対岸の家事

著者 :
  • 講談社
3.87
  • (20)
  • (44)
  • (18)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 216
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065122006

作品紹介・あらすじ

ひとりひとりに、かけがえのない物語がある――。

「専業主婦なんか、絶滅危惧種だよね」
村上詩穂は、今ドキ珍しい「専業主婦」。居酒屋に勤める激務の夫と、おてんばな2歳の娘。決して裕福ではないけれど、家族のために専業主婦という道を選んだ詩穂のまわりには、同じ主婦の「ママ友」がいなかった。娘とたった二人だけの、途方もなく繰り返される毎日。誰でもいい、私の話を訊いて――。幸せなはずなのに、自分の選択が正しかったか迷う詩穂のまわりには、苦しい現実と戦う人たちがいた。二児を抱え、自分に熱があっても仕事を休めないワーキングマザー。医者の夫との間に子どもができず、患者たちに揶揄される主婦。外資企業に勤める妻の代わりに、二年間の育休をとり、1歳の娘を育てる公務員。夫に先立たれ、認知症の兆候が見え始めた中年の主婦と、結婚よりも仕事を選んだその娘。頑張り続け、いつしか限界を迎えた彼女たちに、詩穂は専業主婦として、自分にできることはないかを考え始める――。

どうしてこんなに大変なんだろう?
特別なことなんて、ひとつもない。何気ない日常でさえ必死でもがく人たちを描く、リアルファミリーストーリー。この本を読めばきっと、明日が来るのが待ち遠しくなる!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ★4.5

    家族のために「家事をすること」を仕事に選んだ、専業主婦の詩穂。
    娘とたった二人だけの、途方もなく繰り返される毎日。
    幸せなはずなのに、自分の選択が正しかったのか迷う彼女のまわりには、
    性別や立場が違っても、同じく現実に苦しむ人たちがいた。
    二児を抱え、自分に熱があっても休めない多忙なワーキングマザー
    医者の夫との間に子どもができず、姑や患者にプレッシャーをかけられる主婦。
    外資系企業で働く妻の代わりに、二年間の育休をとり、1歳の娘を育てるエリート公務員。
    誰にも頼れず、いつしか限界を迎える彼らに、詩穂は優しく寄り添い、
    自分にできることを考え始める――。


    全然知らなかった…。気付いていなかった…。
    専業主婦が絶滅危惧種になっているなんて、
    都会の昼間の住宅街や公園に子供を連れた主婦がいないだなんて、
    老人ばかりだなんて…。
    専業主婦も孤独で孤独で死にたくなる程悩んでいて、
    子供を育ててるワーキングマザーも時々ブラックアウトする位疲弊している。
    家庭の数だけ、それぞれの家族の形があり、
    本当の姿なんて外から見るだけじゃわかんない、悩みなんて見えない。
    それなのに、違う立場の人を羨んだり、見下したり、攻撃したり。
    皆がそれぞれの悩みを抱えて苦しんでいるのにね。
    閉塞感に読んでて苦しくなりましたが、苦しくなる程
    家事に育児に苦しみもがいている人達のリアルな姿が描かれていた。

    テレビでは頻繁に少子高齢化問題や待機児童問題が声高に語られているが、
    子供を産むと働き辛くなる環境。
    行政側もリアルな姿をしっかりと認識して改善して欲しい。
    家事や育児に協力的でない夫(-`ェ´-怒)
    共働きでどうして女性がメインで家事をしなくてはいけないのだろう。
    家事は主婦がやって当たり前と思っている人が老若男女問わず多いと思う。
    昔とはあらゆることが変わったのにね。

    たかが家事。されど家事。
    手を抜いたっていい。休んだっていい。
    終わりのない仕事です。
    誰もが考えなければならない事ですね。

    一人で頑張っている人達に読んで欲しい。
    いや一人でも多くの人に読んで欲しい一冊でした(*´ `*)

  • 自分は2つのことは同時にできない、と家事(と育児)に専念するために専業主婦を選択して生きる詩穂。しかし時代は専業主婦に優しくなかった。働きながら子育てするのは当然で、大変なら外注するのができる人、という風潮。専業主婦を選んだ自分は正しかったのだろうか――。家事の大半と仕事、育児をやっている身としては深い共感を持って読み進んだ。ほんとうに育児は大変!すべての作業を流れるようにさばいていかないとすぐに詰む。まるでベルトコンベアーから流れてくる、大きさも重さもまちまちな荷物を検品して仕分けていくような作業。ペースは自分では決められず、スピードが緩まることはないので、解決策は助っ人を探す、の一択。それが都会暮らしの核家族にとっては難易度が高い……。でも子供を通じて世界は広がるし、そこに希望はある。最後の場面は育児は過去さえも変えていく力があるのかもと、嬉しくなる場面で終わる。深い共感の一冊だった。

  • 家族のために、子育てと家事を仕事として選んだ詩穂。
    しかし、児童支援センターで出会ったワーキングママに、専業主婦は絶滅危惧種と言われてしまう。


    私は15年間専業主婦をしました。
    家事と子育てと仕事の両立は難しいと思っていたので、詩穂と同じ。
    その当時、我が家の近所にも専業主婦は沢山いて、幼稚園バスの見送り後の井戸端会議は常でした。
    今はパートで社会復帰をしてますが、自分にとっては後悔のない選択だったと思っています。
    ワーキングママを選んだ人達には、尊敬の念を持っています。
    家事と仕事の両立は、ホントに大変だと思いますから。

    家事には終わりがない分、どこまでやれば正解かの判断はつかないもの。
    文中にあった『大事なのは生きること、元気になること。それ以外は後回しでいい。手を抜いてもいい。それが主婦の仕事の優先順位。』に激しく同意。
    手抜きの出来ない主婦だったあの頃の自分に伝えてあげたいと思います。

  • 対岸の火事ではなくて、対岸の家事かぁ(笑)

    対岸の彼女ともまた違って、バリバリ正社員で主婦で母の私でも、かなり楽しく読ませて頂いた。

    絶滅危惧種の専業主婦かぁ。
    育児、家事を担う専業主婦の仕事量は、正直会社員の何倍も大変なのではないかと思っている私は、専業主婦に敬意があっても軽視する気持ちは無い。

    現在の日本の女性を、主婦、ワーキングマザー等、色々な立場から代弁してくれている、非常に清々しい作品。

  • いろいろな理由で家事におしつぶされそうな登場人物たち。彼女たち彼たちと一緒に焦ったりイライラしたり絶望したりしながら読みました。
    生きていくために絶対に必要なのに、空気や水のように無視されがちな家事。
    家事をしてもらう側の人たちは「そんなもの誰にでも出来る」「でも自分は忙しいからやらない」「誰かがやってくれる」と無邪気にも信じていたりする。
    なめるなよ家事!
    今でもどこかで無理ゲーに果敢に挑んでいる兼業主婦や主夫がいる。
    ルールなんて適当でいいんだよ!と、手抜きする勇気をくれる物語です。

  • 家事と子育て、それはとても大変なことだと思う。疲れたと思っても子供は待ってくれないのだろうし……。
    外で働くのもこれまた気を遣って大変。子育てと両立ってどうやったらできるんだろうね。
    夫、妻、ご近所や両親など手助けしてくれる人が近くにいてくれれば、なんとか乗り越えられるのか。

  • 女性(特に専業主婦)の生きづらさがものすごくリアルに描写されていて、ぐんぐん引き込まれました。

    専業主婦にせよ、ワーママにせよ、悩みは尽きないわけで、それぞれに事情をかかえている。
    みんな、自分の選択に自信が持てないから、自分と違う人と比べて、見下して、自分を肯定しているのかもしれないなあ。。

    選択肢が広がった今の世の中だからこそ、みんなどこかに、本当にこれでよかったのかな?という気持ちを持っているような気がする。

    自分に自信がなくなったとき、ゲームオーバーになりそうなとき、救いになるのは親や友達でなければならないということはなく、
    たとえそれが赤の他人であっても、広い心で迎え入れてくれたら、話を聞いてもらえたら、人って簡単に立ち直るものなのかもしれない。


    この本は、男性こそが読むべきかもしれないなぁ。


    今減って来ている専業主婦にあえて焦点を当てているのがすごく新鮮でした。
    子供が生まれたらまた読み返したいな。

  • みんな、人と比べて「自分はこんなに大変なのに!」と思いがち。そしてそんな自分を肯定しようと、相手を下に見ようとする。何も語らないあの人だってすごく大変かもしれないのに。大変そうに見えるあの人が、実は自分では幸せだと思ってるかもしれないのに。

  • 専業主婦の詩穂。まわりは仕事をする親ばかりで主婦友がいない。今時、主婦がいるなんてと見下されるばかり。お隣の二人の子供を抱えた礼子、パパ友になった育休中の官僚・中谷さん、そして志穂は自分自身、育児、家事のことを考える。最初は、周りの主婦はいないとか、どれもオーバーに書かれているかなと思ったけれど、それが際立って物語の上ではよかったかのかもね。働く母親ばかりというのは地域性の問題かしら(私のところはそうでない)。結局のところ、主婦は会社の総務的なものと言ったけれど、育児を含め主婦業に徹したい、それが合う人もいるだろうし、仕事がないと(精神的にでも経済的にでも)成り立たない人もいるであろう。自分に満足していれば、他人に文句もなんだろうけど、特に現在の社会の現状では働いている人は辛いだろうね。自分一人で育児をしていくのは、働いていればなおさら無理だし、主婦でも精神的に無理な時もあるだろうよ。昔のように家族や近所ぐるみで見ているというわけでもなし。みんな苦労は同じなんだし、味方を増やしておくというのも立派な家事の一つというのもよく言ったものです。読み手によってだいぶ印象も違ってくると思いますが、育児家事は大変なものです。当たり前に思ってはいけませんね。なかなか面白かったね。

  • 専業主婦を批判する本かと思いきや最後まで読むと違った着地点でなるほどうまいなと思いました。
    ステレオタイプな批判にはもう飽き飽きです。
    この本のヒロインのような専業主婦は私の周りにはいないし、表面的に見ただけで専業の決めつけもキライです。
    子供の受験のためにお休みして手が離れたら医師に復帰するつもりの専業主婦や大学院に通う専業主婦、実家の会社経営を手伝っている人もいます。
    ヒロインの詩穂は人を思いやれる素敵な人だけどいい人すぎるかも。
    もっと多様な生き方ができるといいなと思います。

全42件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』(「ゴボウ潔子の猫魂」を改題)でメディアファクトリーが主催する第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、作家ビュー。13年、『駅物語』が大ヒットに。15年、『海に降る』が連続ドラマ化された。現代の働く女性、子育て中の女性たちの支持をうける。主な作品に『賢者の石、売ります』『超聴覚者 七川小春 真実への潜入』『真壁家の相続』『わたし、定時で帰ります。』など。

「2019年 『くらやみガールズトーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

対岸の家事のその他の作品

対岸の家事 Kindle版 対岸の家事 朱野帰子

朱野帰子の作品

対岸の家事を本棚に登録しているひと

ツイートする