「がん」はなぜできるのか そのメカニズムからゲノム医療まで (ブルーバックス)

制作 : 国立がん研究センター研究所 
  • 講談社
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レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065120934

作品紹介・あらすじ

日本のがん罹患者数は年々増加し、最近では年間約100万人が新たにがんを発症し、死亡者の3人に1人にあたる約37万人ががんで亡くなっています。近年の統計からは、日本人の2人に1人が生涯に一度はがんに罹り、男性の4人に1人、女性の6人に1人ががんで死亡するものと推計されています。同時に、がんの診断及び治療技術も近年急速に改善してきました。直近の統計では、がん患者全体の5年相対生存率は60%を超えており、がんの経験者やがん治療を継続されている「がんサバイバー」の数は既に数百万人、日本対がん協会によると700万人を数えているとされています。正に「がんは国民病」と言える時代になったと言えます。
がん撲滅に向けて、医学者や科学者たちは懸命の努力を続けていますが、いまだがんを根治する方法は見つかっていません。しかしながら、近年のゲノム医療の進展で、「がん根治」の手がかりが見えてきています。分子標的薬によるオーダーメイド治療、免疫チェックポイント阻害薬などの画期的新薬も登場しています。日本のがん医療・研究の拠点として、がん研究に取り組んできた「国立がん研究センター研究所」のトップ科学者たちが、「がんのメカニズム」から最先端の「ゲノム医療」まで語り尽くします。

革新的な治療法や検査法が次々に開発

※血液1滴でがんの早期発見できる「エクソソーム解析」

※最適な抗がん剤が見つかる網羅的遺伝子検査

※「魔法の弾丸」分子標的薬でオーダーメイド治療

※公的医療保険が適用できるゲノム医療

感想・レビュー・書評

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  • 最新の研究成果が満載で、「がん」が何故できるのかそのメカニズムを詳しく知ることが出来た。 不安心を煽ることなく「がん」について冷静に記述する意志が随所に感じられる。まさに、「がん」の教科書とも呼べる一冊ではなかろうか。

  • これまで読んだがんに関する本の中で一番理屈的にわかりやすい本でした。医療に携わりがんについてこれまでとこれからを勉強し始めた人におすすめ。

  • 国立がん研が著者であるブルーバックス、というわけでがんのイロハを学ぶための教科書として購入。
    一定の前提知識を有する読者でないと読むのが難しいと思われるけど、現場の実態も踏まえた記載が多く信頼できそう。
    ・がん患者全体の5年相対生存率は60%を超える
    ・がんは、遺伝子の傷が蓄積した細胞が、正常の制御機構から逃れて無制限に増殖することで発生すると考えられている
    ・年間100万人以上が新たにがんを発生するといわれる
    ・我々の体内では、2万種類ほどの遺伝子の情報に基づいて約5万~10万種類ほどのたんぱく質が作られている。うち、細胞の増殖に関わるたんぱく質は数百種類と精鋭
    ・数百のがん遺伝子が見つかっている
    ・がん抑制遺伝子は、細胞がむやみに増幅しないための制御機構の1つ
    ・遺伝子のDNAは、塩基3つごとに1個のアミノ酸を指定
    ・人の発がんには環境要因が大きくかかわっている
    ・2005年頃にアメリカで次世代シーケンサー(DNAの塩基配列を読み取る自動化装置)が登場
    ・免疫機構は加齢とともに突破されやすくなる
    ・免疫チェックポイント阻害剤の登場によりがん治療は新しい局面を迎えた
    ・細胞の分裂できる回数には限りがある(細胞老化)。細胞分裂のたびにDNAの末端は短くなり、遺伝情報が失われていく
    ・生活習慣病は早期段階から兆候が表れるが、がんは症状が現れた際にはだいぶ進行していることがある。国立がん研では、がん早期発見のための血液検査を開発中
    ・生殖によりゲノムの情報が親から子へ垂直伝達される他にも、miRNAという形でも伝達がされている
    ・日本では感染によるがんの発症事例が多い(肝炎ウイルス→肝臓がん、ピロリ菌→胃がん)
    ・食塩・塩蔵品と胃がんとの間に関係ある
    ・メトホルミンは元を辿ると植物由来の成分
    ・がん予防薬が使われるのはそう遠くない未来と思われるが、予防薬が保険適用になるかは大きな問題

  • ・免疫チェックポイント阻害剤
    ・pdi抗体 のニボルマブ→商品名 オプジーボ
    ・がんの原因 遺伝子変異
    ・炎症からがん化するケースがある
    ・遺伝子に傷がつく事がきっかけで、DNAが変異する
    ・増殖するがん細胞は不死化
    ・高齢になるとがんになる可能性が高くなる
    ・再発と転移が治療を困難にさせる
    ・再発と転移の要因は幹細胞にある
    ・足場依存性と足場非依存性の肺癌
    正常細胞は足場を失い浮遊状態になると細胞死を起こす。転移がんは浮遊しても死なない。→足場非依存性はタンパク質のリン酸化が強い→RNA干渉法で膜タンパク質の量を減らすとがん細胞は増えることごできない。
    ・遺伝は5%、がんの発症要因はタバコと食事が30%ずつ。
    ・分子標的薬 →正常細胞を避けて、がんに狙い撃ちする抗がん剤
    ゲフィチニブ 非小細胞肺癌
    →副作用として皮膚発疹や間質性肺炎
    ・ALK阻害剤クリゾチニブ →タンパク質の機能を抑える肺がん治療薬
    ・ALK融合遺伝子による肺がんの場合→3種類の分子標的薬 クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ →特効薬であり副作用もない。
    ・他にもROS1(ロスワン)融合遺伝子やRET融合遺伝子についても、分子標的薬が開発されて臨床試験が進んでいる。
    ・原因となる融合遺伝子
    ・原因遺伝子の分類が治療薬の選択に直結する
    →遺伝子を調べる事が適切な治療薬につながる。
    ・拡酸(さん)医薬の効果 →まだ治療薬として承認されていない→TDM812 が最初の拡酸治療薬になることを期待
    ・分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤と頼りになる治療薬の選択肢が増えている。
    これに加えて拡酸医薬など新たなコンセプトの治療薬に期待。
    更にゲノム医療で適切な治療薬を選択。
    ・ゲフィチニブは肺癌に効果あるが、しばらくすると抵抗性がでてきて薬が効かなくなる。
    ・がんゲノム医療中核拠点病院、連携病院、
    これらの病院に限っては公的保険が適用される予定(早ければ2019年から)

  • 正直、医学に関する本はほとんど何も読んだことがありません(ガレノスとか、そういう歴史的なことは少しだけ知ってることもある)

    その中で、これはしっかりとして標準的ながんの本といった感じでしょうか。今わかっている(といっても細かく見るとわかってない)ことや、どういうことを研究しているのかという動向がわかります。
    非常に複雑ながんのプロセスが、非常に複雑なんだー、とわかる程度に書かれていました。しかし、しばしば詳細がわからない...最近のブルーバックスは分かりやすいものが増えてきましたが、これはなかなか歯がおれます(いい意味)

    こういった本を出していくのがブルーバックスだよなー、と思いつつ読みました。

  • 免疫チェックポイント阻害剤も含めて、最近のガン治療薬を取り上げ、またガンと老化との関係などベースになる知見を網羅しており、基本から先進までの多くの話題を上手く記述しています。久し振りのヒットとなるblue backs ですね!

  • ブルーバックスだけあって、内容がしっかりしている(と思われる)のと読みやすさを両立させていると感じます。

    なかなか予防とかは難しい病気だとは思いますが、今後の発展にすごく期待します。

  • 9/14より再読。一回目は少々難しすぎて殆ど理解出来ず。専門書よりかなり易しく書いていると思われるのだか、当方の予備知識と読解力の不足だと反省。

  • 内容はかなり難しかった。詳しく説明を工夫してくれてはいるがなかなか単語が頭に入らない。じっくり読むための本。

  • がんが発生するメカニズムや、近年開発が進む治療方法がどのようなものかを説明した本。

    正直に言えば、読みやすい本とは言えない。
    また、今、病で苦しむ人、再発の懸念を持っている人が、今どうするかには応えられるものではないかもしれない。
    (もちろん、私自身も当事者だったりするわけだが。)

    もしかすると、NHKの番組で似たような内容のシリーズが既に放送されているかもしれないけれど、映像で見せられれば、理解がもっと進む気がする。

    自分は病気が見つかってから手術を受けるまで、仕事の忙しさにかまけて、病気のことを大して知らないままだった。
    この本を読んで、ここ数年、すぐに高熱を出したり、傷が治りにくかったりしたのも、がんで免疫力が落ちていたからなのかなあ、と今になって思い当たるような体たらくである。

    分子標的薬やゲノム治療の可能性も書かれていたけれど、標的薬が副作用を起こさないとは限らないことや、がん細胞が多様性を持っているから、抵抗性を持つものが生き残り、根絶できないことなどあって、まだまだ課題は多いらしい。

    う~ん、自分にはがん治療革命の恩恵に浴することができる時間があるのか、何か微妙な状況だなあ。

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著者プロフィール

1962年に日本のがん医療・がん研究の拠点となる国立の機関として創設された「国立がん研究センター」の基礎研究部門。これまで、国内的及び国際的に、がん研究に携わる人材を数多く育成・輩出してきた。創設以来、最新の技術・アプローチを駆使した独創的・イノベーティブながん基礎研究を土台として、発がん機構の理解から新しい診断・治療法の開発までを一貫して強力に進めている。現在、日本でのゲノム医療体制の構築と希少がん・小児がん・難治がん対策に重点的に取り込むとともに、製薬企業やアカデミアとの連携による基礎と臨床の橋渡し研究を積極的に推進している。

「2018年 『「がん」はなぜできるのか そのメカニズムからゲノム医療まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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