姦通裁判 18世紀トランシルヴァニアの村の世界 (星海社新書 129)

  • 星海社 (2018年4月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784065116364

作品紹介・あらすじ

貴族夫人をめぐる愛憎劇から浮かび上がる、近世の村のかたち
一七六五年の夏。ヨーロッパの東のはずれ、トランシルヴァニア侯国のコザールヴァール村で、ある裁判の証人尋問が行われた。原告は領主の一人・イシュトヴァーン。そして被告は彼の妻・ユディト。罪状は「姦通」であった。のべ一〇〇人を超える証人の口から赤裸々に語られるのは、ユディトと間男・アーダームの堂々たる逢瀬、これまでの赤裸々な男性遍歴と子どもたちの出生にまつわる疑念、魔女と媚薬、そして繰り返される暴力……。ユディトは果たして、ただの淫蕩な女だったのか――? 東欧史研究のトップランナーが証言記録を縦横に読み解き、ユディトらを取り巻く近世ヨーロッパの村の暮らしを復元し、事件の深層に迫る。新たな近世史料学入門、ここに誕生!

感想・レビュー・書評

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  • すごく面白かった。裁判記録の事情聴取から当時のトランシルヴァニアの文化風俗、価値観等を浮かび上がらせていく丹念な史料解読・分析作業の結実した面白い部分だけいただくという贅沢な感じ。
    単純に派手な不倫劇と思いきや、農民たちには見えない裏の事情が…という部分や、数年前の事件が落とした影の影響に思いをはせる部分など、奥行きがあってわくわくした。
    農民たちの野次馬根性や生々しい証言の数々には笑ってしまう。「愛」に対する認識は思ったより現代的なんだなと感じたし、巻き添えを食って迷惑しながらも村の農民たちは間違いなく事の顛末を楽しんでいただろうという様子が生き生きと伝わってきた。女性は一発で「媚薬」と分かるモノが男性にはさっぱり分からず、男たちが寄り集まってああでもないこうでもないと言っているところなど本当におかしい!
    情けない亭主イシュトバーンの行動の不可解さを、他の事例を引きながら「性的不能ではなかったか」と推測するところはなるほど納得。本当にそうだったかは神と夫婦のみぞ知るだけど、いろいろな事情が絡み合ってこんな「大事件」に発展してしまったんだなあ。現代の私たちだって一つ一つのちいさな事件にも複雑ないきさつがあるのは当然だけど、当時のトランシルヴァニアの人々の素朴な生活にも、もっと前の時代、いろんな地域の人々にもそのような「真実」のひだがたっぷりとられた現実があったのだと思うと途方もない気持ちになる。史料学おもしろいなあ。

  • 文書の読み方を学ぶのに、とてもよい本だと思う。

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著者プロフィール

一橋大学大学院社会学研究科 准教授
「貴族の自治の誕生―中・近世ハンガリー史のなかの県制度―」,篠原琢・中澤達哉編『ハプスブルク帝国政治文化史』(昭和堂,2012年)/ロビン・オーキー(三方洋子訳・山之内克子・秋山晋吾監訳)『ハプスブルク君主国 1765-1918』(NTT出版,2010年)ほか。

「2014年 『つながりと権力の世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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