニメをトータルビジネスとして捉えているのが興味深いです。アニメに関わるビジネスを一つずつ関連する法律、契約形態や商慣習などを具体例を交えながら解説しているので分かりやすいです。ネットなどで叩かれている製作委員会方式やJASRACなどについてもきちんと知ることが出来ました。

  • 基本的な製作委員会の体系や関係各社の関わり合い、お互いのビジネスについて、制作プロデューサーだけでなくその他の立場についても詳しく触れられており、タイトルのプロデューサー職に就く方以外の人にとっても学ぶ点は多いと思います。
    これからアニメ業界に携わる者として、目から鱗な内容であり、非常に勉強になりました。

  • 全体的には業界内部にいなければ分からないような具体的な金額のことまで書いてあって面白かったが、最後の飲み会の話はいらなかった。アニメ業界は若者に夢を見せる気はないんだな、内部から変わることはないんだなとはっきり思ってしまった。

  • 内容もまとまっているし、著者の考えも納得できる内容で入っていた。アニメ関連業界、中にいれば当然のことなど、全体を一掴みできたのでアニメ業界の基礎知識が分かりました

  • 中盤の仕組み話の細やかで良いのが終りの飲み話で台無し

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著者プロフィール

株式会社8million代表取締役社長、プロデューサー。1980年神奈川県生まれ。早稲田大学教育学部卒、KMD後期博士課程在学。大学在学中に歌手・川嶋あいの路上ライブの手伝いから音楽業界で働き始め、シングル『明日への扉』が90万枚超のヒットを記録。その後、『けものフレンズ』『ケムリクサ』等アニメーション作品のプロデュースを手がける。ソーシャルクリエイティブレーベル8million、中国CGスタジオRoot Studioを設立するなど幅広く活躍している。

「2021年 『クリエイターとクライアントはなぜ不毛な争いを繰り広げてしまうのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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