聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.38
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本棚登録 : 437
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065119433

作品紹介・あらすじ

「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位
今、最も読むべきミステリ!!

聖女伝説が伝わる里で行われた婚礼の場で、同じ盃を回し飲みした出席者のうち、毒死した者と何事もなく助かった者が交互に出る「飛び石殺人」が発生。
不可解な毒殺は祟り神として祀られた聖女による奇蹟なのか?
探偵・上苙丞(うえおろじょう)は人の手による犯行可能性を数多の推理と論理で否定し、「奇蹟の実在」証明に挑む。

感想・レビュー・書評

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  • めくるめく仮説の応酬でお腹いっぱい。どのように特定の被害者に毒を盛ったのか、自分でも無い知恵を絞っていろいろ考えを巡らせてみたものの、まあ当たるわけもなく。このシリーズがどのような着地点へ向かうのか。続編も読みたい。

  • 今作は前作「その可能性はすでに考えた」の続編になりますが、正直前作ほどのインパクトはなかったと思いました。
    出し惜しみせずトリックと推理が出てくるところは、非常に私好みの作風でしたが、動機が少し弱いと感じました。
    その面で印象が弱くなってしまったのかなと。
    トリックに対してもったいない!と思いました。
    井上真偽先生の作品が大好きなので、このままたくさんのトリックと推理が入った作品を書いてほしいです。

  • 「その可能性はすでに考えた」の続編。前回よりパズルっぽい感じ。ウエオロの(自称)弟子の少年・八ツ星が前面に出てる。
    事件の内容は「同じ盃で祝い酒を酌み交わした一同の中から死者が出る」と言うもの。「並んでいた人が一人置きに死ぬ」という不可思議な感じ。
    八ツ星少年の活躍で

    ・盃の模様を使い、交互に向きが変わる飲み方を利用した説

    ・被害者たちが倒れたのが演技で、介抱するふりをして毒を飲ませた説

    ・毒の入手が可能な三人がそれぞれ独立して犯行に及んだ説

    ・途中で乱入した犬は仕込みで、身体に毒が付着していた説

    等が語られるが、矛盾点が浮き彫りになる。
    さらにフーリン犯人説も飛び出す。

    ウエオロが語った真相は、「死んだ花嫁の父が犯人」という説。
    婚礼の途中で人が入れ替わっていたことなどを説明し、この説を補強する。
    かくしてウエオロの求める奇跡はここでも否定される。

  • はぁー、カッコいい。「あらゆる可能性を排除した上で『奇蹟』でしかなし得ない犯罪」であることを証明しようとする探偵が今回臨むのは、地方成金の結婚式で起こった殺人事件。探偵の登場まで紙数は使うが、その間も飽きさせることなく推理と論考は続き、さらには犯人(と自分が認識している者)すらも否定する。

    状況証拠から論理と反証を繰り返し、「その可能性はすでに考えた」と決め台詞を放つ様は、カッコいいの一言。ツッコミ所もあるが、キャラの濃さ含め今回も楽しんだ。

  • 読了70点
    ネタバレあり

    ***
    「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位。今、最も読むべきミステリ!! 聖女伝説が伝わる里で行われた婚礼の場で、同じ盃を回し飲みした出席者のうち、毒死した者と何事もなく助かった者が交互に出る「飛び石殺人」が発生。不可解な毒殺は祟り神として祀られた聖女による奇蹟なのか? 探偵・上苙丞(うえおろじょう)は人の手による犯行可能性を数多の推理と論理で否定し、「奇蹟の実在」証明に挑む。
    ***
    Amazon内容紹介より

    シリーズ2作目。1作目や他の著書も読了済み。
    シリーズのコンセプトは、”人為的な、あるいは自然現象で起こり得る全ての可能性を網羅してもなお説明できない事柄は超自然的な、すなわち奇蹟である”という考えをベースに奇蹟の実在を証明するお話。
    と書くと分かりにくいが、早い話どんな言い掛かりレベルの疑いであってもそれを論理で否定するというもの。

    今作で良かったのは
    ・読者と同じ視点の登場人物であるフーリンが中盤突如自分が犯人であることを独白し、それがどう結末に繋がるかがわからないワクワク感
    ・奇跡の証明に挑むというコンセプトがそもそも無茶苦茶だが、それを納得させる舞台装置としてのマフィアに囚われた環境。
     (マフィアはとりあえず拷問で自白させてしまえばいいというスタンスであり、対立する探偵側は拷問を阻止するために論理で否定しなければならないという展開が上手い)
    ・フーリンのトリック

    対してダメだったのは、
    ・最終的に用いられたトリックが少なくともその前に示されたフーリンのトリックよりもスケールダウン
    ・花嫁の毒物が盗まれたことから犯人は他者に濡れ衣を着せようとしている人物、という犯人像を大前提として序盤から話が進んでいるにも拘らず、最終的な真相ではその解釈がおざなり
    (これを受け入れるならば濡れ衣を誰に着せるかまでは考えておらず行動に一貫性がないことも受け入れられるのではという意見)
    ・Aがこれこれこういう方法で犯行を行ったと考えると(思い付くのは名探偵クラス)、Aはそれそれそういう行動を取るはずだが取っていないことからAの犯行ではない、という論理が多数存在するが、Aによる犯行が指摘されるほど緻密に考えを巡らせる状況に備えてその上で犯行が否定されるように動くのは犯人の行動として問題ないのでは?
    ・結末から派生させれば複数犯による同時自殺説も浮上するがその点はスルー

    というあたり。欠点の2つ目、花嫁の毒が何故盗まれたのかの真相は前半の推理パートを半壊させるので快く評価できないと言うのが正直な意見です。

  • 「探偵が早すぎる」(事件が起こる前にトリックを看破、犯人(未遂)を特定してしまう探偵の話)の作者による推理小説。主人公である探偵は、奇跡が起きたことを示すために、ありとあらゆる考えられうるトリックが成り立たないことを立証しようとする。

    シリーズ第2作。

  • 2019.5.12読了。

  • 前作に比べてさらに込み入ったストーリーになっている。

    「その可能性はすでに考えた」という基本設定に加え、「誰が犯人か」を追う王道ミステリが同時に組み込まれ、そのストーリーは込み入っている。

    それでも、前作同様論証の部分を少々読み飛ばしても読み物として理解できる親切さが失われていない。作者の力量の高さが如何なく発揮されている。

    ただ、話が複雑になった分、その分反証できる余地がより広がってしまった印象も残る。例えば反証として「紀紗子は着物を汚れるのを嫌う」といった個人の志向が入り込んでいるけれど、この種の人間の感情を反証に組み込んでしまうと、「その時は『まあいいか』と思った」というような「個人の気分」という「反論」に抗しきれないのではないかなあ。

  • ミステリ界に詳しくない私の所見ですが、最近の「本格ミステリ」と呼ばれる作品には、ちょっと風変わりな要素が見受けられるように思います。

    それはセリフ回しだったり、キャラの造形だったり、世界観だったりと作品(作家)によってマチマチですが、少々現実離れしたものを目にすることが多い気がしています。

    そんな作品を書く作家陣の中で、本作の著者が頭一つ二つも抜きんでているように思います(当然ですが、あくまで私が読んだ狭い範囲での話ですけど……)。

    それは尖がったキャラの造形や性格だったり、真相を突き止めるまでのプロセスだったり……あらゆる要素に突き抜けた差別化感があるところ。荒唐無稽に感じることもありますが、それを凌駕するエンタメとしての面白さがあるように思うのです。

    前作「その可能性はすでに考えた」に登場した、強烈な個性をもった人物たちが、本作でもそれを遺憾なく発揮。言動の予想のつかなさと、次々に披露される推理とその反証の連続が、モチベーションを低下させることなく読ませてくれます。

    中盤で判明する犯人も意外過ぎて驚き。上苙丞が真相を突き止めてしまうことは確実なはずで、でもそうすると犯人は“処分”されてしまうわけで……いったいどうなるのか? 気になって気になって、中盤以降はほぼ一気読みでした。

    今回も奇蹟の証明はできず、まだまだ上苙丞のお話は続きそうで。続きが楽しいであります。

  • 2019/03/08

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著者プロフィール

井上 真偽(いのうえ まぎ)
神奈川県出身。東京大学卒業。『恋と禁忌の述語論理』で第51回メフィスト賞を受賞。
第2作『その可能性はすでに考えた』は、恩田陸氏、麻耶雄嵩氏、辻真先氏、評論家諸氏などから大絶賛を受ける。同作は、2016年度第16回本格ミステリ大賞候補に選ばれた他、各ミステリ・ランキングを席捲。
続編『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』でも「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位を獲得した他、「ミステリが読みたい!2017年版」『このミステリーがすごい!  2017年版』「週刊文春ミステリーベスト10 2016年」にランクイン。さらに2017年度第17回本格ミステリ大賞候補と「読者に勧める黄金の本格ミステリー」に選ばれる。また同年「言の葉の子ら」が第70回日本推理作家協会賞短編部門の候補作に。
2017年刊行の『探偵が早すぎる』は2018年に滝藤賢一・広瀬アリス主演でテレビドラマ化された。

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