第160回直木賞受賞 宝島

著者 :
  • 講談社
3.99
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本棚登録 : 910
レビュー : 75
  • Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065118634

作品紹介・あらすじ

希望を祈るな。立ち上がり、掴み取れ。愛は囁くな。大声で叫び、歌い上げろ。信じよう。仲間との絆を、恋人との愛を。美しい海を、熱を、人間の力を。【あらすじ】英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染みーーグスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり――同じ夢に向かった。

感想・レビュー・書評

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  • 「なんくるないさ」
    沖縄の人達がよく遣う言葉。
    楽天的でおおらかな人柄・風土を表す素敵な言葉だと今までは思ったいた。
    けれどこの作品を読み終えた今、意味合いが少々違うことを知る。
    忘れなければ生きていけなかったから、それだけの目に遭ってきたから。
    暗く辛い過去を吹っ切ろうとして交わされる言葉でもあったのだ。
    そして度重なる弾圧を生き延びたおばあ達が口にする「なんくるないさ」の温かな重みに泣きそうになる。

    物語全体の疾走感がたまらなくいい。
    今を必死で生きる。
    ただがむしゃらに、ひたむきに。
    あの頃の沖縄を私は知らないけれど、目の前に浮かぶ映像が心を捉えて離れない。
    泣き喚き叫ぶ声が耳の中でいつまでも渦巻く。
    生きる、ってこういうことだ。
    読めて本当に良かった。

  • 読みながら血が沸騰するのを感じた。ページをめくる指先からその、沸騰した血が滲むような。
    これは、ずっとずっと私が知りたかった世界で、ずっとずっと探していた言葉で、ずっとずっと読みたかった小説。
    あぁ、もうほんとにすごい。

    500余ページの間、私は確かにあの時代のあの沖縄に生きていた。血を吐きながら明日を探して今日を必死に生きていた。
    生きている、私の中にも、この血が流れてる。そんなはずないさ、と言われても、そう思いたい。
    歴史の教科書では数行で語られる本土復帰の日。あの日までの長い時間の中でどれだけの血と涙が流され、どれ
    だけの苦しみと悲しみがあの地を覆い、どれだけの命が奪われてきたか。
    私たちは、知ることから始めなきゃならない。まず、あの日、いやあの日の前から、あの日の後から、どこで何が行われていたのか。それは誰が、ということにもつながる。
    知らなきゃ。知らなきゃ。

    あぁ、ほんと、誰かに伝えたい、語りたい、この物語を。

  • 第九回山田風太郎賞受賞作。戦後の沖縄が舞台。兄であり友である”英雄”を失った幼馴染のグスク、レイ、ヤマコ。グスクは警官、レイはテロリスト、ヤマコは教師になり、各々、占領下、英雄を追いかけながら、奪われたものを奪い返そうと、嵐のように駆け抜ける。三人の友情とともに、沖縄の信仰について、実際に起きた戦闘機墜落事件、米軍車両死亡交通事故、暴動等、沖縄の悲しい現代史もじっくり語られる。ミステリー要素もあり、読みどころ満載。登場人物の喜び、悲しみ、強い思いが描かれながら時は進み、どこを読んでも熱い、熱風を感じる。圧倒の一冊。
    なんくるないさーの陰には歴史があったのねと沖縄をより深く認識できた。読んでよかった。
    星は4.8くらいかなあ。

  • 500ページ超の長編小説を一気に読了。
    グングンと引き寄せる力は半端ない。
    こたつの中で丸くなりながら読んでいたけど、
    心も体もあの青く美しい沖縄の空の下に居るような
    錯覚に落ちてしまうほど。
    オンちゃんとグスクとレイとヤマコと4人の
    息遣いを感じるように、
    私も一緒に嘉手納基地をコザの街を疾走している。
    転んでも立ち上がり、殴られても立ち上がり、
    一緒に怒り、笑い、泣き、喜んでいる自分が
    この物語の中にいた。
    若い時に滞在した
    石垣島・西表島・竹富島・波照間島で肌で感じた、
    言葉に出来ないあの感覚を思い出す。

  • 沖縄県民です。面白かったです。私自身が感じている沖縄とは別の、あくまでフィクションの沖縄として楽しめました。沖縄方言や沖縄訛りは、監修がつかないなら最低限にして欲しかったです。違和感があって読みづらい。

    • シュンさん
      私も読んでいて、この使い方おかしくない?って、場面が何個かありました!
      ちょっと、気になりますよね。
      私も読んでいて、この使い方おかしくない?って、場面が何個かありました!
      ちょっと、気になりますよね。
      2019/02/17
  • 最初は、沖縄の人が書いたと思った。
    うちなーぐちをカナふりして、独特の雰囲気を作り出す。
    かっこで、述べている部分は、余分だと思う。
    それにしても、沖縄の底流にある文化と現代史をうまくすくいとって描いている。
    沖縄の重みを感じる 存在感のある本だった。
    それにしても、分厚くて、重い。一気に読んだが、支える手が辛かった。
    沖縄の置かれている理不尽さ。
    その理不尽に立ち向かう戦果アギヤーたち。
    沖縄の米軍基地から、物資を盗み、貧しい人たちに与える いわゆる義賊。
    英雄伝説となるオンちゃん。それを慕うグスク、弟 レイ、彼女 ヤマコ。
    嘉手納基地の戦果アギヤーから始まり、オンちゃんは行方不明となる。
    刑務所に入れられて、暴動を起こす。
    その刑務所に、瀬長亀次郎が来る。
    私は、瀬長亀次郎にあったことがあるが、その風雪に鍛えられた闘士のイメージが
    うまく描き出されている。アメリカに対決する強い姿勢。
    命をあくまでも大切にすることが、きちんと語られる。
    刑務所に入ったにも関わらず、刑事になったグスク。
    アメリカ軍兵士の女性殺害事件などを究明する。
    アメリカの政府の高官に スパイになれと 要望され、
    オンちゃんを探すことができるかもしれないと思って、スパイにもなる。
    ヤマコは、女給から勉強して、小学校の教師となる。
    小学校の校舎に 米軍機が墜落して、教え子を失い、積極的に復帰協に加わる。
    沖縄のヤクザのコザ派のリーダーになるが、那覇派の又吉を助けることに。
    グスクもレイも ヤマコが好きなのだが、それをうまく伝えることができない。
    嘉手納基地の中に 御嶽があり、ノロとユタが 伝承する。
    結局、沖縄返還とは、なんだったのか?
    「おためごかし、空約束、口から出まかせ、
    それらをテーブルに並べて、沖縄を裏切ってきたのが日本(ヤマトゥ)だ」
    核抜き、本土並みという約束も守られず、基地に毒ガスの存在。
    そして、アメリカ軍基地が 沖縄にどっかりと存在している。
    アメリカーをたっくるせ(たたき殺せ)という声の沸き上がり。
    沖縄の苦しみを背負って立つ英雄とは?
    三人の中にオンちゃんの想いが受け継がれる。

    辺野古基地への日本政府の強権的な行動に反対する沖縄の人々の前史が
    この物語の中の沖縄の人たちの思いや苦しみがしっかりと根付いている。
    読み終わって、沖縄の人が本当に喜ぶことができる道はなんなのか?
    それを真剣に考えざるを得なかった。
    じっくりと 沖縄に向き合うために 必要な本だと思う。

  • 壮大な世界観と喜怒哀楽に圧倒される。これまでな受賞作はとっつきにくいことが多かったが、時代が変わったのか自分の読書力がついたのか、大満足。結末をどう評価するかは人によって分かれそう。

  • 返還前の沖縄を舞台にした、暑くて熱い疾走感あふれる闘いの物語。
    沖縄の人々の生き抜く力に圧倒されながら、改めて沖縄の痛みに思いを致した。
    史実とフィクションを融合しながら、幼馴染の三人を中心に物語は進む。
    物資を奪還するため米軍基地に忍び込んだ後、行方が分からなくなった、彼らが慕い、憧れ、尊敬する”戦果アギャー”の英雄オンちゃん。
    彼はどうなったのか、その行方に、読者も頁を捲らざるを得なくなる。
    読み終えたあともしばらく、沖縄の熱い息吹に取り囲まれたいた。

  • アメリカ統治下の沖縄。
    戦果アギヤーとして、地元の英雄と呼ばれたおんちゃんが、基地から戻らなくなり、その後行方がしれなくなった。
    親友グスク、弟レン、恋人のヤマコは、おんちゃんを待ちながら、大人になって行く。

    歴史で語られることの無い当時の市井の人達の姿を知りました。
    沖縄は、有数のリゾート地としての意識しかなかったことを反省してます。

    現代でも、まだまだ事件が起こっている基地の問題。
    遠くの出来事に感じていましたが、これからは別の目で見ることになりそうです。

    すごい本に出会った、が素直な感想でした。

  • 島の英雄に何があったのか。
    英雄は何を見つけ、どこへ行ったのか。
    沖縄を舞台に、三人の幼馴染み、グスク、レイ、ヤマコの生きざまが描かれます。
    少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになりますが、英雄探しは諦めません。
    力強く、しかし切なく、読ませるストーリーです。

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著者プロフィール

真藤 順丈(しんどう じゅんじょう)
1977年東京都生まれ。2008年『地図男』で、第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞しデビュー。同年『庵堂三兄弟の聖職』で第15回日本ホラー小説大賞、『東京ヴァンパイア・ファイナンス』で第15回電撃小説大賞銀賞、『RANK』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞をそれぞれ受賞。著書にはほかに『バイブルDX』『畦と銃』『墓頭』などがある。
著書に『地図男』『畦と銃』『墓頭』など。土地の声から物語を紡ぐ稀有な作家として業界内で注目を浴び続け、『宝島』では五大紙と数々の文芸誌で絶賛を受ける。『宝島』で第9回山田風太郎賞を受賞し、第160回直木賞にノミネートされた。

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