- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065123638
作品紹介・あらすじ
「権力の暴走を許してはいけない」
すべてが実話。迫力と感動の法廷ドキュメント
罪を犯したかもしれない人物の車に警察が勝手にGPSを取り付け、ひたすら行動を把握する行為を繰り返していた――。令状なき捜査は許されるのか。警察が、一般市民の行動確認を行う危険性はないのか。
2017年に「令状なきGPS捜査は違法」の判決を初めて勝ち取った弁護団。その弁護団を率いた女性弁護士の奮闘とチームの苦悩・活躍を描く。
感想・レビュー・書評
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本人著なのに何故か第三者視点で書かれてて、その文体が気に食わず、かつ、前半の大学生がだべってるような締まりのない文章に嫌気がさし、本を閉じようと思った。しかし、後半まで飛ばし読みをして、展開が変わってからは、とても興味深く読めた。
この判例や弁論は刑事捜査だけでなく、プライバシーを軽視する昨今のテック業界にも適用できるだろう、極めて重要かつ汎用な文言を含んでると思う。
本のタイトルからは全く想像できなかったが、読んで良かった本。大法廷のシーンは著者らが感じたありのままが書かれてて、それまでの飾り気のない口語調の文体から感じる"そのまま"感が、逆に大法廷の神秘性みたいなのを強調してて、こちらも震えた。文体のカジュアルさも読み終えた後なら、むしろ堅苦しくなく、広い読者層を掴むための手かもしれないとさえ思える。映画化とかされたら弁護士人気さらに増えそう。。 -
警察のGPS捜査の違法性を問うたノンフィクションです。小説タッチですが、講談社現代新書から発売されています。
法廷物のミステリーを読んでいるかのようで最後までページをめくる手を止めることができませんでした。そして最高裁大法廷での弁論までたどり着くドキドキするドキュメンタリーです。刑事弁護の流れも詳細によく分かります。
また、刑事弁護は、被告人のみならず国民の自由を守る砦であること、手弁当でやらざるを得ないことがわかりました。 -
刑事事件裁判のリアルな実態を描きながら全く飽きさせない。
舞台は「裁判所」、主人公たちは「社会正義を心に秘めた弁護士」で相手の悪役は「警察・検察」。
展開には「スリル、サスペンス、スピード」があり、最後の大団円に「大舞台での大見得」まであるとあっては、まるで推理小説かドラマのようだ。
この事件の裁判結果は、当然マスコミにも大きく取り上げられていた。しかし、その内容がこの様な経過を経たものだったとはと、あらためて瞠目した。
本裁判の経過はドラマにしても充分面白い。ただ配役上悪役となるのが「警察・検察」である以上、昨今の情勢下では難しいとも思った。
本書を絶賛したい。 -
全てが実話。迫力と感動の法廷ドキュメント
のキャッチのとおり、いやそれ以上です。
へたな法定物の小説が霞んでしまうくらい、わかりやすくおなかつ感動します。
なんたって、最高裁大法廷ですよ。
大法廷のすごさは本書を読めばわかります。
圧巻は大法廷での弁論部分。緊迫感が違います。
また、この本は亀石さんの人柄・考えが強く主張されている本だと感じました。結婚に至るエピソードもすごいし、人を巻き込む力もすごいです。
これを読めば、彼女が選挙に出る理由もよくわかります。
亀石さんたちにとってラッキーだったのは、被告が警察のやり方に納得せず、最高裁まで上告させてくれたこと。それ以外は弁護団の努力と実力だとわかりました。
司法を志す人にも、一般の人にも読んで、感じてほしい本です。でももっと普及させるにはドラマ化・映画化かもしれません。 -
刑事弁護の一般的な話かと思いきや、窃盗事件が最高裁大法廷にまで発展するとは予測せず、興味深くどんどん読めた。
若手弁護士の心中描写も多かったことから、友達の友達の話を聞いているような感覚で、ぐいぐい引き込まれた。
最高裁がまっとうな判断をしてくれたことに、安堵。 -
あまり普段法律系の本は読む機会がないのでが、この本は読んで良かったなと感じた。犯人目線から始まるストーリーの序盤。先にどんな事件のことに関して展開されていくのかがわかって読みやすい。中盤は著者の裁判に臨む準備の話などがあって少し緩むが、終盤にかけて一気に展開が白熱する。最後は本当に一気に読み切った感じがした。
なぜ被疑者(犯人)の弁護をするのか。この問いが出てくるが、著者の説明がとてもわかりやすかった。「「罪を犯すヤツの権利など守らなくていい」という考え方は、いずれ、罪を犯していない人間の権利さえも守られない社会を受け入れることになる」
最後の場面は最高裁での弁論だが、ここがまたかっこいい。プレゼンという意味ではビジネスマンも参考にするべき点があった。 -
選挙前の出版だったし「亀石さんすごいぞ!!」という賛美本かと思いきや、
「令状なきGPS捜査は違法」最高裁判決を得るまでの過程がとてもおもしろかったです!!
とくに控訴審判決後~最高裁あたりが。。
後藤先生のアドバイスもらったり。
裁判所の塩対応も「ありそう・・・」っていうかんじで。
裁判所からは見えない、弁護人の考え・活動・苦労がうかがい知れる気になります。 -
文章は上手くないが、事件から最高裁に至るまでの弁護団奮闘劇として面白い。法律は決して完璧ではない規律、それを少しずつでもいい、人権を守るためによりよい規範をつくろう、それが法治国家としてあるべき姿なのだと感じる。
勝手に閣議決定で解釈を変えると公言する現在の腐敗した政権を誰が裁くのか、三権分立も怪しいこの国の主権は間違いなく国民一人ひとりである。無関心は同罪。 -
ニュースを通じて抱いていた亀石先生の印象は、発想が柔軟なストーリーテラー。最高裁案件・無罪事件を多数扱い、メディアを味方につける目立つ刑事弁護人。そんな彼女も、最高裁大法廷は夢舞台だと思い、自己の主張に不安に感じ、依頼人のために思い悩む弁護士なのだ、と身近に感じられる本。 3月15日は司法試験勉強中に待ち遠しかった日。タトゥー事件ではクラウドファンディングという発想に驚いた。これら目立つ事件も、日々の事件に真面目に向き合う中で出会うものなのだ。そしてそれをどう見せるか、そこにこそ、彼女の力量が表れている。