ガール・イン・ザ・ダーク 少女のためのゴシック文学館

著者 :
制作 : 高原 英理 
  • 講談社
3.58
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本棚登録 : 262
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065122662

作品紹介・あらすじ

作家・評論家としてゴシック文学を専門とする著者が、古今東西の文学作品の中から、小説、詩、日記などジャンルを超えて「ゴシックと少女」をモチーフに編む傑作アンソロジー。可憐にして野蛮、耽美で残酷。少女の自由で不穏な欲望が鈍麻した社会を鮮やかに切り裂く、美しくも危険な文学世界へようこそ。

感想・レビュー・書評

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  • モーリーン・F・マクヒューの「獣」は父娘が異形の獣に出会うってのが、何かよからぬものの暗喩ぽくて・・・うん・・・。
    立原えりか先生の「トゲのある花束」好きです。こういう毒草園の女主人とお近づきになりたい。
    川口晴美先生の「サイゴノ空」タイトル通り、少女の最期の空は。
    皆川博子先生の「想ひ出すなよ」再読。こじらせ文学少女の闇。
    保富康午の「ふしぎなマリー」大きな古時計の訳詞の方ですよね??これは聞いたことないな~~でもまどマギイメージはなんか分かる。
    江戸川乱歩の「魔法人形」の冒頭部の良さ、分かる・・・。乱歩はこういう読者を誘い込む手法が上手い。
    佐川ちかの「緑の焔」ここは誰?あなたは何?わたしはどこ?
    ここでも川端の「不死」発見。やっぱりみんなこれ好きなんだな・・・分かるよ・・・。オタクはみんな川端のこの空気感が好き・・・。
    夢野久作の「青ネクタイ」狂人の独白・・・哄笑・・・これぞ夢Qワールド・・・。
    『うたう百物語』も再読。いいよね~~これも。
    スティーブン・ミルハウザーの「夜の姉妹団」海外にもこういう・・・学生の年頃の女の子の・・・みたいな文化あるんだな・・・。
    深沢レナ先生の「枯れ野原」追いかけてくるものは、果たして。
    小川洋子先生の「美少女コンテスト」久々に小川先生作品読んだな~~そうそう、こういう絶妙なブラックさだったな・・・。
    松野志保先生の「モイラの裔」(抄)う~~んゴスい。短歌でこれはすげえな。
    松田青子先生の「ひなちゃん」エッ好き・・・。ほのぼの甘々イチャラブ幽霊×社会人百合。
    最果タヒ先生の「夢やうつつ」これも再読。冒頭の台詞がやっぱり刺さるな。
    編者の表題作はゴシックていうかダーク。
    シルヴィア・プラスの「嵐が丘」ゴスゴスのゴス。
    二階堂奥歯の「八本脚の蝶」やっぱり1冊まるまる読みたいな~~!!
    田辺青蛙先生の「血錆」三原ミツカズ先生作画で読みたさある。好きです。
    ここでも西條八十の「トミノの地獄」が。やっぱみんなコレ好きなのね・・・分かるよ・・・。
    谷崎由依先生の「満ちる部屋」成熟した女なのか、大人びた少女か。
    中村苑子の「水妖詞館」(抄)ホラーってか怪談ぽい短歌。
    藤野可織先生の「ファイナルガール」アレッ面白いな・・・。もしかしたら藤野先生作品で一番好きかもしれん。

  • 文学

  • シルヴィア・プラスが入ってる!と手に取った一冊。
    そういえば十代の頃は、ダークな自分の気持ちと、現実世界のギャップを、こういう本を 読んで折り合いをつけていたような気がする。 そんなことを思い出しました。

  • 現なの少女ただ居て恐ろしき
    (中村苑子『水妖詞館』)

    高原英理さんの著作は私をゴシックな世界に拐かしてくれた聖典みたいなものなので、今回のアンソロジーも信頼できます。同系統のゴシックアンソロジー、『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』は個人的には大当たりでした。そちらに比べると今回のアンソロジーはポップなお話が多かったかな? でも、「可憐にして野蛮、耽美で残酷」な情緒はどの作品にもひっそりと、時には苛烈に含まれて大満足でございました。
    やっぱり『獣』や『夜の姉妹団』が圧倒的に面白いなぁ。乱歩の『魔法人形』も、「そこで終わらせるのかぁ」と納得してしまう。『モイラの裔』や『水妖詞館』等々のゴスな短歌はずっと読みたくてもなかなか手に入れることが出来なかったゆえ、すごくありがたかったです(笑)。

    現実を厭う「少女」になりたい時、抗い難く美しい最期を求める時、私は再びこの本を繙くでしょう。きっと。

  • サイゴノ空『わけのわからない世界で生きていかなくちゃならなくさせて/あとで埋め合わせるように世話をしてくれました』

  • 「獣」「ひなちゃん」「ファイナルガール」あたりがお気に入り。

  • 少女とゴシックを題材にした作品を集めた本書。集められた作品は多岐にわたり読んでいて飽きなかった。出てくる少女たちは可憐で、野蛮で残酷でなのに美しく……。存在感があるのに、朧気で儚い。そんな矛盾を孕んだ世界にドキドキする。 「暗黒女子」読了以来、少し遠ざかっていたジャンルの作品。久しぶりに読むと、やはりこの世界観はいい。耽美で少し背徳的。 何人か私好みの作者さんがいたので今後続けて何作か読んでみたい。

  • [p. 187 以降]

    読了。いま手に取って、いま読んだということが、自分にとっては意味のある本だった。本との出会いには、運命的な何かがあると信じ込めるぐらいには、今の自分の奥深いところに触れる本だったように思う。少し時が移れば、表層しか楽しむことができなかったのではないかと思ってしまった。それぐらい、今の自分にとって大きな出会いだった。

    二階堂奥歯「八本脚の蝶(抄)」。「女の子」と「少女」と「女」との対比が、まさにそれと思わされる。不意に吉野朔実さんの作品群を思い出し、その不在に心がちりちりと痛む。奥歯さんも吉野さんももういらっしゃらない世界。奥歯さんの記述には、リアルタイムで当然のことのように惹かれていたが、その分、痛みを受けとめるだけの余裕がなくなったときに、近づくのを敢えて避ける対象ともなった。時をおいてまたこうして出会うことになる。不思議なことのようでもあり、やはり当然のことのようにも思う。

    谷崎由依「満ちる部屋」。言葉の重なり方が、近い、と思う。けれども、わたしなどの辿り着くそこからは手が届かない遠いところへ、遠いところへと、ひゅっと飛ばされて行ってしまう。どんどん遠くへ飛んで行ってしまう。けれども、そこも見知らぬところではない。自身の深いところに持ち続けている煮こごりが言葉というものに昇華するのであれば、きっとこんなふうなのだと思う。思わされる。

    --

    [pp. 150-186]

    最果タヒ「夢やうつつ」。たぶんこれは怖い話なのだろう。気持ちの悪い想いの詰まった話なのだろう。けれどもたぶんそれはわたしの後ろにいる。ひたひたひたと、わたしを食い尽くしそうな想い。

    --

    [pp. 102-149]

    スティーヴン・ミルハウザー「夜の姉妹団」(柴田元幸訳)。久しぶりに読み返した。そして、やはり、柴田さん訳によるこうしたミルハウザー世界が、いつまでもわたしを魅了し続けることを再確認する。少女だった過去をもつわたしは、けれども、すでに姉妹団に入ることは叶わない、外側の人間なのだと痛感する。初読のときには感じなかった疎外感。少女たちのもつそれは、すでにわたしにとっても夢想でしかないのだ。

    深沢レナ「枯れ野原」。見開き 2 ページの掌編。肯定と否定の繰り返しも、読点を省略した繰り返しのある文章の羅列も、とても好み。そこに乗っている物語もうんうんと頷いてしまう率直さをまとっているように見えて、すごく好き。

    --

    [pp. 57-101]

    佐藤弓生「うたう百物語(抄)」。物語を孕む印象深い文章のあとに、その文章が書かれるもととなったのだろう、短歌が現れる。ここでとりあげられているのは 3 首のみ。あらためてタイトルを確認して、なるほど、百物語の一部なのだと知る。首飾りについてうたわれている飯田有子さんの歌が、鮮やかすぎて、殊に心に残る。

    --

    [p. 56 まで]

    川口晴美「サイゴノ空」。初っ端の、色を感知する/しないというくだりからもう引き込まれて、やがて、語り手は殺される/殺された少女だったことが判明する。けれども、少しずつズレながら語られていくそれからは、語り手が本当はどこにいるのかどれだけの生を生きたのか、あやふやになっていく。ひとつひとつの細かなエピソードが、まるで自分の来し方のように読めてしまう。まるで、そこにいて殺されたのが自分自身だったかのように錯覚しながら、ひとつひとつの言葉を追ってしまう。そうだ、わたしは殺されてきたのだと、ひとつひとつのエピソードを辿りながら確認していく。それは、語られることの強さであり、かつ、言葉の選択による強さでもあるだろう。読み終えて現実にいる自分を発見して、まだ生きなければならないのだと、不意に思う。いま読めたことがすごいと思った。この方の文章をもう少し読んでみたい。

  • 詩から短編のアンソロジー、ゴシックなものを編者兼著者が集めたので、好みの合う人にはオススメ。
    江戸川乱歩とかも入ってる。

    個人的には「ひなちゃん」「ファイナルガール」が好きかなぁ。
    退廃的な感じなものが多いかも。

  • 【おやすみ】
    可憐にして野蛮、耽美で残酷。
    少女の自由で不穏な欲望が
    鈍磨した社会を鮮やかに切り裂く。

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

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著者プロフィール

高原英理(たかはら・えいり):1959年生。小説家・文芸評論家。立教大学文学部卒業、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。85年、第1回幻想文学新人賞を受賞。96年、第39回群像新人文学賞評論部門優秀作を受賞。編纂書に『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』『ファイン/ キュート 素敵かわいい作品選』、著書に『 ゴシックスピリット』『少女領域』『高原英理恐怖譚集成』『エイリア綺譚集』『観念結晶大系』『日々のきのこ』ほか多数。

「2022年 『ゴシックハート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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