- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065118252
作品紹介・あらすじ
どうして「いじめ」てしまうんだろう。あれは「いじめ」だったのだろうか……。いまもっとも注目を集める作家、辻村深月の最新短編集!
感想・レビュー・書評
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フォローさせていただいている方々のレビューを全面的に信頼している。そんな一方的に好意を寄せている皆々様方が同時期に手に取り、絶賛 時に批判していた作品がある。それが、この「噛みあわない会話と、ある過去について」だ。一日一回は必ず見掛けるくらい盛り上がっている時期があった。私はその期間、日々親指を咥えながら嬉笑怒罵溢れる感想を楽しんでいた。
そんな贅沢な環境に満足していたのか、読みたい本が多過ぎたのか、自ら意欲的に手に取る事は無かった。話題性が弱まってきた頃、まさしく今の事なのだが、本棚を漁っていたら....単行本が居た(笑)いつからだ。もしかしたら親指をふやかす必要は無かったのやも知れない。そんな後悔を背負いながらこの出会いに感謝した。
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私は、言葉が刃となる事を理解した上で敢えて武器として扱う事がある。理不尽な扱いを受けた時や見た時、言葉の力で相手を悔しがらせたくなってしまう。「ほらね?嫌でしょ?」と、わからせてやりたくなるのだ。
ただ、私が感じる理不尽の発端を考えたことは無かった。いきなり理不尽が横入りして来たように感じていた。しかし、本書を手に取り気付かされた。
....そうでは無いのかもしれない。私が人のせいにしているだけだったのかもしれない。私も知らず知らずに人を傷つけているのかもしれない。怖い、しかし目を背けることが出来なかった。
本書の登場人物達は立場が明確だ。責める者と責められる者の物語。噛み合わなかった会話にて、過去の立場が逆転する。
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自分とは違う者を異端とし、ヤバい奴として扱う。全面的な味方になる訳では無いのに異端の混入で中途半端に肩を持つ。解決等求めていないくせに、西軍と東軍を作り出し自身が所属する勢力を必死に増大させようとする。
何気ない会話を覗き見て、こんなに震える事になるなんて思いもしなかった。
【ナベちゃんの嫁】
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抜粋
「人の言葉をいちいち覚えていて、勝手に傷つくのはやめてほしい。こっちはそんなに深く考えていないのに、繊細すぎる。」
恥ずかしい事だが、私もこれを思った事がある様な気がする。気がするというのもまた、記憶の捏造なのやも知れない。
「記憶を捏造しないでください」
高輪佑のこの台詞が弾丸の様に心臓目掛けて飛んできた。凄く痛い。
【パッとしない子】
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他二作、【ママ・はは】【早穂とゆかり】
ここでは省いてしまうが、感じた事を殴り書きした個人メモは完全に容量オーバーだ。
読んでいる間は常に「私もこんな事をしていたかもしれない」に苛まれ、過去の記憶を探っていた。だが、そんな思い付きのタイムトラベルで顔を出してくれる程の濃い記憶は存在しなかった。なのにホッとさせてくれないのが恐ろしい。記憶の捏造、した側は覚えていない、立場の思い込み、色々な可能性があるのだ。
対象が存在しない、分からないのに謝りたくなる。ごめんなさい、赦して下さいと。
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良い教科書に出逢えた。
自分がされたら辛い事は知っているじゃないか。何故他人に対してその能力が発動しないのだろう。人の心は確かに見えないけれど、それを想像することの破棄はしたくないなぁ。
読み終えた後、優しい気持ちになる本
というものが存在するが、程遠い題材のこの作品に同じものを感じた。なんか凄いの読んでしまったな....面白かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
繊細過ぎて、疲れる。
どんな言葉で話しても、相手が否定的な受け止めをしてしまう。そんなつもりで言ったのではないのに。全く否定するつもりなんてないのに。そんな食い違いが過去の記憶にも及び、知らず知らず、嫌われている。あるいは、ずっと思い込みだった。そんな経験はないだろうか。本書は、そんなエピソードを含む短編集。
噛み合わないのは、感受性が異なり、繊細さの度合いが違うからだけではない。決して自分が鈍感という事ではない。「繊細さのポイント」が違うのだ。私はそう言われても気にしない。例えば、名前を一度間違われたくらいで、自分に対して興味がないとは思わない。しかし、世の中にはそう思う人もいる。この相違点による互いのズレをドラマとして描き、しかも、どれもリアリティがある。人の数だけ解釈があり、歴史認識がある。
この辛さをズキンと感じつつ、しかし、人のズレが織りなすストーリーがまた奇妙でもあり、グイグイ引き込まれる面白い小説だった。 -
辻村深月 著
本作のタイトルについて、最初はなんてタイトルなんだろう⁉︎そのまんまじゃない…と思って読みはじめたが、いやはや、すごい!
読んでみると、本当にタイトルどおり偽りない!
タイトルにセンスの良さすら感じた。
とにかく、怖いです!Σ(゚д゚lll)
その情景が見えるように、自分の体験した過去ではないのに、自分も体験したはずだ!って思わせる引っかかりと強引さがある。
辻村深月さんのリアルで痛く、何か曝け出されたような気分になる深いところを突いてくるこの内容、またやられました(~_~;)
“〜4篇の短編からなる本作の小説〜”
1編目の ”ナベちゃんのヨメ”は
「ナベちゃんの嫁がヤバいらしいー」から始まる コーラス部の元女子仲間の噂話やら中傷的発言にザワザワする(・・;)
女子仲間でよくあるような…
誰かが「ヤバい!ヤバいと思わない⁉︎」と話をふれば同調する仲間、「そうそう、そんなとこあった〜」みたいに話題が膨らむ。
同調する仲間の中で反論でもしょうものなら、今度は自分が仲間外れにされてしまうような危うさの雰囲気…こういう場面は何度かあった気がする
その時…自分はどうしたか⁉︎上手いこと流れにのってフェードアウトしたか、それとも、自分の意見を率直に言ったか?いずれにせよ、こんな状況を外側から見ればどちらにしても、痛いよなぁ、、
ヤバいと言われてる方もヤバいと言う方も。
3編目の”ママ.はは”はリアルな話から一変するように、狐につままれたような、幻想的な話しに展開される不思議な物語り。
問題は2編目の”パッとしない子”
4編目の”早穂とゆかり” だ!
これは怖い!ゾッとする、(゚д゚lll)
違った立場や状況にある登場人物だが、
この2つの物語りには共通するものがある。
過去に於いて、自分の中で、そこまでの強い意識や思い出がないとしても…
その頃に自分は相手より優位な立場にいて無意識かもしれないが、その優位に立つ振る舞いの中で、人の気持ちを蔑ろにしていた、そのことにより傷つき、忘れずにいた事実を本人に後から理路整然と突きつけられる。
自分が覚えてる過去の出来事の感覚が薄過ぎて、正確なものと捉えられず、相手の言葉にしどろもどろになる。
それを見逃さずに描く作者の鋭さに、呆気にとられながら心を鷲掴みにされる。
怖くて見たくないものを突きつけられているはずなのに、その場を立ち去れない、次に発せられる言葉が気になって、読む手を止められず、あっという間に読み終えてしまった。
作者のその意図に脱帽せざるを得ない!
何気ない会話の中で、
”そんなつもりじゃない”そんな意味で言った訳でなくとも、相手に違う意味合いで受け取られた場合、自分からすれば、それは誤解だと思ったとしても、相手の中でその言葉は、そういうことか…と誤解されたまま消化され受け止められてしまえば、それは相手にとっては誤解でもなんでもなくなるのかもしれない…だとしたら、それはどうなるのだろう?
それは誤解よ!という説明が出来て、誤解がとける場合ならいいとしても…
誤解されてると知らないで、後で何かの折に、そう思われてたのか?って知ったとしたら、もうそれはどうしょうもないことで、見解の相違だから仕方ないと割り切れるのだろうか?
考えだしたら気分が塞いでしまうけれど…
そんなつもりじゃなかったことでも、相手を傷つけたり嫌な思いをさせていたら、申し訳ないという思いと、そんなつもりじゃなかったことを誤解してるのは相手の方なんだから、謝るのもおかしいと思えたり…。
しかし、人間って言うか、言葉に気を遣ったり、正義感を振りかざしていても、実際のところ、自分のメンタルもかなり弱い‼︎ってことに気付く。
もし、相手から、あまり記憶のないことや、記憶違いの過去を突きつけられたとしたら、
傷つけられたと言われでもしたら、こちらの方が随分、打撃が大きく、傷つき引いてしまうのではないだろうか?
誤解されたことは、自分もあるし、きっと、他の誰しも経験したことがあるのかもしれないと思う。
誤解されたと思っていても、誤解した訳じゃないと思い込まれ、捉えられていたとしたら、その方が結構キツイ(-。-;
こんなことを考えていたら、結局、何も言えなくなるじゃないか⁉︎
誤解された分、誤解してたこともあるって、自分にいい聞かせるしかない。
自分の思いや意見を100%正確に言える人って…どれくらいいるんだろうか?
私は絶対に無理だ!拙い言葉と言うだけじゃなく、自分の思いを完璧に正確に伝えることなんて出来ない、それは断言出来る!(出来ないことを偉そうに言うのもおかしな話だが(^_^;) 自分の思いや意見を伝えた後、
何であんなこと言ったんだろう?
もっと、適切な言葉、言い方があっただろう…なんてことは、日常茶飯事ある。
今の発言で相手に伝わったかどうかも怪しいし、不安になることもあるが、わざわざ言い直しにいくのも余程怪しい気がして、そのまま放っておくけど、何となく気になるようなことも度々ある。
ブクログさんのレビューを拝見していると、
表現のあまりの上手さに感心して見入ってしまうこともあるし、自分の考えの浅さに改めて姿勢を正す事もあれば、それぞれ、色々なものの見方、違った考え方があることを知り、妙に納得をしたり、勉強させてもらい有難いと思います。
要は文章の拙さが問題ではなく、その言葉がちゃんと伝わり、心に響くことが重要で大切だということを気付かせてくれる。
自分はこれからも、残念ながら、上手い文章は書けないだろうし、拙く思ったことを自分勝手に描きなぐるだけで、おもいのたけを正確に表現することは出来ないと思うけど…
ただ、そんな機会もなくなりつつある昨今、アウトプットすることは大切だと感じている。
ブクログを始めた最初の頃は、何時これをみた!という記録の為だけに始めたのだが、、
拙いながら、誰かに共感されずとも言いたい事を言ってあわよくば、少しでも伝わればいいかなぁくらいで、
自分の為に、アウトプットだけはしておこうと思っています。
本作の物語は直接的に思い当たる節がないものかもしれないが、自分の気付かないところで、自分を冷静に見ている誰かがいるかもしれない…もしや、場違いと思っても知らぬ恨みを持たれてる可能性だってあるのだ。
でも、過去の出来事に囚われ過ぎるのはよくないことだと…私は思う。
過去にいた覚えてない人の事も、その後の未来にその人に会えたとしたら、その人の過去を思い出し、曝け出すことより、そこに今居る、その人自身を見つめ表現出来ることが大切だなぁと思った。
その人の現在が幸せであるなら尚更。
辻村深月さんの小説については、どんなジャンルも描けて、その情景がそばで感じられて浸透してゆくような色んな意味で震える作品を描く貴重な作家さんだと思う。
今後も色んな作品を読んでみたいです。-
おはようございます!
よまれましたかー!
やはり、パッとしない子、早穂とゆかり、怖かったですよね…
あくまでわたしの感覚ですけど、とてもと...おはようございます!
よまれましたかー!
やはり、パッとしない子、早穂とゆかり、怖かったですよね…
あくまでわたしの感覚ですけど、とてもとてもちいさなものを取り上げれば、こういうことって誰しもあったと思うんです。
でも、自分がそれに気づいていないのか、人の振り見て我が振り直せができた部分があるのか。
大人になると、ある程度人間関係を取捨選択できるから、仕事とかでこういうのに直面すると、硬直する。
プライベートだったら、わたしは逃げてしまう気がします。
なんだかうまく言えず、つたわらなかったらすみません。2022/02/24 -
あささん、こんにちは。
共感して頂き、嬉しいです♪
自分の発した言葉に、相手の顔や声が
微妙に「えっ⁉︎」って曇ったような気がして、何か気...あささん、こんにちは。
共感して頂き、嬉しいです♪
自分の発した言葉に、相手の顔や声が
微妙に「えっ⁉︎」って曇ったような気がして、何か気に触るようなこと言ってしまったのかしら?なんて…
一人気に病んで一人反省会してしまうこと、あります、あります(・・;)
そんな時、やっぱり、私メンタル弱いなぁって感じてしまいます。
私だけじゃないと思うと、少し救われた気がします。
コメントありがとうございます(^^)
あささんの本棚に
また、遊びに行かせてもらいます。
よろしくです(。◠‿◠。)♡2022/02/24 -
naonaonao16g さん こんにちは。
読みましたよ〜(^^;;
そうそう、あの2編は本当に怖かった!
多分、その怖さは、もしかし...naonaonao16g さん こんにちは。
読みましたよ〜(^^;;
そうそう、あの2編は本当に怖かった!
多分、その怖さは、もしかしたら…
誰しもも少なからず、とてもとても小さな
似たようなことを経験してたのか?なんて思い返してしまうからかもしれない。
人の振り見て我が振り直せが出来てたかどうの部分も然り…。
そうですね、大人になったら人間関係をある程度、取捨選択出来る気がするけど、
naonaonao16g さんはお仕事の上でも直面しそうな問題で難しいですね、、
子供相手だと、どうすればいいのか?考えるだけで硬直します(゚o゚;;
プライベートなら逃げる、私もプライベートなら逃げたいけど…この本のように逃してくれない相手なら、より怖いですよね(>人<;)2022/02/24
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熱いレビューを目にして、気になっていた本。
怖い!
本を閉じてまず思ったことです。
その怖さは、物語の中だけにあるのではありません。
自分の心の底にあるモノのカバーをそ~っと外された、
蓋をして隠していた物を「ほら!」と目の前に差し出された、
そんな怖さでもあります。
四つの短編集。
怖かったのは、『パッとしない子』と『早穂とゆかり』。
両作品とも、テーマは同じと受け取りました。
かつて「力を持っていた側」の人間が発した言動。
それを受けた「そちら側に入れてもらえなかった」人間の恨み。
言った方は覚えていなくても、言われた方は忘れない。
そして、時を経て立場が逆転すると
恨みを抱えていた側が すくっと立ち上がって反撃に出るのです。
『パッとしない子』の逆襲は理解できるのですが
『早穂とゆかり』の方は、どうなんだろう?
ゆかりの傷がそれほどまでに深かったということかな。
思い返せば、思い出したくないのに覚えている言葉があります。
でも、自分の言葉が人を傷つけて、
それすら知らなかったことがあるかもしれない。
最近、言霊というのは本当にあると思えるようになりました。
言葉が現実を変えていく。
(これって、『ママ・はは』のテーマだったのかな?)
陰口は叩かない、負のエネルギーを発する言葉は避ける、なんて。
そうは思っていても、なかなかね…。
だから、この作品は怖いのです。 -
まさに「噛みあわない会話と、ある過去について」…表題作のそのままの作品が4編収められています。
どの作品も、過去の行き違いというのか、受け取り方、感じ方の違い…でも、それで済ませていいものか…過去の行いを改めてどうだっかを思うとき…ザワザワし出す感じかな…。
うまく、レビューできないけれど、そんなつもりでなくとも、そんなつもりで受け止められてしまうってこと、日常的にもよくあるのかな…だとしたら、私も言葉遣いや普段の行いに気をつけないと…そんな風に思いました。 -
読み終わっていつまでも不快な思いが続く、そんな作品でした。
4つのお話からなる短編集ですが、それぞれ
<ナベちゃんのヨメ> 人を見下し利用していた側と見下され利用されていた側
<パッとしない子> 若くて人気があると思っていた教師とパッとしない子と思われていた少年
<ママ・はは> 絶対的な親の権力を行使する母親とそれに対峙してきた娘
<早穂とゆかり> いじめていた側といじめられていた側
というそれぞれの過去が時間の経過により立場が逆転していきます。そして、彼らは再会をする。その時に何が起きるのか、何が起こるのか。4編ともに言えるのは過去の両者の意識において、片やほぼ記憶がないほどに無意識・無自覚である一方で、もう片方は記憶から消せないほどの心の傷となって残っているという現実です。これは、決して小説の中のことだけではなく、我々の日常、毎日いたるところでごく普通に繰り広げられることでもあると思います。人があることをどのように捉えるかは人それぞれであって、感じ方が違えば心から分かり合えることなんてないのかもしれません。でも人間社会がコミュニケーションで成り立っている以上、その瞬間、瞬間でどちらかが折れて、納得したふりをしてその場を繋いでいく、その場を凌いでいくしかありません。その時に折れた側の心にだけその瞬間が深く刻まれていく。この繰り返し。折ったり、折れたり。その時の両者の力関係でどちらの立場も経験するはずです。それがみんな分かっているからこそ、その理不尽さを普段口にすることはありません。大人げないと理由をつけて黙ってしまう。そんな無自覚に見て見ぬふりをしようとする理不尽な人間社会の在り様をこんなにも生々しく描かれるとこれは辛いです。ただただ『噛みあわない会話』が続く世界、でもこれは今日も明日も我々が暮らす日常のごくごく普通の日々の一コマなのだと思います。決して特別なことを描いたわけでもない作品。それが分かるからこそ、作品中に救いを求めて読んでしまいます。でも、結局誰にも感情移入することができずに苦しい読後感が襲ってくるだけ。
人生とはこんな風に『噛みあわない会話』が噛みあっているかのように振る舞っていくことなのかと思うと、やるせない気分になりました。
やはり、人と人が分かり合えることはないのでしょうか。 -
ホラーでもミステリーでもないんだけど、なんだかゾッと嫌〜な気持ちになる。
それはきっとこれが物語の中の話じゃなくて、実際にどこにでもよくある話だと思うから。
いじめた側は覚えてないけど、いじめられた側はいつまでもよく覚えてる。
これはほんとにそうだと思う。
相手にしてみればからかってるだけのつもりでも、やられてる本人にとっては凄い辛い日々だったりする事ってよくあると思う。
子供でも大人でも別にいじめられてるわけじゃなくても、なんかイヤミ言われたり、なんなん?って言葉投げつけられる事もあって、私ももちろんあるけど、やっぱりそういう言葉っていつまでも覚えてる。←根に持つタイプです笑
逆に自分では自覚なくても、誰かしらにそういう思いをさせてる事もあるんだろうな。
自分が嫌なことを他の人にしない様に気をつけないと、、。
あと、こっちはそういうつもりで言ったんじゃなくても、受け取る側が違う意味でとらえちゃうことも、、
ほんと言葉って難しい、、
人間関係って難しい、、
"なべちゃんの嫁"と"パッとしない子"は分かるな〜ってとこあり、"ママ・はは"は最後、へ?って感じ。
そして"早穂とゆかり"は恐ろしかった〜(>_<)
辻村さん、これで23作目♪
#3 -
辻村深月さんの最新刊。短編が4つ。
サスペンスでもミステリーでもホラーでもないのですが、どれも読んでいてぞわぞわと肌が粟立ちました。
隠していたものを暴かれる感覚。「何者」とか「伊藤くんAtoE」とかに近いかもしれない。自覚なく悪意なく振りかざしてきたエゴイズムを、予期せぬ相手からこうも正面切って指摘されるのは、とても恐ろしい。
人のふり見て我がふり直せというか、類似の心当たりが私にもありすぎるので、こんな風に横っ面を張られる前に治しておきたいなという所存です。
「ナベちゃんの嫁」
女子グループに溶け込める男子っていますよね。オトメンって言うのかな。
性欲も下心もあるふつうの男子なのに、それを感じてもいるのに、見ないフリして都合よく仲良くするのは卑怯かもしれない。だって友達だもん!という主張ももっともだが、あまりにもナベちゃんが不憫すぎる。
メンヘラの嫁に束縛されてようが、なにをいう権利もないよなぁ。だって彼は女子のおもちゃじゃないんだから。
「パッとしない子」
人気アイドルグループとして活躍しているかつての教え子が、テレビの企画で母校を訪れてくることに。自分のことを覚えているだろうかと楽しみにしていた女教師は、そこで彼の口から思いもしなかった恨み言を聞かされる。
強烈なカウンターを食らったようだった。私まで冷や水をかぶったかと思った。
まぁ彼の気持ちは分かるけれど……小学校教師って大変な仕事だ。生徒ひとりひとりの記憶に必ず残ってしまうんだから。一挙一動に気を抜けない。しかしどのように振る舞ったところで、一体何が生徒の地雷になるのかも分からないし。
「ママ・はは」
これは少しホラーテイスト。
真面目で抑圧的な母親の記憶。成人式の振袖をきっかけに、どんどん望んだとおりに改変されていく。
「早穂とゆかり」
小学校の同級生だったゆかりは、いまや有名塾講師として名を馳せている。早穂はライターとして彼女にインタビューへ赴く。かつては霊感少女の痛いキャラで疎外されていたゆかりと、常にクラスの中心で人気者だった早穂。インタビューを受ける前にあなたに尋ねたいことがあると問われ……。
パッとしない子、と構成は似ていました。
いじめた方はいじめと思っていなかったけど、いじめられた方はずっといじめとして根に持っているという見本のような応酬。
「あなたの名前を聞いて、私が嫌がると思うくらいの、その、自分への価値の払い方はなんなの?」というゆかりの小馬鹿にした発言が切れ味鋭すぎる。ようやく私と対等の立場になったわねとでも言いたいの?という。
辻村深月さんが以前エッセイで語られていた直木賞受賞のときのエピソードを思い出した。有名になった途端、疎遠だった同級生からつぎつぎ連絡がくるという。こんなこと言っちゃ性格悪いけど私だったら見返したようで痛快かも。
それにしてもこの短編集のタイトルが秀逸ですよね。
無意識の悪意。ある過去について、お互いの認識が根本からずれてるんだから、そらぁ噛みあわないわな。