未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 62
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065117682

作品紹介・あらすじ

本書は、『未来の年表』の続編である。ベストセラーの続編というのは大抵、前著の余勢を駆った「二匹目のどじょう狙い」である。しかし、本書は決して二番煎じをしようというものではない。「人口減少カレンダー」だけでは、少子高齢化という巨大なモンスターの全貌をとらえるには限界があった。だから今回は、全く違うアプローチで迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 前作を読んだことと、本書の帯に惹かれて購入。少子高齢社会が我々の生活に直接影響を及ぼすトピックスを説く、言わば前作が総論、本作が各論と位置付けられる。出生率ではなく出生数で比較しなければ少子化の実像はつかめない。その少子化は、GHQが占領した日本に対して産児制限を企図したことに端を発しているのは周知のことだ。医療や食糧事情が良くなれば平均寿命が延びるのは想像しやすいが、戦後数十年の間にジャンクフードで育った世代は、もしかすると短命になっていくのではなかろうか? などと妄想も進む。

  • ベストセラーとなった『未来の年表』を書いた著者が再び人口問題について書いた本。今回は年表というよりも具体的に何が起きるのか、シミュレートしたものを書いたという。出生数は100万人を大きく割り込み、人口減少はすでに現実のものとなっているが、その影響をすぐには感じ取ることができない。政府の施策もどこかずれている。前回の「人口減少カレンダー」では、なかなかその全貌をとらえきれず、自分の日常の中で何が起きるのか、そしてそのときに何をすればよいのかを教えてほしいという読者からのリクエストにヒントを得て書いたという。

    いわく、
    ・伴侶に先立たれると、自宅が凶器と化す (多くの事故が道路などでなく、自宅で起きている)
    ・亡くなる人が増えると、スズメバチに襲われる (所有者不明土地が増えて管理されなくなる)
    ・東京や大阪の繁華街に「幽霊屋敷」が出現する (空き家率でなく空家数では大都市圏での数が多い)
    ・高級タワマンが「天空の老人ホーム」に変わる
    といった話が書かれている。

    著者自身、二匹目のどじょうでもなく、二番煎じでもない、というが、大事な話なのでもう一度言います、ということでいいのではないかと。日本の高齢化社会の特徴として、①高齢者の「高齢化」、②一人暮らしの高齢者、③女性高齢者、④低年金・無年金の貧しい高齢者、の増大が挙げられる。これらの影響を切に考える必要がある。

    本書の構成は、まず前半で「あなたの身に起きること」として、住まいで、家族に、仕事で、暮らしに、女性に、というテーマで想定事例を挙げる。続く後半で、「あなたができること」として、個人ができること、女性ができること、企業ができること、地域ができること、をテーマとして提案を挙げる、というものになっている。生産年齢人口が減って、高齢者が多くなっても充分に社会を維持できるような仕組みとマインドを作っていかないといけないということだろう。

    「あなたができること」として、次の8つが挙げられる。「戦略的に縮む」ことが必要だという。
    ① 働けるうちは働く
    ② 1人で2つ以上の仕事をこなす
    ③ 家の中をコンパクト化する
    ④ ライフプランを描く
    ⑤ 年金受給開始年齢を繰り下げ、起業する
    ⑥ 全国転勤をなくす
    ⑦ テレワークを拡大する
    ⑧ 商店街は時おり開く

    ちなみに、前著『未来の年表』での提言は次の通り。少し身近なものになっているだろうか。個人的には前回提言されたものが社会・政府としてどのように進もうとしているのかが大事なように思っている。基本的には賛成で、乗り越えるべき課題もおおむねその通りだと思っているので、気になるところである。公務員の定年引上げなどに動いているので、一定の流れはあるのだろうとは思う。
    ①「高齢者」の削減 (高齢者を定義する年齢の変更)
    ② 24時間社会からの脱却 (利便性の放棄)
    ③ 非居住エリアを明確化 (コンパクトシティ推進)
    ④ 都道府県を飛び地合併
    ⑤ 国際分業の徹底
    ⑥ 「巧の技」を活用
    ⑦ 国費学生制度で人材育成
    ⑧ 中高年の地方移住推進 (脱・東京一極)
    ⑨ セカンド市民制度を創設
    ⑩ 第三子以降に1000万円給付

    社会全体がゆでガエルにならないように、ということと新しいビジネスモデルや公共政策を考えないと、というところ。自動運転車技術も高齢化社会にとても適合しているように思うし、通信技術も寄与貢献することはできるだろうし。

    ---
    『未来の年表』河合雅司
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4062884313

  • 会社の研修の課題図書だったため。

    うーん、暗い。
    暗くなる。

    普段田舎の両親を心配している身としては、とても身に詰まる内容。
    人口減少とかは全く問題だと思わないんだけど(著者の方と同意見)、
    高齢化が怖い。
    自分はまあなんとかするにしろ、親がなあ。

    自分も不安だけど、まあまだ対策としてできることはあると思う。
    健康寿命を引き上げて、生涯現役が普通の時代がくるといいな。
    最後に書かれている通り、できることをしよう。
    それらをしても、現在の田舎の高齢化の問題は解決しないけどな。
    今が価値観の過渡期で、耐え時ってことなのかもしれない。

    でもなあ、
    人間ってこんなに長生きする必要あるのかね。
    と思わせられる一冊。

    危機意識がない人(ニートとか)は読んだ方がいいかも。
    読んでも響かないかもだけど。
    ネガティブな人は読まない方がいい。

  • 本書は、前著の「未来の年表」の続編として「2」がつけられていますがが、前作とアプローチが異なっています。
    前作は、人口減少カレンダーとして時間軸を追う形で書かれてあり、「20○○年にはどうなっているか」という切り口でした。しかし、今作は「自分の日常生活で何が起きるのかを教えてほしい」という読者のリクエストに基づいて書かれているため、私たちの身近で起こることを中心に書かれています。それ故に、とてもリアルに少子高齢化を感じられる。それが、とても恐ろしいことだと感じるには充分な内容でした。

    前作と同じく、今作も2部構成でした。
    第1部では、人口現象の影響をデータや知見に基づき、身のまわりで起こるであろうことを「人口現象カタログ」として示しています。かなり具体的に自分の身の回りで起こるであろう出来事が書かれてあります。

    ”ネット通販が普及し、商品が届かなくなる”というのがあるのですが、生産年齢人口が減ることから、ドライバー不足から商品が届かなくなる可能性があると著者は主張しています。このように、生産年齢の不足は、さまざまな面に影響を及ぼすことが書かれてあります。

    その他、私の印象に残ったのは、”食卓から野菜が消え、健康を損なう”というところでした。
    農業従事者の高齢化、そして後継ぎがいないことから、キャベツやハクサイ、レタス、ホウレンソウなどの葉物野菜の生産者数が減少傾向にあるそうです。
    今後それが続けば、供給量が減り野菜の価格が上がり、食卓から野菜料理が減ってしまうのではないかという警鐘でした。これは、本当に恐ろしい問題だと思いました。こうした労働力不足から来る問題は、相当根深いものだと感じました。



    第2部では、個々人や会社などで「「今からでも始められる対策」を中心に選択肢を提示しています。この部分は前作と同じですが、私たちの生活に密着する形で書かれているのが本作の特徴でした。ただ、書かれているのは当り前のことです。「働けるうちは働く」、「1人で2つ以上の仕事をこなす」などは、定年延長や副業の容認として既に動き出しているものもあります。
    そうした当り前のことを積み重ねるしか方法がないのかもしれないですね。

    正直に言うと、この本を読むと気持ちが暗くなります。前作も同様に感じましたけど、前作はまだ前向きに取り組もうと思いました。しかし、これだけ暗い未来をこれでもかと突きつけられると、本当に暗い気持ちになります。だから、読まないほうが良いのかもしれないです。

    その時々を楽しく生きることができれば、それはそれで良いのではないかと思います。

    少子高齢化によって未来に起こることに備えるため、一生懸命に生きすぎるのも良くない。適度に備えるくらいで良いのだろうと思います。でないと、あまりにも辛すぎますね。

  • 前作に比べ、より「私」の生活に引き寄せて、人口減少社会を考えられる一冊。
    やっぱりぞっとする。

  • 何より話題の書であるし、産経新聞の論説委員で人口政策や社会保障政策を専門とされている著者であるので、非常に興味をもって読んだ。

    本来なら政府や自治体が取り組むべきというマクロ的な視点で書かれている第一弾のほうを読み、その後に身近な視点で書かれた本書を読むという流れが分かりやすかったのでしょうが、第一弾のタイミングを逃してしまい、こちらのほうから入ってしまった。

    国や自治体の政策を憂うことも大事だが、まずは自分の身の回りのことを考えてみよう。

    「少子高齢化」ということが叫ばれて久しいが、正直のところ年金破綻の問題以外はあまり考えたことがなかった。目先の生活ばかり追っていて、「少子高齢化」は社会問題の一つくらいの感覚だった。しかし、これがいけない。社会問題は自分自身の問題として考えねばならないのだという大事な視点を改めて教えて頂いたように思う。

    確かに、年金で言えば、財政を支える人の減少と、支えられる人の急激な増加で、「もらえる年金がどんどん減るな~」とか、「年金もらえる年齢がどんどん後ろ倒しになってくんだろな~」なんてボヤくことはあったが、そんな生ヤサシイ状況ではない。マジで年金制度は破綻すると確信した。

    ここに書かれていることは、一見「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話に見えるが、実は深刻な話ばかりで、現在進行形のものばかり。子どもたちのスポーツチームが、複数校の混成チームになっているとか、各自治体の投票所の数がどんどん減っているとか、ガソリンスタンドの数が減ってるとか、無関心ゆえに知らなかったこともあり、知っていても自分には無関係と思っていたこともあり・・・。何年後かの自分に襲いかかる問題であるという危機意識が欠如している自分が情なくもある。

    やはり、第2部の著者からの提言「今からあなたにできること」で示されている8つのメニューはメモしておきたい。
    ①働けるうちは働く(個人)
    ②1人で2つ以上の仕事をこなす(個人)
    ③家の中をコンパクト化する(個人)
    ④ライフプランを描く(女性)
    ⑤年金受給開始年齢を繰り下げ、起業する(女性)
    ⑥全国転勤をなくす(企業)
    ⑦テレワークを拡大する(企業)
    ⑧商店街は時おり開く(地域)

    著者も述べているように、一人ひとりが対策を講じることが、全体に与える影響は塵みたいなものかもしれながいが、その実行の規模が大きくなるにつれて効果が見えてくるのだと思われる。

    これらの8つのメニューの提言も、その流れを作り大きな力に変えていきたいという著者の戦略的な提言だろう。これを読者が無視してしまっては、自分の子ども達を含む次の世代に平気で負担を押し付けているのと同じことになるのだろうと感じる。

  • 前作と合わせて読むと理解が深まると思います。時系列で知るべきことと具体的な場面ごとで知るべきことが複眼的に考えることが必要です。

    【個人ができること】
    ①働けるうちは働く
    ②1人で2つ以上の仕事をこなす
    ③家の中をコンパクト化する
    【女性ができること】
    ④ライフプランを描く
    ⑤年金受給開始年齢を繰り下げ、起業する
    【企業ができること】
    ⑥全国転勤をなくす
    ⑦テレワークを拡大する
    【地域ができること】
    ⑧商店街は時おり開く

    <目次>
    第1部 人口減少カタログ(あなたの住まいで起きること
    あなたの家族に起きること
    あなたの仕事で起きること
    あなたの暮らしに起きること
    女性に起きること)
    第2部 今からあなにできること(個人ができること
    女性ができること
    企業ができること
    地域ができること)

  • 朝刊の広告を見てポチり、夕方届いた本書を夕食後にサクっと読んだ 。人口が減少し高齢化がすすむとどのようなイシューが顕在化するか、ということを生活者の視点から書いている。

    例えば、
    - 空き家が増加してスズメバチが増える
    - 田舎の親の遺産を都会に住む子供が相続すると、預金を地銀から都銀移すので地銀潰れる
    - 農家の後継者不足野菜生産量低下につながる
    - ネットショッピングがますます浸透するがドライバー不足でモノ届かない、
    などなど。

    仕事のこと、不動産のこと、自己研鑽のこと、など考えることが多い。軽いが良い本 。

  • 1が新書大賞にもノミネートされ、割と周りでも読まれている印象。
    今回は年表形式ではなく、コンテンツ毎に掘り下げた形なのと、「あなたにできること」の内容が若干加えられた?(個人的には老人大学の案が気に入っていたけど、それはなくなっていた)
    分かりやすいは分かりやすいけど、前に出版された時期から離れてない分、内容として大きく変わった感じもしなかった。

    戦略的に縮むという考えには、賛成。
    だけど、例えば在宅ワークが一般的になって、通勤スタイルが変わったら、そこでまた雇用のバランスは崩れるわけで。
    筆者も手の打ち方が生温いと仰っているわけだけど、どこか手を付ければ、どこか損をする(需要が減る)ことは致し方ないのかもしれない。
    ある意味では、縮小されてきた仕事に脚光が浴びることになったり、AI化したり。
    老後が怖いとも思うけど、想像を及ばせると少し楽しみでもある。と言うと、怒られるかな。

  • 少子高齢化や人口減少の実像を、とある家族の日常生活として具体的に描き出す。ラッシュアワーや過密運行は、元気に動ける若者相手だから可能であること、相続で地方の親から都会の子に資金が移動することなど。

    こうなると、こうなる、という必然的な流れの把握・認識。説明されると、なるほどなぁ、そこまで考えていませんでした、脱帽、です。

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著者プロフィール

1963年、名古屋市生まれ。産経新聞社論説委員、大正大学客員教授(専門は人口政策・社会保障政策)。中央大学卒業。内閣官房有識者会議委員、厚労省検討会委員、農水省第三者委員会委員、拓殖大学客員教授などを歴任。2014年、「ファイザー医学記事賞」大賞を受賞。『未来の年表』(講談社)で2018年新書大賞2位、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2018」政治経済部門賞受賞。

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