空気を読む脳 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065118245

作品紹介・あらすじ

職場で、学校で、なぜ日本人は「空気」を読むのか?
中野信子さんが脳科学をとおし、初めて日本人の心性と強みを読み解く。

「いじめ」「サイコパス」「キレる心」「だまされる心理」など、脳科学から人間を鋭く分析し、対処法をわかりやすく教えてきた中野信子さん。
本書では初めて、日本人の脳に迫ります。
「醜い勝ち方より美しい負け方が好き」「不倫は懲らしめるべき」「雇うなら体育会系男子という企業意識」「なぜ、イケメンのほうが美人より会社で得なのか?」「今が幸せと感じられないし、将来も不安でしかたない」「同調しないと怖い」――日常のさまざまな現象の背景には脳の影響があります。

相手の気持ちを察するのがうまい日本人。それを「空気」を読むといいます。それは、すぐれた協調性、絆の深さ、恩や恥を感じる心にもつながるでしょう。
でも逆に、周りの空気が私たちに、「生きづらさ」や「不安」「忖度する心」「バッシングの快感」といったものを生じさせる原因にもなります。
近年苛烈さを増すバッシングは、「人を引きずりおろす快感」や「ルールを守らない人間を懲らしめたい欲求」という空気です。

日本は世界幸福度調査で常にその順位の低さが話題になりますが、生理的な特質からきているのでなかなか幸福度を上げるのは難しいでしょう。
「褒める」教育が当たり前になっていますが、エリートが行う捏造や改竄の裏に、誤った褒め方がある可能性がわかりました。日本人の才能を伸ばす方法についてヒントが見つかるでしょう。
ほかにも、留学などに「挑戦」する人が減ったのはなぜか? なぜ女性が「婚活」に苦しむのか? なぜ13年連続でイグノーベル賞をとれたのか? なぜ日本は長寿国なのか?
脳の中に私たち自身を読み解くカギがあります。
日本人の特徴を知ることは、日本人以外の人々との違いを知ることにつながります。このことが、現在をより良くし、未来を資する役に立つはずです。

空気を読む脳〈目次〉
はじめに 
第1章 犯人は脳の中にいる ~空気が人生に与える影響とは?
第2章 容姿や性へのペナルティ ~呪いに縛られない生き方
第3章「褒める」は危険 ~日本人の才能を伸ばす方法とは?
第4章「幸福度が低い」わけがある~脳の多様すぎる生存戦略
おわりに

感想・レビュー・書評

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  • 最近とみに惹かれている中野信子脳科学者

    ある程度脳はどう反応するものなのか
    脳の働きを知っているとこんなもんだと余計なことで悩む必要がない「まあそうばかりと割り切れないところが人間だが」

    興味を引いたところ

    ☆人口の約50%が不倫遺伝子を持つ

    すごいね、まあ、うちみたいに夫が真面目で不倫どころか浮気もないというのも50%の確率となると
    凄い!浮気するから不倫だから同じことを言ってる
    なんやこれ?!「まあ個人的感想はさておき、一つは金がないというのが結果論」

    本文よりー
    不倫が芸術作品の原動力になった

    柳原白蘭、林芙美子、、太宰、寂聴、檀一雄

    ゲーテ、ハイドン、チャイコフスキー、ジョンレノン、エリッククラプトンーここまで原文。

    キリがない

    不倫がなければ芸術作品もない。

    もう一つ本文より

    ☆ダメと思うだけで人はダメになる

    これは知ってます。
    マイナスなことを口にすると脳はそれを指示されたと感じマイナスな状況になる

    ダメと指示されたとして〜

    いろいろと認識してると
    余計なことで心配悩む必要はない。

    そんなものだくらいで〜余裕で乗り越えられる
    知ってると知らないでは
    生き方も差がでる。
    まだまだ脳、知りたい。

  • たとえば「体育会系男子が高評価なわけ」
    〈昭和的、などど揶揄されることも多いと思いますが、上意下達の組織では上の命令は絶対であり、言葉として明示されない意思を忖度する能力の高さが求められ、そこには「空気を読んで」行動することが良しとされる価値基準が存在します〉
    で、私たちは日大アメフト部事件を思い出します。

    歴史ある大手企業ばかりでなく、新興のIT系企業ですら、"体育会系男子の人材"を必要としているフシがあります。
    〈彼らは非常に"使い勝手"が良い。こうした組織の中では、和を乱さぬよう自分を適度にアピールし、評価を高めていくスキルはきわめて重要なものであり、学歴や本来の職能以上に重視されます〉

    それに対して次の問題があげられます。
    〈だからこそ、女性で医師を目指す受験生は、いかに点数が良くとも、排除されるのです。医師ばかりでなく、働く女性も排除されるという構造があります。今もなお、そうした構造は根強く残っているのではないでしょうか。
    読めないタイミングで結婚し、出産し、育児をする女性は実に"使い勝手"が悪いと評価されてしまいます。くり返しになりますが、東京医科大学から露見した入試の女性差別の問題は同大学だけではありませんでした。日本社会全体に存在する大きなひずみが端的に現れただけと言えるでしょう〉

    この二つの事件を比較するのは、とても面白いと思いました。
    このように確かにこの本では「空気を読む」ことについてたくさん書かれています。
    でもそれだけではないんです。

    Web メディア「現代ビジネス」で2018年4月から約半年にわたって連載した「日本人の脳に迫る」に加筆修正したもの。
    なんで改題しちゃったのかな?

    どれも面白かったけど、もう一つ興味深いと思ったこと。
    〈「善悪と美しさが脳で混同される」
    美を感じる脳の領域は前頭前野の一部、眼窩前頭皮質と内側前頭前皮質だと考えられています。眼窩前頭皮質は前頭前野の底面にあり、眼窩のすぐ上に当たる部分なのでこのように名付けられています。
    この部分は一般に「社会脳」と呼ばれる一群の領域のひとつで、他者への配慮や、共感性、利他行動をコントロールしているということがこれまでの研究から示されています。
    内側前頭前皮質はこの近傍のより内側にあり、ここはいわゆる「良心」を司っている領域ではないかと考えられています。自分の行動が正しいか間違いか、善なのか悪なのか、それを識別する部分です〉

    つまり、美しい、美しくないという基準と、利他行動、良心、正邪、善悪等々は理屈のうえで考えればまったく別の独立した価値なのに、脳ではこれらが混同されやすいということが示唆されるそうなのです。

    そのあとにカッコ書きで、次のようにあったのです。
    (ほかには、女性では恐怖と性的な快楽の中枢が回路を共有しているなどの例があります)

    これはもともとの「日本人の脳に迫る」、ましてや「空気を読む脳」からそれた内容なのですが、私にとっては却ってサブリミナル効果みたいになってしまいました…。

    とにかく、脳や遺伝子に翻弄される私たち。
    中野信子さんの本11冊目。
    今回もとっても面白かったです。

  • 脳の働きと子ども・学習・人間関係

    〇日本人の脳にあるセロトニントランスサポーターの量は、世界でもいちばん少ない部類に入ります。(p21)
    ☆他の本でも読んだな、これは。
    セロトニンが元々受け取りにくい体なんだよね、日本人は。
    だから、真面目で実直。しかし、いったん怒らせたら何をするか分からない。
    あるあるだな。

    〇相手に対して多くを分配する人は、利他行動をとりやすいタイプとみなされるわけですが、相手へ分配した分だけ自分のことが尊重されないと、リベンジに走る可能性があることが指摘されています、(p37)
    ☆これもセロトニントランスサポーターが少ないのが原因。さっきと一緒。逆に言うと、この人たちは協調性が高いといえる。セロトニントランスサポーターはたんぱく質でできている。これの密度が低い。不倫バッシングも同じ。

    〇この遠い時間軸のことを冷静に考える力は前頭葉が担う能力です。(p58)
    ☆7、9歳から11、13歳くらいで一気に成長する。一番大事なのは思春期。このときの教育が大事。

    で、ほめ方。
    〇「頭がいいね」と褒めることが、子どもたちから難しい課題をやろうとする気力を奪い、より良い成績を大人たちに確実に見せられる、優しい課題を選択させるという圧力として働いていたと考えることができます。(p130)
    ☆能力より、努力を褒める。そのことが、より難しい課題に挑戦させる力を生み出す。しかも、頭がいいと言われた子たちの40%が、自分の成績よりも高い点数をいうようになったという報告も。だめじゃん。

    〇つまり、なにかをさせたいと考えて報酬を高くすると、かえってそのことが楽しさや課題へのモチベーションを奪ってしまう。(p139)
    ☆ゴミ拾いの研究。
    たくさんの報酬をもらうと、やる気が低下する。
    報酬が少ないとき、
    金額わずか→でも一生懸命やった→この課題は楽しいに違いない
    と脳が勘違いする。脳の働きすごい。

    〇脳からみたやる気にさせる言葉(p140)
    ☆ここが一番ポイントだと思った。
    人をやる気にさせるのに効果的なのは、
    ①その仕事自体にやりがいがあり、すばらしいものだと繰り返し伝えること。
    ②「思いがけない」「小さな」プレゼント
    ☆予測されるのではなく、気まぐれに、少額与えるのがよい。
    また、すごーく嫌な仕事の場合は、
    ①現実的な額の報酬を与える。
    ②あなたのような人でなければできない仕事です。
    と心理的報酬を与える。
    つまりは承認欲求を満たす。

    〇ある種の課題では、外敵動機付けと呼ばれるわかりやすい報酬が生産性を上げるのに功を奏することがわかっています。(p141)
    ☆ロウソクの課題。
    創造性を上げたいとき→報酬を与えてはいけない。
    むしろ、やりがいを与えた方がいい。
    単純作業の時、報酬を与えると圧倒的に早く課題ができる。
    つまり、草むしりみたいなものには外的動機付けが有効ということかな。
    夏休みの自由研究にみたいに、創造力を発揮してほしい時には、むしろやる気のでる声掛け、それも繰り返し!が必要なのだろう。

    創造性を伸ばすには。
    〇ひとつだけが黄色い十字の描かれている絵の前に座った被験者の方が、有意にレンガの使い方をたくさん考えることができたのです。(p145)
    ☆異端的な何かを示唆するアートは創造力を刺激する。つまり、どこでやるかってことかな。

    〇どうしたら、「困難への挑戦を喜び、創意工夫を楽しんでいくことができる人」に成長させてあげられるのでしょうか。(p167)
    ☆素質ではなく、その人の努力や工夫に焦点を当ててほめていこう、という原理が導き出される。
    中野先生の中学の時の先生。
    正解のある問題は30点分で、残りは記述式。正解のない問題だったらしい。例えば、「ヒトはなぜヒトになったのか」しかもすごいのは、一律に採点せず、工夫と新しさ、独創的で面白いと満点を出すこともあった。
    これがすごい。知識ではなく、工夫、新しさ、創造力に着目する。これは、AIが台頭してこようとする今、やってみたい、育てたい力だなあ。
    相当、力量のある先生だったのだろう。

    思春期の脳
    〇女性ホルモンの濃度は月周期で変動して、女子の感情起伏を激しくし、不安と過剰なテンションの高さを行ったり来たりさせます。
    男性ホルモンは男子の攻撃性と性衝動を高めてしまいます。(p174)
    ☆それでいて、前頭葉はまだ未完成。細胞の数は十分だが、まだ配線ができていない状態。大人の4/5程度しかできていない。しかし、それが子どもなので、心配はいらない。まあ、繰り返し伝えていくことなんだな、大人にできるのは。

  • 全部を脳のせいにしてはいけないが、様々な行動は、人間という生物が生き残るために脳みそが反応していると思えば、楽になるなぁと思えた。もう何冊か読み続ければより理解が深まるかな。

  • 日本人はセロトニン(安心になる物質)トランスポーターが少ないため、遺伝子レベルで不安感がつよく、まじめで自己犠牲をいとわない。、、まさに自分!嫌だ〜。南欧に生まれたかった。

    ある意味、遺伝子で脳が決まってくるわけだから、人生、努力より遺伝子で決まってくるんですね?という話なのだが、一方で、人を育てるなら、「頭がいいね」はご法度で「努力したね」なんだそうだ。これは、他の本でも見たし、褒め方には注意。

    個人的に興味深かったのは同性愛の科学。生産性、という生々しい話になったとき、生産性がいいから同性愛があるという研究結果がある。

    また、あとがきが秀逸。

    • miyakodohiさん
      面白そう!読んでみるー
      面白そう!読んでみるー
      2022/02/03
  • 久しぶりに読んだ中野先生の著書、楽しみして手に取りました。

    でも…何となくこれまでの著書の焼き直し?ポイントの抜粋集?のように感じられました。
    思っていたのとはちょっと違った内容だったかなと。タイトルはこれ、編集者が着けたんでしょうか?そういう内容ではあんまりなかったような…。いえ、役に立つことはたくさん書いてありましたが
    これまで読んだことより新しく感じられることが少なかった。
    中野先生の著書をあまり読まない人や初めて手に取られる人には良いのかな、と感じました。

  • おもろーだった。全て腑に落ちた。
    4章以降破ってポケットに入れて持ち歩きたい。
    「灰身滅智」勉強になった

  • 素人には今一つ分かりにくいのが、「脳科学」「心理学」の差である(ここに「遺伝学・進化生物学」的なものが混じってくることもある)。

    この本でも、「生き物としての特質(本能?)」として、なぜ不安感が強い人が結果的に長寿かといったメカニズムについて説明されていると同時に、「ほめて育てると伸びない」みたいな後天的な(心理学っぽい?)アプローチも入っていたりする。あと、「個体ではなく集団としての生存戦略」として、一定程度冒険的な人が生じる、といった文脈も出てくる。

    このあたりが私としては整理できないので、どうしても一本筋の入った納得感が得られなかった(個別のトピックはどこかで既読のものも多いが非常に面白い)。著者の他の本も読んでみたい。

    なお、「優れた芸術作品や宗教性の高い言説は、人間の不合理という特質に働きかけてきて、物理的には決して完ぺきではなく、有限の時間しか生きることができないわれわれに、永遠を感じさせてくれたり、瞬きをするほどのあいだに過ぎ去っていってしまう刹那を体験させてくれたりすることがあります」(P200)、のくだりには深くうなずかされた。

  • 中野さんの本は三冊目です。

    本書は「日本の心性について、脳科学を中心とした
    科学的なエビデンスをもとに論じていきます。」(P5)
    ということで「日本人」に重きを置いてるのかな?
    いうところからスタートします。

    「日本人の脳にあるセロトニントランスポーターの
    量は、世界でも一番少ない部類に入ります。」(P21)と
    いうところから話が拡がっていく…、のですが、うーん…。

    読んでて面白いのは面白いんですが、いろいろな内容のちょっと長めのエッセイを力業で一冊にしたような…。

    タイトルは「空気を読む脳」ですが内容はテーマから
    離れてとっ散らかっているイメージを受けました。
    「日本人」に関係する部分に入る前に雑談が多くて
    私の中でテーマがぼやけてしまいました。
    もう少し短くてもよかったのでは?という部分が
    多かったです。

    提示された実験も日本人に対して行われた実験では
    ないですし、同性愛については「人間だけじゃなく
    動物にもある」という例が示されていて、
    「日本人」はどこへ…という感じ。

    そして、なんだろう?読み進めていると著者の
    感情(イラついている?怒ってる?)みたいな
    ものをふっと感じることがあったんですが
    「おわりに」を読んで納得しました。

    私も集団になじめないタイプですが著者も
    生きづらそうだなぁ。

  • 脳の研究で人の言動がここまで科学的に説明できてしまうのは、ちょっと怖いなとも思ってしまいました。例えば、普段は誰かのために自己犠牲をいとわず真面目に働く、という人が、いったん不公平な仕打ちを受けると、一気に義憤に駆られて行動してしまうという話。自らの損失を顧みず、どんな手を使ってでも、相手に目にもの見せてくれようと燃え立ってしまうらしい。
    また、日本人の脳にあるセロトニントランスポーターの量は、世界でもいちばん少ない部類に入るらしい(量を決める遺伝子にバリエーションがあり、量を少なく産生するSS型という遺伝子型を持つ人の割合が日本に多いため)。このことはつまり、世界でも、最も実直で真面目で自己犠牲をいとわない人々ではありますが、いったん怒らせると何をするかわからなくなるという性格があるらしい。セロトニンが不足すると、慢性的にストレスを感じやすくなったり、疲労、イライラ感、向上心の低下、仕事への意欲低下、協調性の欠如、うつ症状、不眠といった症状が出現らしい。ただ、不安の度合いがある程度高いほうが、少なくとも人類進化の初期には、生存に有利であったということを意味していると考えられるらしい。
    このセロトニントランスポーターの量は社会性にも影響を及ぼす。社会性を維持するには、各個体の持つ利他性を高め、自己の利益よりも他者または全体の利益を優先するという行動を促進させる必要がある。一方で「利他行動を優先しろ」と他者には攻撃しても、自分の利益は優先できてしまう、という程度のゆるさで社会脳は設定されている、ということらしい。しかし、相手に対して多くを分配する人は利他行動をとりやすいタイプとみなされるわけですが、相手へ分配した分だけ自分のことが尊重されないと、リベンジに走る可能性があることが指摘されているらしい。日本では、ルールを少しでも逸脱した人がバッシングを受けてしまう現象が相次いでいますが、根底には、セロトニントランスポーターが少ない、という脳の生理的なしくみが関与している可能性があるということのようだ。
    また、人間は肉体の 脆弱性と子育て期間の異様な長さのために、集団で生き延びることが種の保存に必須であるために社会性が大きく発達した生物であり、結果としてフリーライダーの検出機能と排除の機構がほかの生物よりずっと強力に組み込まれているらしい。その上、日本人は地理的環境のせいか、世界的に見ると集団があまり流動的でなく、集団の結束を個人の意思より優先することを美徳とする傾向がある。この愛情ホルモンは一見、素晴らしいもののようなのですが、妬みの感情をも同時に高めてしまうという性質も持っているとのこと。結果、社会のルールを守る誠実で善良な人ほど、逸脱者への攻撃に熱心になる傾向があることが、複数の研究で報告されている。
    またこんな話もある。「頭がいい」と褒められた子どもは、自分は頑張らなくてもよくできるはずだと思うようになり、必要な努力をしようとしなくなる。「本当の自分は『頭がいい』わけではないが、周囲には『頭がいい』と思わせなければならない」と思い込む。「頭がいい」という評価から得られるメリットを維持するため、ウソをつくことに抵抗がなくなる。どこかで見た絵だが、「子どもの素質をただ無批判に褒めること」がここまで説明してきたインポスター症候群の原因になる可能性があるようだ。また、長寿者には共通する「性格」は、良心的で、慎重であり、注意深く、調子に乗らない。いわば真面目で悲観的な性格を持っていることということだ。
    「真面目で悲観的な性格」が、実は本人の命を守るための性質であった。
    仏教の言い回しを借りれば、コントロールしきろうとする行為は「 灰身滅智」。欲望の種を滅することは自らの身を灰にまで焼き滅するようなものだということです。

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著者プロフィール

脳科学者、医学博士、認知科学者。1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。現在は、東日本国際大学教授として教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。著書に『サイコパス』『不倫』(ともに文藝春秋)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『脳の闇』(新潮社)などがある。

「2023年 『賢くしなやかに生きる脳の使い方100』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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