人間に向いてない

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 348
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065117583

作品紹介・あらすじ

ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」。政府はこの病に罹患した者を法的に死亡したものとして扱い、人権の一切を適用外とすることを決めた。十代から二十代の若者、なかでも社会的に弱い立場の人たちばかりに発症する病が蔓延する日本で、異形の「虫」に変わり果てた息子を持つ一人の母親がいた。あなたの子どもが虫になったら。それでも子どもを愛せますか? メフィスト賞受賞作!

感想・レビュー・書評

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  • ある日突然自分の子供が人間ではない異形のものに代わってしまう。
    すごく突飛な設定ですが、扱っているテーマは奥が深い親と子の関係性や人間性の承認といったものです。
    最初のうちは、怖いもの見たさという感じで読んでいましたが、途中から自分と子供の関係や他人との関係に思いを馳せながら読んでいました。
    章の終わりのストーリーが怖すぎ。
    本を読んで、人間の性とは何だろうと考えさせられました。
    子供を持つ親、特に子供との関係がうまくいっていないかもしれないと思っている人々に特にお勧めなのかもしれません。きっと思い当たる節は多いと思います。

  •  虫は……むりだよ……

     第57回メフィスト賞受賞作。タイトルと筋を読んだときから読みたかったもの。ミステリとかホラーじゃなくてサスペンス寄りかもしれない。設定とか飛ばして筋だけをみればぶっちゃけよくあるヒューマンドラマなんだよね。親子関係の。子どもが引きこもりニートになっちゃった親とその子どもの。子どもだけでなく、親もまた自分が至らなかったんだ、と考える過程とか、これまた正直にいわせてもらえればとてもありふれた筋だし、作品だな、と。
     で、何がよかったかってと、その設定な。引きこもりニート、要するに家族から疎まれている対象、自分は要らないんだと思っている人間が異形に変化するっていう。異形っていっても虫だったり鳥だったり人面犬だったり植物だったり魚だったり化け物だったり。いろいろあるんだけどね。
     そのおぞましさがすばらしい。そりゃそんなもんと面と向かって付き合おうとはしねぇよ。捨てるならまだいい、殺すよ。殺しちゃうよ。食うのはさすがにどうかと思うけどまあ、魚なら食えそうだな。
     作中のさらっと書かれてる政府の対応がちょっと後手に回りすぎかなって気もするし、政府とか出してくるなら日本限定なのこれ、世界はどうなのって疑問は出てくるんだけど。
     筋というか、根っこで語られている部分はありふれたものではあったんだけど、最後、人間に戻った息子が母を殺そうとするシーンはそうくるか、と思ったし、ラストのオチも秀逸でした。主人公、義母に連絡とって押し付けてやれよそれ、って思ったね。
     結局どうしてその人間が異形になっちゃうのかはよく分からんままだけどな。親から子への感情でなるのかなって思ったんだけど、そうすると中年以降の異形化が増えてきた実情がうまくかみ合わないかなぁ。赤の他人からの感情でも異形化が進むのだとしたら、作中で語られてる比ではないほど罹患者がいるはずで、だったら「家族」からの感情かしらって思うんだけど、夫婦っていうても書類だけの話で赤の他人じゃん。どこを以て家族とするのかあいまいだなぁって。
     まあでも生まれ変われて良かったな。
     抜粋。


     私たちの周りに溢れている正常な人々は、充実した人々は、一体どのようにして日々を生きているのだろうと思います。


     異形化してしまった側の気持ちが連ねてあるパートが一番好きです。

  • はじめのインパクトが強すぎた分、中盤で飽きが来てしまうかもしれない。ただ、後半は親子の関係生について深く考えさせられる内容だった。まだ、子を授けかってない身としてはその辺にある子供の育て方教本よりもよっぽど為になる内容が書かれていると思う。一番、印象に残った場面としては生きることに疲れた若者の心情を数ページに渡って羅列されているところだ。この本の中でこの部分だけでも読む価値はあると思う。単純に物語関係なくすごいと思ってしまった。

  • 誰にでもニートや引きこもりになる可能性があると思う。ちょっとしたきっかけさえあれば私も、誰であっても。だからこそ、この小説は胸に刺さった。

  • 帯を読んだとき、息子が虫になる話しなんて、カフカのようで気持ちが悪いと思いましたが、未来屋小説大賞の第1位に選ばれたと書いてあったのを見て、気持ち悪いかもしれないけど読んでみようと思いました。

    途中、読み進めていっても、この大賞1位というのが無かったら、読むのをやめていたかもしれません。

    この本はとても深いお話しで、姿形が変わっても、息子を愛し抜くこの女性の気持ちには涙が出そうになりました。

    親は愛してるが故に、子どものためと思って勉強や習い事なども押し付けてしまっているのかもしれないのは、当てはまるかもしれないとも思いました。
    よく見て、向き合っていくということ、肝に。

  • 1月-12。3.0点。
    ニートや引きこもりたちが、ある日突然虫や動物に。
    異形症候群と名付けられる。
    主人公も引きこもりから、虫に。
    母親は護ってくれるが、父親は厄介払いしようと。
    治る病気なのか。

    あっという間に読んだ。それなりに良いラストだと思う。
    あってもおかしくないと思わされたかな。

  • カフカの変身を思わせる設定。その設定が決して苦しいわけではないけれど、むしろその後の展開を大いに期待させるのだけれど、その期待を持て余したまま終わってしまったようで少し残念。物語が破綻しているわけではない。でも何だかもったいないような読後感だった。

  • ある日突然、家族のお荷物的存在が異形の生物に変身してしまう。その時、家族は人として看続けられるのか、あるいは人としての死を受け入れて「処分」してしまうのか。
    異形の表現も動物だったり虫だったりするのに、脚や口など一部分が人間のパーツだったりして文字ベースで想像しても気色悪い存在に仕立て上げられています。さすがメフィスト賞、趣味が悪い。
    親子(ただし子は異形の生物)のハートウオーミングストーリーとは新しいジャンルだと思いましたねー。

  • 異形になった家族を、それまでと変わりなく人間として愛せるのか?そもそも、愛していたのか?

    私たちは見える範囲の世界しか見ようとしないし、自分から見える世界こそが真実だと思ってしまいます。「わかっているつもり」「できているつもり」のことは、自覚しているよりずっと多いのではないかな、と思いました。荒唐無稽に思える設定ですが、登場人物の情動ややりとりはどこまでもリアルです。むしろ、この設定でなければ浮き彫りにならなかったであろう家族や社会の問題がふんだんに盛り込まれています。異形のいきものの描写が映像として目に浮かぶような文章です。また、言葉に対する執念や敬意が、登場人物のセリフから感じられました。これを書いた人は決して言葉を軽く扱わないという安心感があります。

  • 『人間に向いてない』 黒澤いづみ|講談社ノベルス|講談社BOOK倶楽部
    http://kodansha-novels.jp/1806/izumikurosawa/

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    ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」。政府はこの病に罹患した者を法的に死亡したものとして扱い、人権の一切を適用外とすることを決めた。十代から二十代の若者、なかでも社会的に弱い立場の人たちばかりに発症する病が蔓延する日本で、異形の「虫」に変わり果てた息子を持つ一人の母親がいた。あなたの子どもが虫になったら。それでも子どもを愛せますか? メフィスト賞受賞作!
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000310485

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著者プロフィール

本作で第57回メフィスト賞を受賞しデビュー。

「2018年 『人間に向いてない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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