ミステリー・アリーナ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 748
感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065118078

作品紹介・あらすじ

ある屋敷で起こった殺人事件に挑むのは腕に覚えのあるミステリ読みのプロたち――。「本格ミステリ・ベスト10」第1位に輝く傑作!

感想・レビュー・書評

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  • ミステリーの可能性は無限だな。
    ちょっとこの内容を参考にミステリー小説1本書けるのでは。
    伏線の張り方など、こうやって作り上げるのかぁと。
    作者vs読者という戦いが繰り広げられがちなのはミステリーにおいて。美しく驚かせられることを期待し過ぎる読者への喝ももらった。

    私自身はいつも犯人当てしてやろうと思ってミステリーに対峙しない。謎解きとしてミステリーを捉えると、なんとなくつまらなくなるから。

    作者の博識、蘊蓄が披露されていて、勉強にもなった。ギャグも散りばめられていて、にぎやか。

  • 笑った笑った。
    コロナ禍でマスクしてるから顔がニヤけても周囲にバレないのをいいことに、電車の中で思いっきりニヤけながら読みました。

    いかにもクローズドサークルになりそうな匂いプンプンの冒頭、ちょっとベタだなぁと思ってたら近未来テレビ番組に切り替わり、読んでたものは出題のミステリつまり作中作で、番組は犯人を当てた回答者がキャリーオーバーした20億円を賞金で貰えるという国民的年末番組らしい。

    早い者勝ちなものだから、回答者は序盤から先のストーリーを読んで犯人を「推理」するんだけど、深読みに深読みを重ねた珍回答と、それを避けたり採用したりして妙な具合に展開しどんどん駄作化してゆく出題ミステリに笑わされました。
    特に、並木=人間説と、たま=バレリーナ説は大笑いしちゃった。平さんがめっちゃ性豪キャラ設定になっていったり、ヒデが女性にされたり老爺にされたり、登場人物の属性がどんどん(変に)肉付けされていくのも可笑しかった。

    一人二役、二人一役、多重人格、性別誤認、ダイイングメッセージ、見えない人、名前のトリック…。実は回答者の回答は、そのままミステリのトリックのパターンだったりする。
    こじつけっぽい回答もあるけど、推理が開示される段階でミステリの暗黙ルールが浮き彫りになる。
    ミステリそのものを解体してゆくような展開がとても面白かったです。
    それにしても、出題ストーリーの文面を一応説明のつく程度にぼやかしつつ具体的な表記にするのはさぞ大変だったろうなぁ。
    破綻してるけど(笑)。

    臓器の強制提供が合法化され回答者が臓器移植のドナー候補だと明かされて、急にブラックな話になってきてこっちの世界もミステリ化する。
    最後はドタバタ劇っぽかったけど、まぁご愛嬌。
    とにかく退屈しない作品でした。

    あと、司会者は出題ミステリの展開は15通りって言ってるけど、各分岐点でだれが犯人と指摘されるか分からない中で複数の展開を用意するなら、各分岐点の枝葉に容疑者の数だけ別展開が必要になる。
    大変だぞこの仕事は。
    ギャラ3億でも妥当だと思う(笑)。

  • 深水さん初読み。一気読み。ミステリ好きなら作中作のクローズドサークル物を前にし出場人物同様謎解きを止められない。独特のシチュエーションに好みが分かれるかも。

  • ミステリーのあるあるが盛りだくさん。どうなるのか最後まで予想がつきません。終盤のたたみかけは、私は、大いに笑わせてもらいました。

  • ネタバレ禁止の叙述+多重解決ミステリー。
    いろいろと考えられた設定とストーリーに、純文学(をミステリーより上等なものとみなす風潮)への批判や安易なミステリーのパロディなども詰め込んだ意欲作だし、後味も悪くはないけど、なぜだかあまり刺さらなかった。
    好みの問題かなあ、と思います…。

  • メタミステリー?
    最後のドタバタ感が、台無しにしているような盛り上げているような。

  • 「ミステリー博覧会の謎解き手法あれこれ」のようなミステリー!?
    多重解決という挑戦的な小説だったが、それが面白いという訳でもない。

  •  作中曰く「解答が15通りある」ということを前提とした多重解決ミステリー。メタ的な要素や純文学(を格上だとする風潮)を皮肉った部分などもあり、何より作中作と本編を書くだけでも大変なのにそれに対する解答を15通り考えるということにただただ「よくここまで書き上げたなぁ。」と感心した。もちろんそれぞれの推理や解決編もしっかりしていて面白かった。それにしても「はうあ!」とか「何…だと…」といった台詞が出てきたけど作者はジャンプマンガが好きなのかな?勿論ネタバレは厳禁で。

  • 小説の構造?構成?的には面白いなーと思ったけど、そこに拘りすぎて中身が薄かったのが残念。番組パートもノリが寒い(意図的かもしれない)。とある法律の話が出てきてからは、よりトンデモ感が増してしまった。ミステリは好きだけど、もう少ししっかりしたドラマがあった方が自分の好みかな。

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著者プロフィール

1963年、山形県生まれ。2007年に『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞してデビュー。2011年に短篇「人間の尊厳と八〇〇メートル」で、第64回日本推理作家協会賞を受賞。2014年、『最後のトリック』(『ウルチモ・トルッコ』を改題)がベストセラーとなる。2015年刊『ミステリー・アリーナ』で同年の「本格ミステリ・ベスト10」第1位、「このミステリーがすごい!」6位、「週刊文春ミステリーベスト10」4位となる。

「2021年 『虚像のアラベスク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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