失楽園のイヴ KZ Upper File

著者 :
  • 講談社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065118474

作品紹介・あらすじ

イヴの異称を名前に持つ女、上田絵羽。絵羽はある野望をもち、日本国内の超進学校に潜り込む。そこには数学の天才児・上杉和典が在籍していた。絵羽は己の目的を達成するために、自分が目を付けた優秀な人間に扇情的な言葉を投げかける。その筆頭が和典だった。絵羽からの荒唐無稽な要望に強い拒絶感を感じる一方で、強く惹かれる和典。しかしその裏に見え隠れする、得体の知れない闇に危険を感じ、それが何なのかを探り始める。

感想・レビュー・書評

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  • 発売すぐに購入したけど、自分の中の上杉像が壊れるのが怖くて途中で読むのをやめてしまった。文庫化が決まったらしいのでそろそろ読んでみようと思い立った。
    最初だけ読んでやめていたこともあり、結末は衝撃だった。上杉がアクティブすぎる。

  • 大人版KZ。
    シリーズは全部集めてる。
    やっぱりKZが好きだなあ。

    上杉くん、のお話。
    男の子ってこういう感じなのかな、と思った。

  • KZの時の上杉を知ってるから、新鮮だった

    恋は本当に麻薬なんだと思った。

  • ノーマルのKZシリーズが好きで買いましたが、全然違った雰囲気でした。最後の畳み掛けに圧倒されました。

  • 僕と彼女は楽園を失った。

    上杉の学校に上田絵羽というチューターがやってきた。パートナーを求めているという彼女から上杉は離れられない。数学のトップを争う大椿も絵羽に夢中だ。しかし上杉は彼女の秘めた過去に捉われて、なんとか自分の自尊心を満たすため彼女の謎を解こうとするのだが——

    高校生の上杉先生グダグダに悩む。思春期男子といえばそうだが青い鳥文庫の彼を知っていると遠い気分にもなる。好きだった彼女と別れたって、その彼女は思っている人でいいんですか? 絵羽に負けまいとなんだかんだ理屈を捏ねる上杉先生がかわいいといえばかわいいが、ラストの不穏さには思わず息を飲んだ。裁かれない罪を抱えていく上杉先生は、さらに何か惹きつける魅力のある男となるだろう。このまま新刊が出るごとに抱えるものを増やしたら、黒木を超えられるんじゃないだろうか。これも作者の愛情なのか。

    大人たちの考えに出会って、少しずつ自分の見ていたものを新しい時点で見ることを覚える上杉。母親が大人になったと言うのもわかる。それは成長なのだ。人は変わりゆく。

    大椿の最後の手紙に、ガリレオシリーズで何か既視感。いやレクター博士か。確かに犯罪者と医者は両立しなくて、犯罪者と数学者は両立するけど。彼の心が穏やかならよいのだが。

  • 最後まで彼女を理解出来ませんでした。
    いやぁ、生い立ちや過去は気の毒と思うけど、それと他人の人生は違うよね。

    …と、思うあたりしっかりこの本の世界観にのめり込んでいるんじゃないかと自分を突っ込んでしまう。

  • 高1の上杉和典らの数理工学部は山沖先生が顧問だが、妙齢の上田絵羽が補佐顧問として表れて、大きく展開する.大椿も数学ができ上杉とライバルとなる.上杉は絵羽の情報を友人の黒木から得るが、絵羽本人からパートナーになることを依頼される.絵羽は家族でワイナリーを営んでいたが、葡萄の病気で頓挫して、父が施設に放火して家族は死んでしまうが、絵羽だけが生き残った.絵羽はワイナリーの再建のパートナーを探していた.彼女はフランスでワインに関する知識を得てきたが、恩師の徳田教授はブルゴーニュ地方のワイナリーで謎の言葉を発して死んだ.上杉はその謎を解くため渡仏するが、徳田夫人と一緒に訪れた件のワイナリーで絵羽の策略に気付く.最終的には、大椿の思い込みで大杉が想定していたとはかけ離れた展開となるが、スケールの大きい物語で楽しめた.

  • 切なかった。
    高校生の男の子の自意識とか、その子を実は真剣に好きだった絵羽とか

  • 書き下ろし
    KZ deep File 4作に続く第5作

    前作で中2だった上杉君が高1になっていた。
    しかも、上杉君の恋の葛藤がメインの物語。これまでの冒険ミステリーとちがう心理描写が面白かった。

    数学の天才上杉君と、彼を負かすほどの天才で天然キャラの大椿君が、助手として学校にやってきた蠱惑的な上田絵羽に心を奪われる。
    大椿君が純朴に心を寄せるのに対し、上杉君は自尊心をよりどころに恋にのめり込むのを留まろうとし、絵羽が見せる儚げな様子の秘密を知ろうとして、何と定期試験をサボってフランスへ飛び、絵羽が属したゼミの大学教授の死の真相にたどり着くのだが、絵羽と生きていこうと決心して帰国するととんでもない事態になっていた。

    ワイナリー復興の目的のためなら何でもする35才の絵羽が、真剣に上杉君を好きになるというのは、ちょっと不自然かな。それにしてもこの事件は上杉君の心の傷になるんだろうな

  • 高等部に進学した上杉和典
    数理工学部にチューターとしてやってきた上田絵羽に心を奪われる

    パートナーを探しているという絵羽のほんとうの目的は何か
    ワイン醸造をめぐる絵羽の秘められた過去と野望に二つの死亡事件がからまって、和典はブルゴーニュに向かう

    2011年に青い鳥文庫でスタートした「探偵チームKZ」シリーズ
    「妖精チームG」、「KZ Deep File」とスピンオフが続き、読者層の成長とともに最新シリーズ「KZ Upper File」が誕生

    「中等部の時にはKZなんて奇妙なグループ作って、盛り場彷徨いたり、空き家に忍びこんだりして、担任から何度呼び出し食らったと思ってるの。」

    《小塚に対人問題は無理、河馬に空を飛べと言うようなものだ。若武なら、黒木のように理由など聞かず、ああいいよと言うだろう。男は人の頼みを絶対に断わっちゃならないと信じている勇み肌だった。そこがいいところなのだが、無鉄砲で大雑把、常にミスが多い。慎重を要する現状に投入すれば、逆に新しい問題を引き起こすに決まっていた。となると黒木しか残らない。》

    この引用にピンときたら必読、悶絶必至

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著者プロフィール

長野県生まれ。西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光をあびる。フランス政府観光局親善大使。著作に、『新・三銃士』『皇妃エリザベート』『シャネル』『アンジェリク緋色の旗』『ハプスブルクの宝剣』『王妃マリー・アントワネット 華やかな悲劇のすべて』『幕末銃姫伝』『i維新銃姫伝』など多数。青い鳥文庫ではKZのほかに「妖精チームG(ジェニ)」シリーズ、『マリー・アントワネット物語』『三銃士』も手がけている。

「2019年 『探偵チームKZ事件ノート 特装版 校門の白魔女は知っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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