小説の神様 あなたを読む物語(上) (講談社タイガ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065125540

作品紹介・あらすじ

【2020年10月2日(金)映画公開!】
W主演 佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)&橋本環奈

小説は、好きですか?
今、この文章を読んでいるあなたのおかげで、生み出された物語があるのだと、あなたに知ってほしい。

あなたのせいで、もう書けない。親友から小説の価値を否定されてしまった成瀬。書店を経営する両親や、学校の友人とも衝突を繰り返す彼女は、物語が人の心を動かすのは錯覚だと思い知る。一方、続刊の意義を問う小余綾とすれ違う一也は、ある選択を迫られていた。小説はどうして、なんのために紡がれるのだろう。私たちはなぜ物語を求めるのか。あなたがいるから生まれた物語。

感想・レビュー・書評

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  • 合作小説を出した2人の高校生、小余綾と一也のその後の物語。続編を要請され、物語を書くことを巡って、再び2人は衝突する。著者ならではの濃密なタッチで若者達の懸命な生き様が描かれます。
    感想は下巻で。

  • 「名探偵の眼差しが好きなのよ」
    なんだかすごくストンとはまった気がした。
    同じ景色を見ていても、きっと違う景色が見えている人がいる。
    景色でも、何気ない会話ひとつにも、読んだ本の文章にも、受け止め方で変わってくるものがある。
    「そう。同じものを見ても、捉え方は人それぞれだけれど…。それでも、可能な限り、美しいものを見逃さないよう眼をこらしていたいし、大切な声を聞き逃さないように耳をそばだてていたい。わたしはいつも、自分がそう在りたいと願うの」
    わたしは世界の行間を読めるだろうか。

  • 主人公の結論だったり…あきののことだったり…
    主人公2人の関係について…色々気になります!

  • 「小説の神様」の続編
    そして成瀬さんの過去

    千谷くんはまたラノベで繰り返されるネタをぶっ込んでくるなぁ
    じゃがいも警察の元祖は田中芳樹が「マヴァール年代記」のあとがきで、本当はじゃがいもが出てくるのはおかしいけど、これだけの人口を食わすためには必要と、ファンタジーは設定を都合よく変えられるって書いてたのが初出
    それに端を発して逆の意味でじゃがいもに関しては細かくツッコミを入れる人が出てきてるよね

    あと、サンドウィッチ問題とか、単位の問題とかもね
    個人的にはファンタジー世界の言葉を日本語に訳しているという解釈をしている
    その物語でしか登場しない固有名詞を出すと物語にリアリティが出るけど、その分リーダビリティが失われるので、そこに何らかの設定的背景があればいいと思うよ


    成瀬さんが違和感を覚える、マンガやラノベを低く見る人
    そもそも、ラノベの定義は明確ではないけどね
    人によってそれは異なる
    果たしてレーベルなのか、内容なのか、設定なのか
    一般文芸でもラノベみたいな物語あるものなぁ


    続編を書く意義
    前作で壁を乗り越えたのに、続編になると後退しているという違和感
    これも捉え方次第じゃないかな?
    前作で乗り越えた壁よりもさらに高い壁、もしくは違った角度の壁というパターンもある
    でも、世の中にはお決まりのワンパターンを好む人がいるのも確か
    まぁ、時代劇なんてテンプレがあって細部が変わってるだけなのに根強い人気があったりしますものね


    海賊版サイトや違法アップロードに憤る成瀬さん
    書店の娘というのもあるのだろうけど、一般の人の感覚とは違う
    私も若い頃は……と振り返っても仕方がないけど
    有料でも買う作品と、有料だったら買わないけど無料だったら読みたいというラインは消費者として存在する
    なので、興味のない人は無料でも読まないし、果たして無料で公開されている事がどれだけ本来の権利者の利益を削っているかは不明

    ま、法律に違反しているという時点でまったく擁護はできないけどね

    ただ、この辺の議論は合法とされている図書館や古書店だと度々ネット上で燃えてるよね
    個人的な意見としては、前述の通りお金を払ってでも摂取したいコンテンツと無料だから、安いからという理由で手を出すコンテンツの線引はある
    なので、私に限って言えば、古書店や図書館で出会って買うように鳴った作家さんや作品の方が多いので、むしろプラスに働いているんだよな
    まぁ、世の中には本当は買えるけど無料の方で済ませている人がいるのも確かなので、全体としての是非は言及しない


    天月彼方の作品論
    運がいい本が売れる
    メディアミックスされると人の目につくし、より売れるようになる
    なので、最初からメディアミックス狙いの小説を書くようになる
    出版社が対象にしているのは、本を数冊しか読まない人がメインターゲット
    作家の商売相手は出版社であって、納品した後の反応は別問題
    質にこだわった作品を書くよりも、若干手を抜いた作品を量産する方が得策
    読者はそこまで質の違いを感じないし、受け取る人の感受性によっては作者の意図しないところまで読み取ってくれる
    自分の書きたい作品があるなら売れてからでいい

    ものすごく納得してしまった
    何かの受賞作と同じようなテイストで、私好みの作家さんがいるけど
    何故かそれほど売れていないという不思議
    確かにメディアミックスされていないなぁ
    むしろ、日常の謎とかはドラマ化とかし易い作品だと思うんですけどね
    売れている作品は面白いのは確かなんだけど、物語の内容は販売数ほどの差を感じないんですよね

    あと、私は出版社のメインターゲットではないのですね
    営業せずとも勝手に本を買う層なので
    でも私の感覚として、まだまだゆるい層だと思っているんですけどね
    文芸雑誌を買うようなガチ勢、新刊の単行本を買う層、文庫の新刊を発売日の2週間以内に買う人、比較的新しい文庫を買う人
    私は何年前もの文庫を買う人くらいの段階でしょうか?
    なので、売れ行きを気にする購買層ではない


    やはり今作もテーマは、物語に人を変える力はあるのか?でしょうか

    小説は読み手の能動的な能力が必要
    作者の想いを受け取るためには同じくらいの熱量が必要

    作品を読んでいるはずの読者による攻撃
    物語のメッセージは人を変えないのでは?という疑問

    ここからどう結末に繋がるのか気になる

  • ※思いの外長く語っており…※

    表情を険しくして読んでいたことが多かった。
    小説が好きだと思う自分は何なのか、強く突きつけられる作品だったからだ。
    小さい頃から読書が好きで、また学生時分の10年以上に渡って趣味で執筆もしていた。
    書き手側としても、読み手側としても、抉ってくる内容だった。

    自分は物語は娯楽だと思っている。
    教養書と違って、楽しむ、ということが大前提だ。(もちろん学ぶことが楽しいと思うこともある)
    でもそれは、何かを学ばないというわけでは決してない。
    学びを得るのか得ないのか、それはまさしく読者側の問題だ。
    逆に小説の中で、作者が「これは絶対に正しい、こう考えて感じて下さい」と意見を押し付けようものなら、一気に興醒めしてしまうだろう。
    考える余地、感じる空白、これが能動的読書に必要なものだと個人的に思っている。

    でもここしばらくの自分は読者として、一冊一冊と向き合い、自分なりの気づきや学び、感動を得られていただろうか…
    心動かされて泣いたり怒ったり笑ったり、そういった反応をすることはある。
    けれど大人になってから、沢山の物語を消費できるようになってから、ストーリーの細部が深く記憶に残らなくなってしまったという実感が強くある。
    同じ小説を読み返すことも全くない。
    次々と消費していくばかり。
    自分は、物語を読んでいると言えるんだろうか…

    買いすぎてしまうのも問題ではあるんだろう。
    やはり社会人となると時間が取れなくてどんどん積まれてしまう本を、とにかく一冊でも早く消費しようとする。
    こうやってブクログで感想を残すことも、忙しくて最近はやっていなかった。
    するとやはり、内容がすぐに消えていってしまう。
    なんて浮かばれない本たち…心を過ぎ去っていくばかり。
    確かに楽しんではいるはずなのに。その本に何が返せているんだろうか…

    **

    けれど自分は秋乃のように、自分が読んでる物語を他人に見られて恥ずかしいと思ったことは一度もない。(そしたらブクログもつけていないし)
    絵本、児童文学を経て主にラノベの方へ進んだクチではあるけど、布教こそが読者の使命と信じて、面白かったものは何でも周りに勧めて貸していった。
    もちろん作中では性格や幼少期の体験もあってのことなのは読み取れるけれど。
    読んでる本を隠してしまう行為は、やはり作品と作者に申し訳が立たない。
    大切な宝として刊行された本なのだ。
    (趣味としてえっちな本を自分で読むことはないので、それが加わったらまた違うかも知れないけど)

    **

    作中では、近年出版業界で問題などになってることにも触れられている。
    海賊版サイトの問題や、流行に乗る作者と読者のことなど。

    漫画と小説の価値観や、商業としての執筆など、確かになぁ!と思える部分も多くあった。

    近年自分も書店でラノベ売り場を、どれも同じようなタイトル、イラスト、ストーリーばかりで
    全く興味を惹かれないなぁと思って見ていた。
    そのためか少しラノベ離れも進んでいる気がする。
    そうやって離れていく読者がいる一方で、なんかいっぱい積んであるから読んでみようかなと手に取る読者もいて、そしてそれが大多数なんだとした意見に思わず呻る。
    内容が面白いかどうかはこの際どうでもいい。
    とにかく目について実際に買われるかどうかが大事だからだ。

    でも、昔小説を書いていた自分は思ってしまう。
    没個性な物語を書くことに作家としての意味はあるのかと。
    自分がしたような、泣いたり笑ったり学んだりといった読書体験の出来るような物語を、読者に味わってもらいたい。実際自分ではそれが書けないとわかって自分は創作をやめてしまったけど、でもやはり物語というのはそうあって欲しいと未だに思ってしまう。
    けどそうした全霊を込めた物語は、今の人たちにはウケない…
    もちろん量産されている流行りの作品に価値はないとは思わないし、その中から得られる体験もあると思う。ただ流行が去った後に、その物語は読者の中にどういった残り方をするんだろうか…
    売りたいのか、信念や個性を貫きたいのか
    きっと、唯一無二の物語を作りたいと思って作家を目指した人たちは、本当に苦しんでしまうと思う…。

    まとまりや主旨がなくなってきたのでとりあえずこの辺りで。
    なんだか全部読み切ったあとみたいな熱量で書いてしまったけど
    後日下巻を買ってこよう…

    ちなみに自分はこれを続刊だとは知らないで買ったけど
    現時点で十分面白いので
    続刊を書く意義はあると思うよコユルギさん!(そういう意味ではない)

  • 小余綾と千谷は、小説としての意義・価値が何であるかを模索する。成瀬は、裏切った唯一の友人と再会する。

  • 今回もいろいろぶっこんできたね、相沢さん…。
    このご時世にこのレーベルから出して、ここまで言わせるか、と。

    相変わらず、誰にも感情移入はできはいけれど、悲しくも納得してしまう。
    物語を殺すのは読者。

    だから、わたしはいつまでも、いつも、誰かにとっての九ノ里でありたいと願う。

    小説は好きだし、物語も好き。
    できれば手抜きではなく全力で書いたものが読みたいし、全力で書かせてあげられる読者でありたいものです。

    与えられた添加物まみれの餌に食いつく飼い犬じゃなく、自ら獲物を探して仕留めるハイエナでいたいものよ。

  • ふたりの後輩・成瀬秋乃が視点人物にがっつり加わり、友人関係のすれ違いや見え隠れするスクールカーストなど、おそらく作者が無視できない(それを軽視したり書き漏らすことはあってはならないと考えているだろう)テーマも内包しつつ、前作以上に「物語の力とは」をじっくり考えてしまう『小説の神様』続編。

    …本作を読むとこういうレビューも考えなしにテキトーにするもんじゃあないなと思うなどする。

  • 実写化おめでとうございます。実写化を観たので、また読み返しています。やっぱり、小説の神様、というタイトルが凄いと実感しています。

  • 2020/07/23*読了

    え?あなたが主人公?って思いました。
    期待していたのとは違う!って思ったのですが、
    前作同様の語り手がちゃんと居たので安心できました。
    でも困惑したまま下巻に続きます。
    ストーリーが長くなった分楽しめる部分が増えました。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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