チェインクロニクルから学ぶ スマートフォンRPGのつくり方 (星海社新書)
- 星海社 (2018年9月27日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065123867
作品紹介・あらすじ
スマートフォンRPG制作の極意と物語創作論
ゲームジャンルにおいて、映像や音楽などあらゆる要素が凝縮された「総合力の結晶」と言われる「RPG(ロールプレイングゲーム)」。その核とも言うべきプレイヤーの感情を揺さぶる「物語」を、スマートフォンRPGに初めてもたらした先駆けにして革命的傑作』――『チェインクロニクル』。本書は本作総合ディレクターである著者が、スマホRPGだからこそできる最適な物語体験のための設計や、チームでゲームを作る組織制作論、クリエーターの意欲を刺激し続ける方法など、いまなお実践し続けるスマホRPG制作の極意を余すところなく語りきった一冊です。次代を担うゲームクリエーター、そして物語創作を志すすべての方に本書を捧げます。
*以下、本書より目次抜粋
1章 物語を増やすための土台
2章 物語をレベルデザインする
3章 セガで一筋十六年
4章 そしてゲームが動き始める
5章 荒波を渡る指標KPI
6章 更新される物語の先に
7章 スマホゲームのこれから、スマホRPGのこれから
感想・レビュー・書評
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スマホゲームはマーケティング的方法が多く使われていて、無機質なゲーム展開、イベントが多く、作り手側の熱量が感じられなかった(ガチャが典型)が、チェンクロは別だった。もちろんデータ分析は重要だけども、それはあくまでも"答え合わせの材料"で、IPとして惹きつけるまでの魅力を生んだのは、やっぱりまだ見たことのないゲーム、というゲームアイデアとして基礎であり本質をつきつめたから。そこは流石老舗ゲーム会社というところ。(ただ、老舗だからこそできる、ゲームにおけるマーケティング的思考はあるのは確かで、本書に色々のっているのは参考になる)
面白かったのは、あるアーケードゲームにストーリーモードを追加すると、ストーリーモードのプレイ率は低かったけどゲーム自体のプレイ継続率が上がったこと。ゲームは他のメディア(映画、音楽など)に比べても、コンテンツマーケティングの変数要素が多くあることを示す良い例だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『チェインクロニクル』はリリース当初に、1ヶ月くらい結構ハマって遊んだ。ただ、タイミング的にあんまりやる時間が取れなかったので、やめてしまった。
何度か再開しようかとも思ったんだけど、結局、やってない。
本書の中でスマートフォンでRPGを体験させようとすると、以下の三つの問題点があるとしている。
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①基本プレイ無料がRPG体験に向かない
②スマートフォンかをポケットから出して短く遊ぶ感覚がRPGに向かない
③運営するゲームであることがRPGに向かない
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なるほど。
という感じ。
コンシューマRPGの名作をそのままスマホに持って来ても、意外と楽しくなかったりする。
で、その解決策、と言うか、『チェインクロニクル』でどうやって、それを解決したか?を本書の中で提示していく。
僕は必ずしも解決できているとは思わないけど、納得はいった。
本書の中で印象的だったのは、下記の一節。
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注意すべきは、コンセプトはなるべく短くすることです。可能なかぎり一行でシンプルで具体的に。これがとても大事です。なぜかというか、コンセプトの役割はゲームを開発・運営している最中に「今、自分達が作っているものは一番面白いポイントをちゃんと押さえているのか」を確認するためのものだからです。
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これまでに読んだ、ビジネス書や創作ノウハウの本とかでも、だいたい同じニュアンスのことが出てきてた。コンセプトがしっかりしてない企画はグラグラする。 -
スマホゲームであるチェインクロニクルを第三部まで作成・運営を続けてきた総合ディレクターの松永さんの書籍。スマホゲームという基本無料で、かつ、隙間時間を有効活用するタイプのゲームの中で、RPGというジャンルで、キャラおよびストーリーを立たせる努力をしてきた筆者の経験が詰まっている。