文系と理系はなぜ分かれたのか (星海社新書)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065123843

作品紹介・あらすじ

文系対理系。いつまで経っても終わらない不毛な対立に今、歴史のメスが振り下ろされる。サントリー学芸賞受賞の俊英、待望の初新書。

「文系」と「理系」という学問上の区分けは、進路選択や就職など私たちの人生を大きく左右するのみならず、産業や国家のあり方とも密接に関わる枢要なものです。ところが現実には、印象論にすぎないレッテル貼りが横行し、議論の妨げになるばかり。そこで本書では、そもそも文系と理系というカテゴリーがいつどのようにして生まれたのか、西欧における近代諸学問の成立や、日本の近代化の過程にまで遡って確かめるところから始めます。その上で、受験や就活、ジェンダー、研究の学際化といったアクチュアルな問題に深く分け入っていくことを目論みます。さあ、本書から、文系・理系をめぐる議論を一段上へと進めましょう。
第1章 文系と理系はいつどのように分かれたか? --欧米諸国の場合
第2章 日本の近代化と文系・理系
第3章 産業界と文系・理系
第4章 ジェンダーと文系・理系
第5章 研究の「学際化」と文系・理系

感想・レビュー・書評

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  • 隠岐さや香『文系と理系はなぜ分かたれたのか』読了。いわゆる文系、理系の区分についてその成立の過程から多面的な視点で解きほぐしていく良書。先進国における男性の言語リテラシーの問題は初見で驚いた。不毛な論争に陥りがちな文理の話題もこの本を読んだ後では捉え方も変わってくるなと

  • 著者のことはテレビ(ジレンマ)で見て知った。Twitterをフォローしている。本書刊行はだれかがブクログで購入予定に載せていたのを見てずいぶん前から知っていた。発売日にあわせて書店に行ったが見つからない。残念ながら中規模書店には置かれていない新書なのだ。注文をして手に入れた。通勤途中の電車の中で読んでいると失礼ながら睡魔に襲われた。もともと科学思想史には興味があり、知っていることも多かった。が、それ以上にひき込まれなかった理由は、著者が多くの書籍(先行研究)をもとに執筆しているからなのだろうと、あとで思った。昆虫学者や人類学者の実体験のおもしろさにはかなわない。それでも、4,5章は休みの日に一気に読んでひき込まれた。印象に残った部分を引用しておく。「ある学問が人間社会に関わる切実な対象を扱うほどに、その学術的な論争と、政治的論争との間の境目が不明確になっていくのはやむを得ないし、だからこそ論争が必要だと思っています。それは、人間の認識能力の不完全さと、対象の複雑さとが合わさったとき、何らかの政治性が生まれてしまうことは避けがたいと考えているからでもあります。」(なお、政治的とはどの価値を優先するか、党派的とは誰の味方かということで、そこは区別しているとのこと。)理系・文系について、もっと日常に引き戻して考えてみる。いまは、だいたい高校1年で決めることが多いようだが、私は単純に数学ができるかどうかでの判断だと思っている。私は数学がわりと得意だったし、物理に興味を持っていたから「理系」でした。でも、本を読むのは好きだし、こうして文章を書くのも好きです。長男は数学はできないけれど、地学と地理だけで地球科学に進学した一応理系。長女は、英語・国語よりかは数学の方がましだからとの理由で理系に進学。数Ⅲは選択しなかったから工学部への道はなく、生活科学系の建築科を目指している。つまり我が家の子どもたちは「なんちゃって理系」なんです。こんなことばがあるかどうかは知りませんが。なんか、というくらいの気軽さで、文系・理系と言っていればいいような気がしています。どころで、232ページにある地球温暖化についての件で、「今世紀半ば」とあるのはあきらかに「前世紀半ば」の間違いですよね。

  • 本書の題名には「文系と理系はなぜ分かれたのか」という売れやすい名がつけられているが、内容は学問の発展過程を科学史と高等教育、学会等の制度面を織り込みながら、跡付けたものといえる。後半は専門分化・学際化したディシプリンをどのように分類していくか、という点にも触れられており、とても興味深い知見が示されている。読了後は、村上陽一郎による教養や科学に関する著書を読んだときと似た印象を持った。

    教養の在り様の捉え方として、現代にも違和感なく通じる12世紀のアカデミーの会合について次のように紹介されている(pp.26-29)。当初のアカデミー会合は、社交と研究が合わさったもので、学問談義後、音楽を演奏しながら晩餐会に臨む流れがあった。また詩、音楽、美術をたしなみ、ギリシア語・アラビア語から訳した自然学・医学書を読んだり、それにい基づき観察を楽しんでいたという。言葉を磨き、食事と音楽を楽しみ、様々な知識について談笑することは、人生を豊かにする根本的な営みだということを再認識した。

  • 自分の行動原理のベースを補強してくれたし、今の日本の教育政策に対する強い違和感にも、重要な情報を網羅的に提供していました。いま高等教育過程にいる人も、企業の人事に関わっている人も、社会問題系のプロジェクトに関与している人も、僕と同じように「文理融合」を謳った大学を出てモヤモヤしている人も、みんな読んだらいいと思う。

    つづきはこちらに。
    http://fujii.hatenablog.jp/entry/2019/01/05/015011

  • 2018/05/11 初観測

  • 優れた問いを立てることがどれほど大事なことかを本書で思い知った。シンプルで身近な問いから始まって、歴史を紐解き、現代の知のあり方を整理する貴重な書。骨太な学問論であり、方法論であり、社会と価値観を変えうる内容。

  • ジェンダー
    サイエンス

  • 2018.12.27 HONZより
    https://honz.jp/articles/-/45040

  • なぜ分かれたか、というよりは、自然に分かれたようですね。
    現代において、専門の分化が進んでいるのと同じ理屈、と考えてよいようです。

    意外だったのは、理系(自然科学)の方が、先に明確になったこと。
    その後、社会科学、そして人文科学が成立した、という流れのようです。

    ちなみに、世界で最初に工学部を設置した大学は、東大だそうです。
    まずは、欧米に追い付くため、技術の向上を優先した結果として、そうなった、とのこと。

    今後は、文理融合が進むかもしれませんし、文理の分化が、さらに進むかもしれません。
    しかし、いずれになったとしても、学問を二分するような分け方は、きっと存続するんでしょうね。
    その方が、人間にとって、物事を捉えやすいので。

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著者プロフィール

隠岐 さや香(おき さやか)
1975年生まれの研究者。名古屋大学大学院経済学研究科教授。専攻は18世紀フランス科学史、科学技術史/技術論。
東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。フランスの社会科学高等研究院(EHESS)留学後、日本学術振興会特別研究員(PD)、広島大学大学院総合科学研究科准教授などを経て、現職。
代表作に、日本学士院学術奨励賞・日本学術振興会賞・山崎賞・サントリー学芸賞(思想・歴史部門)・パピルス賞をそれぞれ受賞した、『科学アカデミーと 「有用な科学」』。科学史・社会史・思想史を横断する力作として、極めて高い評価を各所から受けている。単著二作目として、2018年8月『文系と理系はなぜ分かれたのか』を刊行。

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