戦国武士道物語 死處 (講談社文庫)

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  • 講談社 (2018年7月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784065121696

作品紹介・あらすじ

昭和16年に執筆され、戦後の混乱期の中、未発表のまま保管されていた短篇小説「死處」。77年ぶりに発見された本作を収録した小説集、遂に刊行! 表題作「死處」のほか、伊達家先方隊として山中を進む武士たちとそれを追う女の恋を描く名作「夏草戦記」、戦場で手柄を立てない良人とその本当の姿を知る妻を心の繋がりを哀切深く描いた「石ころ」など、動乱の世に生きた人々の生き様を通し、人の在り方を問う全篇名作時代小説集


昭和16年(1941年)に執筆され、戦後の混乱期の中、未発表のまま保管されていた短篇小説「死處」。77年ぶりに発見された本作を収録した傑作時代人情小説が遂に刊行!合戦に赴くことなく留守役を買って出た家臣の真意とは、表題作にして未発表作「死處」のほか、伊達家先方隊として山中を行軍する武士たちとそれを追う女の恋を描く名作「夏草戦記」、戦場で手柄を立てたことのない良人のその本当の姿を知る妻の心の繋がりを哀切深く描いた「石ころ」など、動乱の戦国に生きた人々の生き様を通し、人の姿、在り方を問う全篇名作時代小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 77年ぶりに発見された未発表作(表題)を巻末に、その10ヶ月後に発表された同音異曲「城を守る者」を冒頭に、その他「石ころ」「夏草戦記」等、全て第二次世界大戦の戦中に発表された「戦国武士道物語」8篇を収める。山本周五郎の戦記ものは、もしかしたら初めて読んだ気がする。時はまだ真珠湾攻撃の勢いを駆って、世の中の戦記ものは信長、秀吉、家康を始めとして有名な英雄を主人公にした物語が多かった頃。しかし、此処に綴られる人物たちは、その下で働いた無名の者たちばかりである。

    「どれほど多くのもののふが夏草の下にうもれたことだろう。その人々は名も遺らず、伝記も伝わらない、かつてあったかたちはあとかたもなく消えてしまう、だがそのたましいは消えはしない、われらの血のなかに生きている、われらの血のつづくかぎり生きているのだ。」(96p「夏草戦記」より)

    ほとんどの読者は、戦争を体験、或いは身近に聴き知っている者ばかりだったろう。その者たちに向かい、1番心に響く言葉を周五郎は書いた。この部分だけ、周五郎はひらがなをおおくつかい、ぶんを「。」で止めなかった。まさに、無名のひとたちにかたりかけたのである。

    「死處」は、最前線に出て勇猛果敢に死を賭して戦うことだけが死處ではない、他に選ぶ死處はあることを語った話である。しかし編集部に渡していた原稿が掲載される前に、雑誌が紙不足のために休刊して仕舞う。周五郎は原稿の返却を言わなかった。その不器用さは、ここに出てくる多くの登場人物たちの行動と似ている。そして、同じモチーフを使いながらもう一度別の作品を書く。私は「城を守る者」の方が完成度も、テーマ的にも優れていると思う。

    戦後に吉川英治は一時筆を絶った。有名人だけを主人公に据え、忠義を追い求め、従軍作家にもなった吉川英治は、「新平家物語」を書くまでは再出発することができなかった。山本周五郎にそういう中断はなかった。蓋(けだ)し、周五郎再評価、宜哉(むべなるかな)。

  •  表題作「死處」は未発表の儘、七十数年振りに講談社の資料室から発見された作品との事。

     乱世の名も無き武士の死に様にフォーカスした短篇集。彼らの名は歴史には残らない。然し恐らくはこんな人々が嘗ては居たのであろう。


     彼らの人生と其の死に様は歴史の中に埋没した石礫のようだ。けれども、そんな石礫の一つ一つを取り上げ、磨き、彫琢し、作品に昇華した山本周五郎の筆致には得も言われぬ愛を感じる。「石ころ」作中の多田新蔵が石塊を愛でる姿には作者の姿がそのまま重なる。其の眼差しのやさしさを行間に幻視する思いであった。

  • 周五郎の短編集。

    主人公の生き方考え方が、なんとも言えず身に染みる話が多い。今の世の中こんな人間が果たしてどれだけいるだろうか。自らのの保身と栄達のみを考える浅はかな輩が多いのではないだろうか。

    元来日本人の原型は、この周五郎の描いた人間の中にあるのではないだろうか。私は周五郎描くところの人間になりたい。

  • 古い話だけど、泣ける。大将ではなく、名も知らない部下たちの忠義、武士としての生き様、心にじんわりくる。

  • 未発表作品「死處」を含む作品集。

  • 戦国時代における日本人の死生観が感じられる短編集。
    政治家やらが「命懸けで…」、「~生命を賭けて」というが、なんと浅薄なことか。
    「武士道」を大上段に構えてモノ言う奴は俺は嫌いだ。

  • 77年ぶりに発見された未発表作「死處」収録!

    戦時下の動乱に未発表のまま置かれていた小説「死處」。77年の時を経て初収録される表題作他、伊達藩の武士と少女の姿を哀切とともに綴る名作「夏草戦記」など。戦国を舞台に日本人の死生観を描く傑作全8篇。

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著者プロフィール

(やまもと・しゅうごろう)
1903~1967。山梨県生まれ。小学校を卒業後、質店の山本周五郎商店の徒弟となる。文芸に理解のある店主のもとで創作を始め、1926年の「文藝春秋」に掲載された『須磨寺附近』が出世作となる。デビュー直後は、倶楽部雑誌や少年少女雑誌などに探偵小説や伝奇小説を書いていたが、戦後は政治の非情を題材にした『樅ノ木は残った』、庶民の生活を活写した『赤ひげ診療譚』、『青べか物語』など人間の本質に迫る名作を発表している。1943年に『日本婦道記』が直木賞に選ばれるが受賞を辞退。その後も亡くなるまで、あらゆる文学賞の受賞を拒否し続けた。

「2025年 『山本周五郎[未収録]時代小説集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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