人間に向いてない

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065117583

作品紹介・あらすじ

ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」。政府はこの病に罹患した者を法的に死亡したものとして扱い、人権の一切を適用外とすることを決めた。十代から二十代の若者、なかでも社会的に弱い立場の人たちばかりに発症する病が蔓延する日本で、異形の「虫」に変わり果てた息子を持つ一人の母親がいた。あなたの子どもが虫になったら。それでも子どもを愛せますか? メフィスト賞受賞作!

感想・レビュー・書評

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  • 突如として若年層ばかりが罹る病「異形性変異症候群」に自分の息子が罹ってしまった。

    もはや人としての形は、成さないのである。
    なんとも言えない不気味な虫になってしまった。

    これに罹ってしまうと余命宣告のない致死の病と同等であると見なされ、死亡したこととなる。
    死亡届を提出する義務を課される。

    夫は、山へでも捨ててくる勢いだが、どうしてもできないのはやはり我が子なのだろうか。
    こうなった原因は、自分の育て方が間違っていたのだろうか…。
    欲は言わない、ただ普通の子どもであって欲しかったと…。
    だが、それは自分のエゴであり、押し付けであり、こうすべきだと話しを聞こうともせずに押しつけていただけではなかったかと…。

    姿を変えてしまって喋ることもできないのに、いやそれだからこそ気づかせてくれた。
    家族とは、親子とはどういう関係であるのが理想なのかを。

    以下、一部を抜粋


    〈子どもであった時分は親に対して思うところがあったはずなのに、親の立場へ変わった途端それがわからなくなる。
    完全に視点が変わってしまっているくせ、子どもの気持ちが分かっていると思いこむ。
    螺旋状の負の連鎖が続いていく。
    それはどこかで断ち切らなければいけない。
    己の過ちに気づけたなら、少なくともそこで足を止めることができたなら、違う結果を実現できるはすだ。〉

    上記の〈〉の部分が心に残った。

    親になってから思うこと。
    自分も子どもだったのにそれを忘れたかのように子どもの気持ちも考えずに行動してたのではないか?
    今更だが、悔いることばかりである。
    そして、今もなお、教えられることが多くある。

  • これはまた衝撃的な一冊!

    あなたは我が子を愛してますか…?
    もちろん、「はい!」と答えるでしょう
    では、もし我が子が人間でなくても同じく愛せますか…?

    「異形性変異症候群」という病気がある
    別名ミュータント・シンドローム
    ある日、突然、生物として奇妙な姿になる病気
    虫タイプ、動物タイプ、植物タイプなどあり異形はとにかく気味が悪くグロテスクだ
    見た目のあまりの醜悪さから家族は嫌悪し、世話を放棄、思わず暴行を加え、殺してしまうケースも多々あるぐらいだ

    そんな病気になり異形になってしまった我が子でも愛せますか…?

    これだけ聞くとホラー作品と思ってしまうかもしれませんが…

    違います!

    子育てとは、家族のかたちとは、親の想いとは、子供の気持ちとは何か…、様々なことを考えさせられる作品です!

    • mihiroさん
      1Qさ〜ん♪♪
      この作品、衝撃的でしたよね〜
      虫ほんとに苦手なので、こんなこと起こったら気絶しそう〜ก(꒪◽︎꒪)ก
      なにより、父親にイライ...
      1Qさ〜ん♪♪
      この作品、衝撃的でしたよね〜
      虫ほんとに苦手なので、こんなこと起こったら気絶しそう〜ก(꒪◽︎꒪)ก
      なにより、父親にイライラ!なのであの結果には笑ってしまいました〜(*´艸`)笑
      2023/06/19
    • 1Q84O1さん
      mihiroさーん♪
      こんなこと言ったらあれですが、見た目はほんとに凄そうですよね…(゜o゜;
      父親イライラ!わかります〜
      あの結果、なんな...
      mihiroさーん♪
      こんなこと言ったらあれですが、見た目はほんとに凄そうですよね…(゜o゜;
      父親イライラ!わかります〜
      あの結果、なんなら植物タイプで動けなくてもよかったのにw
      2023/06/19
  • 「異形成変異症候群」…ある日突然人間でなく異形の姿へと変貌してしまう病、原因や治療法の解明はいない…。十代から二十代の引きこもりである若者に発症することが多いことから、美晴も警戒していたがついにわが子、優一が発症し「虫」のような異形に変わり果ててしまう…。それでも受け入れようとする美晴と、受け入れられない父勲夫…、家族の在り方について読者に問いかけてくるようなストーリー。

    人間が変わり果てた姿、虫や魚植物や犬のように異形するって…考えただけで恐ろしいです…。実際にはありえないことだけれど、でも家族って??親は子供のためを思ってあれこれ行動するけれど、子供にとってそれは本当にいいことなのか?押し付けになっていないか?それで子供が苦しんでいたとしたら…??あれこれ思いを巡らせることになりました。エンディングもまた意表をつくものでしたが、非日常でありながら親子の愛を沢山感じることができる作品だと感じました。

  • すごい本を読んでしまった。

    晴子の一人息子 優一は、高校で躓き不登校になり
    二十二になる今まで引きこもりの生活をしている。
    ある日、昼食の呼びかけに応じない息子に異変を感じ、息子の部屋を開けると─視線の先にいたのは
    変わり果てた姿の優一だった。

    『異形性変異症候群』別名ミュータント・シンドローム。 人間がある日突然に異形の姿へと変貌してしまう恐ろしい病だ。患者は特定の年代に集中していて、若者の中でも専ら引きこもりやニートと呼ばれている層に多かった。

    頭部には触覚が生え、頭部の側面には複眼がある。蟻のように頑強な顎、頭部から下は芋虫のようだ。百足のように無数に備わった脚。よく見ると脚は人間の指で 第2関節までしかない。優一は美晴を見上げながらしゃりしゃりと顎を動かしている。

    親はどんな子供にも無償の愛を注げるのか。

    異形の子を持った親は悩む。
    なぜ?どうしてうちの子が?
    わたしの育て方はどこから間違っていたのか?

    子供が虫とも動物とも植物ともいえない奇形な姿となるなんて非現実的なんだけど、この親たちの悩みは、わたしたち子育て中の親(経験した親)なら誰でも考えることではないかなぁと思った。
    過保護すぎた?厳しすぎた?うちの子は「普通の子」と同じように出来ないの?「ちゃんとした大人」になれるの?
    「普通」って「ちゃんとした」ってなんなんだ。
    子育てに正解なんてないだろう。
    なんて、子育てに一段落した今なら思えるけどね。

    自分の子供が異形となった親たちが、外に相談出来ずにいるのは 子供の見た目がグロテスクなだけではないと思う。世間が『異形性変異症候群』=『社会不適合』という認識を持っているから。
    子供が産まれた時から、母親は(父親もかな?)、「親としての資質」を見られているんじゃないかって不安があると思う。子供が何かした時に「どんな育て方しているの?」って言われないように。
    子供の為にと思ってする行動や かける言葉は 本当に子供の為なのか、親のエゴや見栄じゃないか。
    この本を読んでいる最中 ずっとずっと考えさせられた。

    最後に異形となった子供たちの悲痛な叫びが
    描かれているページを読んでいると 胸が締め付けられた。それこそ親のエゴに苦しめられていたり。子供たちの言っていること全てを肯定できるわけではない。繊細すぎて コミュニティをとるのな苦手で社会の中で生きるには息苦しかったのかなとも思う。親の心子知らずとか言うけど、私だって子供の頃があったはずで、親から言われて傷ついた言葉だってあったのに、どうして親になったら それを忘れちゃうんだろう。

    『異形性変異症候群』と診断された時点で、「人間として」死亡の診断が下される。この世にはいないもの。人間の姿をしていない 自分の子供のようなもの。

    子供たちはなぜ『異形』となってしまったのか。

    悩みながら 親たちはどんな選択をするのか。

    美晴と優一は─。

    はぁ、子育てって難しい。
    「必要な手助けだけして、ときには見守るだけのほうがいい」。美晴が母親からかけられた言葉。
    その「見守る」が結構難しいんだよなぁ。
    そしてこの本を通して思ったこと
    「会話」って大事!!


    とはいえ、私の子どもたちは
    本当に私が産んだ子どもなのか?と疑うほどいい子だ!
    親バカ万歳( ᐛv)

    • みんみんさん
      今日も30の娘に出勤前に言っといたわ
      うわぁ〜今日もメチャクチャ可愛い‼︎
      変な男に気いつけろよ‼︎って笑
      今日も30の娘に出勤前に言っといたわ
      うわぁ〜今日もメチャクチャ可愛い‼︎
      変な男に気いつけろよ‼︎って笑
      2023/04/17
    • ゆーき本さん
      めちゃくちゃいいお母さんー(ノ*°▽°)ノ
      娘さんは自己肯定感の高い子に育ってそう♪*゚
      めちゃくちゃいいお母さんー(ノ*°▽°)ノ
      娘さんは自己肯定感の高い子に育ってそう♪*゚
      2023/04/17
    • みんみんさん
      逆なの〜。゚(゚´ω`゚)゚。
      なんでこんなに低いの?って思いながら子育てして
      今や洗脳よ笑
      大学生まではネガティブでポジティブ母さんに腹立...
      逆なの〜。゚(゚´ω`゚)゚。
      なんでこんなに低いの?って思いながら子育てして
      今や洗脳よ笑
      大学生まではネガティブでポジティブ母さんに腹立つ!って言ってた\(//∇//)アハハ
      2023/04/17
  • ひきこもり・ニートの若者がある日突然異形の生物になってしまう奇病。様々な家族が出てくる。子育てや家族との向き合い方について考えるきっかけとなる良い本。
    途中、飼っていた犬を山に捨てたという過去のエピソードがさらっと出てくる等、さりげなく違和感をしのばせているのが上手いと思う。

  • ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病。『異形性変異症候群』…

    息子が虫になりその姿のおぞましさに読むのをやめようかと思いましたが、不思議と情がうつりました。何よりも母親が献身的で一生懸命だったから。なんて深い愛。

  • 「異形性変異症候群(ミュータントシンドローム)」

    この響きがもはや魅力的。ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿に変貌させる病。もう垂涎ものの設定。最初がまたなかなか不快感のある描写で最高。自分の子供がそんな異形の姿になってしまったら、あなたは愛せますか?

    そんな異形の家族を持つ者たちの不安や悩みを共有する家族会「みずたたまの会」がまた不気味。そして所々にその異形の子を持つ家庭の崩壊を挟んである。

    ただ最後がちょっとありきたりだったかな。世界中がその異形になっても面白かったと思う。

    しかしこの話では引きこもりやニートの子らがこの病気を発症する。子育ての観点で、親は良かれと思って説得するのだが、子の気持ちを無視している。介護の仕事でも似たようなことがある。高齢者の方に良かれと思って接するのだが、高齢者の方の気持ちを汲み取れていない。子育てに正解はないのと同様に介護に正解はない。色々考えてしまう。

    第57回メフィスト賞受賞作。

  • 面白かったです。ぐいぐい読みました。
    ニートや引きこもりの若者が発症し、異形となる「異形性変異症候群」。異形も、動物、虫、植物
    、魚類と様々でした。
    カフカの「変身」を、変身された家族の側から描いてるような作品でした。カフカの方はグレーゴルだけだったかもしれないですが、こちらの世界では社会現象でした。変身すると死亡届を出さないといけないし。
    ひとり息子の優一が突然虫になってしまった美晴を主人公としているのですが、夫の勲夫がもう…無理でした。自分の思い通りに生きられない息子はもう邪魔扱いすることとか。読んでいくとこれは美晴にも当てはまるところがあって…でも美晴はそれに気付けて、考えと接し方を改められたので、優一は快復出来たのだろうと思いました。
    優一の葛藤がすごくわかったのは、わたしの親も似てるからかなぁと思ったり。憎んでも恨んでも、結局許してしまうのでしょう…一握りの優しさで。
    津森さんの考えは当たっていると思いました。異形となる本人ではなく、その家族に問題があるのではないか。
    そして、途中で美晴が見た夢。異形になってしまう人とは多分ここに分かれ目があるのだろうな。
    優一が快復し、勲夫が異形になってしまうラストは皮肉ですが、好きです。
    許さなくてもいいのかな。
    正しくなくても、生きていける。
    この物語では分かりやすく異形の形をとっているけど、色々なものに置き換えて読めるなと思いました。家族が、動けなかったりコミュニケーションが取れなくなったら、自分はどうするのか。。

    各章の終わりにある、異形となった子どもとその家族のエピソードがとてもつらかったです。
    第一章の異形が読んでいてキツかったのですが、これ山崎さんのエピソードなんだろうな…と思うと悲しくなりました。
    春町さんの過去もなかなかつらいです。

  • ある日突然自分の子供が人間ではない異形のものに代わってしまう。
    すごく突飛な設定ですが、扱っているテーマは奥が深い親と子の関係性や人間性の承認といったものです。
    最初のうちは、怖いもの見たさという感じで読んでいましたが、途中から自分と子供の関係や他人との関係に思いを馳せながら読んでいました。
    章の終わりのストーリーが怖すぎ。
    本を読んで、人間の性とは何だろうと考えさせられました。
    子供を持つ親、特に子供との関係がうまくいっていないかもしれないと思っている人々に特にお勧めなのかもしれません。きっと思い当たる節は多いと思います。

  • 思ったよりも…良かった。
    もっと陰惨で救いのない終わりかと思ったら、子供と真摯に向き合おうとする母の話だった。
    (メフィスト賞に偏見があったのかもしれない)

    はじめはカフカの変身のような話かと思って、次に「みずたまの会」(被害者の会のようなもの)が胡散臭くそっち系の話?など途中どんな話になるのかと思ったが、主人公の態度は一貫して子供とどう生きていくか、で、それがなぜ元の姿のときに出来なかったのかと思うと悲しくなる。

    特に冒頭の、主人公が実家の母と電話して優一のことを愚痴ったシーンの、廊下に水滴が点々と…の部分は子供目線だと辛すぎる。でも親目線だとやはりそうなってしまうのかな。

    子供のためにできることはそんなにないから、目の前のできることをやろうと思う。まずは今日の夜ご飯を作らないと…

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著者プロフィール

福岡県出身。2018年に第57回メフィスト賞受賞作『人間に向いてない』でデビュー。

「2020年 『私の中にいる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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