ブルーピリオド(3) (アフタヌーンKC)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2182
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065123362

作品紹介・あらすじ

成績優秀、世渡り上手なリア充高校男子が絵を描く喜びに目覚め、美大を目指す!受験を目前に控えヒリヒリとした日々を送る八虎は、美大予備校でより受験に実践的な課題を取り組み始める。“対応力”が足りないことを知った八虎は突破口を見つけるため、あることに挑戦するが…!? 各界で話題騒然のアート系スポ根漫画、第3巻!

感想・レビュー・書評

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  • 藝大合格を目指す、「矢口八虎(やとら)」は、予備校において、これまで好成績だったが、冬休みを間近に控える時期になり、一つの壁にぶつかることになる。

    それは、イメージ課題という、対応力を必要とするものであり、これまでは目に見えるモチーフを基に、構図を考えて技術を磨いてきた、八虎にとって、見ないと描けないという事実が、ここに来て、明るみに出たのである。

    しかし、最初から読んでいる人にとっては、「なぜ?」と思うかもしれない。そう、最初に描いた、渋谷の街の青い絵を、思い出せばいいじゃないかと。ただ彼の場合、見た目に反して不器用な一面があるせいか、自分の伝えたいこと(言いたいこと)を素直に引き出すというより、課題という文字を意識し過ぎて、身に付けた技術だけで何とかしようとしており、まるで試験対策だけをやっているようにも見えてくるが、彼は彼なりの努力をして、なんとか光を見出そうとしており、こうしたシーンを見ていると、いかにも青春という言葉が頭を過り、爽やかな印象を抱かせるが、それだけで解決出来るほど、藝大は甘くないらしい。

    そんな悩みに苦しむ八虎だったが、そこは、高校の美術部の佐伯先生の言葉や、森先輩の作品によって、自ら考えて、そして、ついに答えを見つけ出した!

    更に、その過程は読んでいて、彼という人間が、作品中にはっきりと表れたように思われて、とても納得させられる感動があり、これでもう大丈夫かと思いきや、実はこの後、また新たな壁が立ちはだかることに。でも、こういう一筋縄でいかない展開、いいですね。


    この作品における、藝大の入学試験は、毎年違う課題が出される為、必要とされるのは運だそうだが、上記したイメージ課題にしろ、それにどう反応し、どう対応するかというのは、画家特有の、自分の描きたいものだけを描くというより、その人自身が、その課題に対して、いかにその人の顔を見せられるのか、ということではないかと感じ、そうして、人それぞれの顔が違うように、人それぞれで作品も違ってくるけれど、見れば、ああ、この人の作品だというのが分かるかもしれない点に、私は、より人間性が問われているように感じられて、それであるのならば、強ち、試験の主旨は間違っていないのではと思うとともに、過去問の傾向を知るだけではない、藝大の試験は大変だなということも痛感させられて、そんな状況における、彼らの葛藤だからこそ、物語が面白く感じるのだろうなと思いました。

    そうした思いで、改めて表紙を見ると、これまでで一番の素顔を見せてくれた、世田介くんの鬼気迫る表情も納得です。

  • シリーズ、第三弾。
    絵を描く楽しさを知り、美大を目指す事となった高校生・矢口 八虎。
    美大受験を前にして、様々な難関の壁にぶち当たる。果たして、矢口はどうなる?
    アート系スポ根物語。

  • お互いに嫌いあえる関係
    自分にない力を持ってる相手に対しての嫉妬丸出しでバチバチした関係
    いいなぁ

  • 泣けた…。

    なんなん…コレ…

    美大関連ミリしら人間からすると美大出身?美術系?の人たちは個性が強いと思っていました。我が強いとか。

    違いますね。
    表現のために永遠と延々と分析し続けているんですね。自己にしろ他己にしろ目の前の景色にしろ想像力の世界にしろ。
    一般の人が就職活動のために付け焼き刃で自己分析するのとは違いますね。
    ずっと、目の前の絵と自分で対峙し対話し描いてきた。
    だから、自分があるんですね。

    そうなのかー。知らなかった世界だ。おもしろ

  • スポ根というか、若い時の「クリエティブを生業とする」側に立とうとする時の、覚悟のヒリヒリが蘇ってきて正気じゃいられない。中年となって諦めたわたしにはあまりにも胸に刺さりすぎる。

  • いや〜おもしろいね…。
    個人的にあの「焼き回し」のくだりにウッてなった。わかる…わかるよ…。うまくいった経験をもとに自分の一番良くできたものを再現しようとしちゃうんだよね…。
    森先輩の絵を見て「あ!」と気付くシーンが好きです。あとはよたすけくんにドン引きされてるシーンとか。

  • 藝大受験スポ根マンガは、今回もものつくりをしたことある人や芸術系の学校に纏わったことのある人にぶっ刺さりまくる内容だった。

    1.自分の頭の中にあるものは最高にカッコいいのに、絵や文でアウトプットする度にそれが劣化していく感覚が分かりすぎてつらい。

    2.芸術に失敗はない。まずそれを忘れがちだし、分かってからも作り始めるのは怖くて、作り終えても怖い。

    3.凡人が天才に意識される、ある種の倒錯的な喜び。

    ピックアップするだけでも濃い要素が1冊に凝縮されててお腹いっぱい。あと、作中の作品としての絵の力がすごい。

  • あー。もう最高!

  • 描くのが楽しいからだけじゃなく、モヤモヤになったり絵を描くって深くて正解がないから魅力的。

  • 背ラベル:726.1-ヤ-3

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著者プロフィール

東京都出身。東京藝術大学卒業後、2014年に月刊アフタヌーンの新人賞「四季賞」で受賞を果たし、増刊good!アフタヌーン2015年5号にて読み切り『ヌードモデル』でデビュー。2016年にアニメーション監督・新海誠氏の作品『彼女と彼女の猫』のコミカライズで初連載。『ブルーピリオド』は月刊アフタヌーン2017年8月号から連載開始。第1巻発売から注目を集め、 「マンガ大賞2019」第3位、「このマンガがすごい! 2019」(宝島社)オトコ編第4位、「みんなが喜ぶTSUTAYAコミック大賞2018ネクストブレイク部門」大賞、第2回「マンガ新聞大賞」第3位、「マンガ大賞2020」第1位、講談社漫画賞総合部門を受賞。電球が大好きでアクセサリーなど種々収集中。


「2021年 『ブルーピリオド(11)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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