青い春を数えて

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  • 講談社 (2018年8月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (194ページ) / ISBN・EAN: 9784065122105

作品紹介・あらすじ

青春期。部活に進路、友情や恋愛、親への反抗――。数えても数えきれない複雑な思いを、葛藤を抱え、少女たちは大人になっていく。「響け! ユーフォニアム」シリーズ著者、待望の最新刊! “青春”の一言では片づけられない、切実でリアルな思いの数々を、5人の女子高生の視点で描いた珠玉の連作短編集。


青春期。
数えても数えきれない複雑な思い、葛藤を抱え、少女たちは大人になっていく――。

「白線と一歩」……一番の親友だけど、負けたくない。あの子には。
「赤点と二万」……ズルいと思われたくない。でも損もしたくない。
「側転と三夏」……私は空っぽなんかじゃない。もっと私を見て!
「作戦と四角」……私って、人からどんな風にみられてるんだろう?
「漠然と五体」……はみ出したくない。でも、たまに息がつまりそうになる。


――この作品に出てくる誰もが自分だった。(高校生・女子)
――誰にも言えなくて張り裂けそうになる、そんな気持ちを詰め込んだ本。(高校生・女子)
現役高校生からの共感の声、続々!!

この痛みは、感情は、“青春”の一言で片づけられない!!
「響け! ユーフォニアム」シリーズ著者、待望の最新刊!
切実でリアルな思いの数々を、5人の女子高生の視点から描いた連作集。

感想・レビュー・書評

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  • 高校生のうちに読みたいなぁと思っていた本のひとつだったので読めて良かった´`*


    どのストーリも主人公が暗めというかネガティブで、友だちと比べては「じゃあ自分の良さってなんだろう」という思考に至る傾向にある。
    話が若干暗めであるので、感情移入しやすい方は気分が暗いときに読むのはおすすめしないです笑 病みがちになるので笑(経験済み)
    しかし、どの話も希望が見えるような、ほんのり明るい終わり方になっているのが特徴!


    ぶっちゃけると、本書に「清水千明」が出てこなければ評価を星3にしていた。というのも、主人公は皆、周囲と比べては落ち込み…みないな感じであるので、そのネガティブさにつられて腹の底から沸き上がるような劣等感を感じたのも事実。(笑)まるで自分を見ているかのようで。
    ある話では主人公の子が、別の話では脇役(主人公の友だちだったり)で登場するのだが、あれだけ悩んでいた主人公も、別の視点から見れば上手くいっているように見えるのだなぁと…「隣の芝生は青く見える」という言葉が真っ先に思い浮かんだ。
    結局、人生はないものねだりなのだと割り切ったもの勝ちだと悟った。人と比べても意味が無い!!だが割り切れないからこんなに辛いのだ!!!



    話を清水千明に戻すと、自分は紛れもなく主人公側の思考の人間なので、彼女のような生き方、いいなぁと思った。ちょうど自分を変えたいと思っていたので清水さんの考えは参考になった。
    私の本書での1番のお気に入り、「漠然と五体」。
    この話だけ他の話とは明らかに違うものを感じる。
    波が迫っては引いてを繰り返すかのような、どんな終わり方をするのか、終わりが近づくほど怖さを覚える、けど目が離せない…そんな話。(我ながら分かりにくい表現ですね笑)
    海のシーンや、長時間見知らぬ駅をただ過ぎてくシーンは、私もこんな経験してみたい!と思った。
    真の青春というものに触れた気がする。

    青い春を数えて。
    学生さんや気になっている方には是非読んで欲しいです(´ ˘ `๑)♡
    何を感じるかは人によりけりだけど、何かしら感じるものはあるはず!




    【オマケ】
    そして話中にあの宮沢賢治氏著の「銀河鉄道の夜」が登場する。名作で、以前から気になっていた本なのでこれを機に読んでみるのもいいかもしれない。と思った。

  • とある作品にでてきたのですが、作者同じなのですね
    扱われる第1話は、まぁまぁでしたが、そのまんまな内容
    タイトル通りのいわゆる青春小説そのものですが、世代の違いかあまり共感できませんでした

    進学校で部活に熱心な生徒が見下されるのは、分かる気がします
    新聞やテレビに作為を感じるのならば、ネットニュースにだって・・・
    そもそもそのソースをかいているのだって、リアルメディアですし

  • THE青春!
    悩みなどリアルに書かれていた

  • 登場人物が同い年だったこともあり、共感できるところが多い本でした。自分が嫌になったり、不安になったり、心の中で渦巻くもどかしい気持ちが巧みに表現されていました。
    p178『自分の容姿に自信を持ち、自分を支配しようとする不合理なルールを全て蹴散らして生きていく。他人にしかれたレーツを無視して、自分の足だけで道を作る。私はそんな人間になりたかった。そして、自分がそうなれないことも知っていた。』
    本に出てくるある一人の言葉です。まさに私の気持ちを代弁してくれているようだと思いました。他人が作った常識、規則に支配されてそれに少しでもはみ出ないように。いい人でいなければいけないという気持ちがどこかで私を抑圧している。自由を謳歌している人間を羨ましいと思っているとともに、自分を変える勇気はないのです。
    こんなもどかしく、複雑な気持ちが表現されている本は今までありませんでした。高校生はもちろん、高校生の脆く繊細な心に触れたい人におすすめしたい1冊です。

  • たまに感じることや、たまに思うことは、自分にとって切実なこと。
    切実だから忘れずにたまに何度も思い返すように思った。
    自分にとってはたったじゃない、他人にとってはたったのことと似ている気もする。
    好きなことを、大切にしてることを、好きという当たり前のことがたまにとてつもなくむずかしく感じる。
    長谷部君の自分の軸が揺れている感じが好きだった。一回だけ一人称が俺に変わる瞬間もよかった。

  • 苦しいくらいに青春だなぁ。大人になっちゃうと、ほんとモラトリアムよねって一歩引いて見ちゃうけど、そこにどっぷりつかってたよな、かつての私も。だから、私の中の深いところに埋もれた私がめちゃくちゃ共感してる。部活に勉強に友人関係、恋愛、親、教師との関係にモヤモヤしながら、逃げる勇気も持てずにルールに従ってたつまらない私が、自由に行動できる人、愛される人をものすごく羨んでる。ちょっと苦しくなるけど、青春の爽やかな香りも感じられる本だった。

  • どのエピソードも印象的で、高校生のリアルな不安定さをうまく描いていた。共感の連続。高校生の頃の気持ちを忘れないよう、また読み返したい。

  • この作品の良さは、青春→恋愛ではなく、若者であるが故の生きづらさ、葛藤、複雑な感情を鮮明に描き出していること。
    年を取るにつれて環境に順応していくわけだが、それを成長と言うべきか、はたまた若い感性を失っていくことなのか。
    読んでいてて、胸が少し苦しくなった。

  • 【白線と一歩】
    仲がいい友達だからこそ、いつも近くにいる友達だからこそ、自分と比べて劣等感を抱いてしまったり、キツく当たってしまうことがあるものだ。だが、優しさや愛想ばかり振りまいてみんなに好かれようとするよりは、こうしてぶつかり合ってともに成長していける関係の方がいいと私は思う。

    【赤点と二万】
    『きっと、ずるくたっていいのだ。誰かに嫉妬してばかりの惨めなところも、自分を好きになれない情けないところも、その全てをひっくるめて、私という人間は存在している。生きるって、きっとそういうことだ。嫌な自分を抱きしめて、二人三脚で明日を目指す。』
    時に自分を嫌いになってしまったり、自分を卑下してしまうときもあるが、そんな自分と二人三脚で明日を目指す、というこの表現が気に入った。

    【側転と三夏】
    なんでもできる私よりいつも失敗ばかりの姉がみんなから愛されるのはなぜ??という妹のもどかしい感情を描いたお話。
    淋しさを感じていた妹だったが、ずっと近くにいてくれた姉が1番自分のことを理解し、愛してくれていたことに気づき、自分にも、苦しいときや淋しいときにもいつもそばにいてくれる存在を再確認できた。

    【作戦と四角】
    性別なんてなければいいと思う主人公の気持ちに共感した。性別があるからこの世には未だに性差別や男女格差が蔓延っているわけで、性別などなければ私達はもっと親しくなれたり、苦しみをなくすことだってできると思う。

    【漠然と五体】
    優等生の自分が嫌いな女の子のお話。学校に休みがちになった彼女は、本当に追い詰められていたのだと思う。自分にはまだ、学校を休める勇気がないから。

  • 自分の考えが他の人と違っていて突飛な物に感じてしまい、成りたい自分と周りから見た自分の間で葛藤する物語

    自分も若い頃はもちろんそうだったけど
    年を取ってもあまり、変わってないなと思った

  • アニメがやってるのでせっかくやしと思て。

    5話からなる短編。
    白線と一歩、赤点と二万、側転と三夏、作戦と四角、漠然と五体からなる話で、それぞれ登場人物が少しずつズレて被ってる感じ。同じ世界の、同じ時系列で生きてる人達の、違う視点から話が進んでる、みたいな。

    最初は放送部の話、コンテストとか、先輩後輩友達問題とか、ものすごい青春感。他人と比較するしんどさだったり、それに伴う劣等感だったり、でも実は恐れだったり。アニメにも出てた、「でも、伝えようとしなきゃ、なんにも始まらないんだよ」はここ。

    赤点と二万は、なんていうか、ずるいがテーマみたいな?違うか、直進と遠回り、みたいな。必要な勉強しかせず、部活も不要と割り切ることがほんとに直進なのか、みたいな感じかな。合理的な生き方の、息苦しさみたいな話かなって思ふ。

    側転と三夏は、姉妹の話。この姉妹間の劣等感とか、身近にいる人だからこそ生まれるコンプレックスとか、解決策がない感じまで、めちゃくちゃ共感出来てしまう…これはあかんのよね、読んでて少し苦しくなるんよ。

    作戦と四角は、固定概念?の話みたいな?性別に縛られたくない子の視点で、男だから女だから、とか、女子力高いとか、制服とか、縛られることが嫌。自分が嫌であることと、他人からの目と、気にしてるようで気にしてなくて、生きづらそうだな〜って思うんだけど、言ってることはすんごい分かるんよね〜。

    漠然と五体は、表紙の話。学校を奇しくもズル休みしてしまった2人の女子。話したことない2人の、たった一日の逃避行みたいな。死にたいって思うこともあるけど、別に特別なトラウマとかあるわけでもなく、ただ漠然とってのが凄い共感味ある。
    この話の↓
    「一緒に死ぬ?」
    「そういうの、やめて」「冗談だよね?」
    「当たり前じゃん。ジョークだよ、ジョーク」
    「そ、そういう冗談はどうかと思うけど」
    「冗談にしたのは細谷だけどね」

    この一連の流れが個人的に刺さったよね。こんな会話術、すごすぎるんじゃ〜。

    全体的に、
    将来に不安を抱えてたり、悩んでたり、他人や自分と比較したり戦ったりで落ち込んだり……そういうThe青春!みたいな漠然とした思いの、それぞれの向き合い方の話で、思ってる以上にスラスラ読めましたんฅ(*‎´꒳`*ฅ‪)ꪆ‬

  • 放送部を描いたアニメ『花は咲く、修羅の如く』の課題図書のひとつが本書で、アニメの主人公が朗読に選んだこともあって気になって読んだ。作者が同じとは知らなかった。

    興味を持ったきっかけがアニメなので、放送部を描いた「白線と一歩」が1番印象に残った。

    「漠然と五体」も、なかなか印象的。高校生の頃の純真さと生きていく事への不安、仮面、面倒さ、いろんな感情が混ざり合った2人のやりとりは、遙か昔に過ぎ去った青春の頃に思いをはせることができる。

    大人になって随分たった今は、本書のどの話のどの高校生にも、ある種の面倒くささが感じられた。中高生の頃に読んだなら、きっとずいぶんと違った印象を持っただろう。

  • 痛い程青春。短編の主人公達が別の話の脇役で、そこが現実的だと思った。

  • 女子高生たちの話。情景が目に浮かぶようで、楽しかった。
    これをエモいと呼ぶのだろう…

    どの話のどの子にもうっすら共感。特に知咲ちゃんの、優しい人のイメージにはうんうんと頷いた。
    「相手に合わせて自分の意見を胸中で握り潰してしまえば、みんなが私のことをいい人だと評価する」

    全体を通して、自分の意見をちゃんと持つこと、伝えることって相手と深い関係を築くのにとても大切だなと思った。
    やっぱ、大切はうすっぺらい気持ちじゃダメなんだと思う

  •  1〜5章までの中で時系列を同じくする登場人物たちの高校生活をリアルに描かれていた。

     結論から言うと、1・3章の話が気に入りました。というのも2・4・5章に登場する人物は悩みを抱えていても、とても前向きで卑屈さを全く感じなかったのに対して、1・3章では自分と他人との希薄な関係性さや劣等感、そしてなにより自分の中で物事を卑屈な方へ考え進めていってしまう姿に強い共感を感じたためです。

     現在一人では抱え込みきれない悩みを持った学生や、過去の苦い思い出に何度もうつむきそうな方には、是非呼んで欲しい作品だと感じました。

  • 自分の悩みがすべて解決さられるような感じがした

  • 「白線と一歩」「赤点と二万」「側転と三夏」「作戦と四角」「漠然と五体」の5篇からなる中篇集。
    「白線と一歩」。
    山月記と同じ構造。
    「才能の不足を暴露するかもしれないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰が己の凡てだったのだ」
    しかし。主人公の気持ちが胸に伝わり、すごくよい一篇だった。女子高校生の気持ちを掬い上げる、として評価されているようだが、50代男性であっても、同じく心に迫るものを感じた。単に私が成熟していないということなのかもしれないが。
    今見返しても恥ずかしいが、高校の卒業アルバムのメッセージ欄には上記山月記の抜粋に、余計なことを付け加えていて…

    「赤点と二万」
    ちょっと無理ある設定。
    本書とは関係ないけど、大学の推薦入学制度。やめた方がいいんじゃないかな。とは思う。
    一般入試で入学した学生と比べ、一般入試で試される種類の学力は、全体として相当低い傾向にあるような気がする。それは、推薦で入学した人にとっても、あんまりいいことではないのではないかと。

    「漠然と五体」
    細谷と清水の物語。
    そこそこ勉強のできる細谷。綺麗で学校から逸脱気味の清水。
    作者は細谷に対して、「地元の公立大学」「公務員」志望、だけど「優等生」と微妙な線をついて役作りをする。
    逸脱できない、突き抜けられない「優等生」の鬱屈に、外側から、ひととき手を差し伸べてくれる清水。
    しかし、それは、やはりひとときのことであるからこそ、細谷はその手にすがることができて、ひととき、息を抜く。
    現実には、頭の中で繰り広げる「妄想」を、物語にした一篇。

    文中に「私は新聞なんか読まないし、テレビも見ない。(中略)作り手の作為ばかり鼻につくから。」とあるが、本格的に大手メディアは、多くの人から見放されつつあるのではないか、と改めて感じた。

    装丁に、青空の下、波打ち際でたわむれる女子高校生が描かれているが、作中では、夕暮れ時、日が沈んだ直後の設定だったはず。どうでもいいことなのかもしれないけど、イメージ違うかな。加えて、細谷と清水の容姿にももう少し落差を描きこむべきではないかと。

  • 短編集。思春期特有の様々な悩みを抱える少女たちの物語。YA世代に。

  • とても良かった。
    塾の大学生の先生とお姉さんが同一人物だったのは驚いた。
    自分自身高校生なので、共感できる部分が多かった。

  • 「漠然と五体」が最高。
    『こういう読みたかった!』に出会えて、するするページをめくっていった。
    jk2人、学校サボって冬の海。たまらん。

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著者プロフィール

1992年京都府生まれ。第8回日本ラブストーリー大賞最終候補作に選ばれた『今日、きみと息をする。』が2013年に出版されデビュー。『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』がテレビアニメ化され話題に。同シリーズは映画化、コミカライズなどもされ人気を博している。2020年に『愛されなくても別に』が第37回織田作之助賞の候補に、また2001年には同作で第42回吉川英治文学新人賞を受賞。その他の著作に、「君と漕ぐ」シリーズ、『石黒くんに春は来ない』『青い春を数えて』『その日、朱音は空を飛んだ』『どうぞ愛をお叫びください』『世界が青くなったら』『嘘つきなふたり』などがある。

「2023年 『愛されなくても別に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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