掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

制作 : 岸本 佐知子 
  • 講談社
5.00
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本棚登録 : 140
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065119297

作品紹介・あらすじ

「アメリカ文学界最後の秘密」と呼ばれたルシア・ベルリンの小説集を日本でついに刊行!

2013年にノーベル文学賞を受賞したアリス・マンローや、短篇の名手レイモンド・カーヴァー、日本で近年人気が高まっているリディア・デイヴィスなどの名だたる作家たちに影響を与えながら、寡作ゆえに一部のディープな文学ファンにのみその名を知られてきた作家、ルシア・ベルリン。

2004年の逝去から10年を経て、2015年、短篇集A Manual for Cleaning Womenが出版されると同書はたちまちベストセラーとなり、The New York Times Book Reviewはじめ、その年の多くのメディアのベスト本リストに選ばれました。

本書は、同書から岸本佐知子がよりすぐった24篇を収録。
この一冊を読めば、世界が「再発見」した、この注目の作家の世界がわかります!

このむきだしの言葉、魂から直接つかみとってきたような言葉を、
とにかく読んで、揺さぶられてください
               ――岸本佐知子「訳者あとがき」より

彼女の小説を読んでいると、自分がそれまで何をしていたかも、
どこにいるかも、自分が誰かさえ忘れてしまう。
               ――リディア・デイヴィスによる原書序文「物語こそがすべて」(本書収録)より

毎日バスに揺られて他人の家に通いながら、ひたすら死ぬことを思う掃除婦(「掃除婦のための手引き書」)。
夜明けにふるえる足で酒を買いに行くアルコール依存症のシングルマザー(「どうにもならない」)。
刑務所で囚人たちに創作を教える女性教師(「さあ土曜日だ」)。……
自身の人生に根ざして紡ぎ出された奇跡の文学。

感想・レビュー・書評

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  • 打ちのめされましたよ
    控えめに言って、素晴らしい
    翻訳者の岸本さんに感謝!
    いつの日かまだ翻訳されていないルシアの短編が
    出版されることを待ち望んでいます

  • 場末のコインランドリー、狂人じみた祖父、子供を愛せなかった母、ぶざまな少女時代、アルコール依存症の体験など、ほぼ全ての物語が作者の人生を反映しているという。辛く個人的な体験を題材にしても、作者はどこか突き放したような姿勢をとり、家族とて容赦なく辛らつに描く。その鋭い言葉は一見無慈悲なようなのだが、読んでいると不思議に優しさや慰めが見い出される。また悲惨や孤独を描きながらエレガントで、こちらの不意を襲う獰猛なユーモアも素晴らしい。

    どれもかなり良いけれど、“待って。これには訳があるんです”で始まり冒頭シーンに呆気にとられた「星と聖人」、孤独な少女時代を描いた「沈黙」、幸せではなかった母の人生を想う「苦しみの殿堂」「ママ」、癌に侵された妹との最後の日々「あとちょっとだけ」などが印象に残る。胸が詰まるのに、軽やかな笑い声も聞こえるような。

    “わたしはインディアンたちの服が回っている乾燥機を、目をちょっとより目にして眺めるんのが好きだ。紫やオレンジや赤やピンクが一つに溶け合って、極彩色の渦巻きになる。”(p.14「エンジェル・コインランドリー店」)

    “わたしは家が好きだ。家はいろいろなことを語りかけてくる。掃除婦の仕事が苦にならない理由のひとつもそれだ。本を読むのに似ているのだ”(p.162「喪の仕事」
     
    “わたしはほかにもいろんなことを見のがしてきたんじゃなかろうか。……わたしに向かって発せられたのに聞きそこねた、どんな言葉があっただろう? 気づかずに過ぎてしまった、どんな愛があっただろう?”(p273-274「巣に帰る」)

    彼女の死後出版された作品集の中からリディア・デイヴィスの序文と共に24篇を収録。本を開くとすっと手になじむ装丁・製本も良い。

  • なんだろう、この感じ。今まで読んだことのない感じ。
    唯一近いかなと感じたのはブコウスキーだ。自分との距離の取り方が。

    滅茶苦茶な祖父、どこまでもマイウエイで個性的な母、背中の矯正、結婚と離婚、アルコール依存、妹の癌…とよくよく考えるとその1つでさえ普通の人には重く悲惨な体験なのに、それがたくさん散りばめられている。それが妙にカラっとして悲惨さは感じない。むしろ、フフとちょっと笑ってしまうような。カッコいい。

    誰の人生もそれなりに重かったり悲惨だったりするものだけれど、カッコよくクールに、フフと笑いたい。

  • 7000

  • ひとつひとつの収録作は決して長くない。しかし、不思議な印象を残す短編集だった。日常の光景を切り取ったものが多いが、着眼点が面白いので、切り込み方にも他にはない特徴があると思う。子供の視点が上手いのが印象的だった。
    一読して、割と日本人好みの短編じゃないかな、と思ったのだが、既に亡くなられているのね。残念だ。

  • 岸本佐知子著『楽しい夜』が翻訳・紹介する、選りすぐりの短編 | P+D MAGAZINE
    https://pdmagazine.jp/today-book/book-review-119/

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    「アメリカ文学界最後の秘密」と呼ばれたルシア・ベルリンの小説集を日本でついに刊行!

    2013年にノーベル文学賞を受賞したアリス・マンローや、短篇の名手レイモンド・カーヴァー、日本で近年人気が高まっているリディア・デイヴィスなどの名だたる作家たちに影響を与えながら、寡作ゆえに一部のディープな文学ファンにのみその名を知られてきた作家、ルシア・ベルリン。

    2004年の逝去から10年を経て、2015年、短篇集A Manual for Cleaning Womenが出版されると同書はたちまちベストセラーとなり、The New York Times Book Reviewはじめ、その年の多くのメディアのベスト本リストに選ばれました。

    本書は、同書から岸本佐知子がよりすぐった24篇を収録。
    この一冊を読めば、世界が「再発見」した、この注目の作家の世界がわかります!

    このむきだしの言葉、魂から直接つかみとってきたような言葉を、
    とにかく読んで、揺さぶられてください
     ――岸本佐知子「訳者あとがき」より

    彼女の小説を読んでいると、自分がそれまで何をしていたかも、
    どこにいるかも、自分が誰かさえ忘れてしまう。
     ――リディア・デイヴィスによる原書序文「物語こそがすべて」(本書収録)より

    毎日バスに揺られて他人の家に通いながら、ひたすら死ぬことを思う掃除婦(「掃除婦のための手引き書」)。
    夜明けにふるえる足で酒を買いに行くアルコール依存症のシングルマザー(「どうにもならない」)。
    刑務所で囚人たちに創作を教える女性教師(「さあ土曜日だ」)。……
    自身の人生に根ざして紡ぎ出された奇跡の文学。
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065119297

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