血の弔旗 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 39
感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (784ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065125595

作品紹介・あらすじ

1966年8月15日。根津謙治は、仲間たちと豪邸の前にトラックを止めた。戦後の混乱期に財を成した実業家から現金11億円を奪うためだ。その際、根津は不本意ながら一人の女性を射殺してしまう。それから14年。時効が近づいた頃、彼らの身の周りに新たな事件が続発する。首尾よく離散したはずの男たちの軌跡が再び交差する時、人間の業と事件の真相が明らかになる。昭和の時代と風俗を克明に描写した熱き犯罪小説。


1966年8月15日、根津謙治は目黒区碑文谷二丁目にトラックを止めた。現金11億を奪うためだ。
戦後の混乱期に金貸しをはじめて財を成した原島勇平の屋敷から岩武弥太郎、宮森菊夫の二人と共に強盗計画を実行にうつした根津だったが、アクシデントにより屋敷に居合わせたクラブのママを射殺する。カーラジオからはローリング・ストーンズの『黒くぬれ!』が流れていた。
この強盗計画にはもう一人、川久保宏が関わっていた。彼の役割はアリバイ工作。4人は奪った金を隠し、4年後の山分けを約束する。
事件は大々的に報道され、根津は厳しい取り調べを受けるが、4人の繋がりは誰にも知られず未解決のまま時は過ぎた。
戦時中4人は疎開の為、別々の出身地からほんの僅かな期間、長野県の郊外で机を並べた仲だったのだ。
事件後、根津は疎開先で世話になった教師・玉置の娘・鏡子と再会し関係を持ち結婚する。4人でした約束通り、1970年の終戦記念日に11億を取り出し分配した彼らは二度と会うこともないはずだったが、10年の歳月が過ぎ、新たな事件が彼らの身の周りに次々と起こる。
「誰が何のために?」
混乱と疑心暗鬼の中、根津は煩悶する。
袂を分かった男たちの軌跡が再び交差する時、昭和を生きた人間の業と事件の真相と明らかになる――。
昭和の時代と風俗を克明に描写した”藤田宜永ノワール”小説。

感想・レビュー・書評

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  • 犯罪を犯した者が昭和を駆け抜ける

    警察と裏組織に追われていくが...



    最後までとても面白く読めた作品

  • おもしろかった。ちょっと秘書怪しいやん…と思っていたけれど。犯人目線の小説でおもしろいと、このまま捕まってくれるな〜〜〜ってなるからさいごが悲しいんだよな。

  • 2021.06.20.読了

    1966年8月15日に起きた11億円の強奪殺人事件を始まりに2001年までの35年間を描いたサスペンス。769ページにわたる超大作だが結末に向かって一気読み!

    もともと藤田宣永氏は好きな作家。
    文章は読みやすく、当時の時事を挟んで物語が展開するためとても興味深く読めた。
    長編好きな方にオススメの一品。

  • このミス2016年版9位。面白かった。自分的にはツボにはいった小説で、久々にのめり込んで一気に読んだ。強盗殺人犯が主人公で事件の真相をあばこうと暗躍する裏世界の人や刑事と対峙しながら、まっとうな事業を成功させ幸せな家庭を築いていく話。主役視点での緊迫した話が進んでいく。本人の立身物語や共犯者や女性との絡み、家庭を築いていく話はそれ自体面白く、周りの人たちが事件の真相に迫ってくるところはとてもドキドキする。リアリティがハンパなくアンモラルだけど主人公に感情移入してしてしまい、逃げ切って欲しいと思いながら読んでた。結末が予想できなくて息苦しさが続き、サスペンスとしての意外性はあるものの、比較的あっさりと終わる。やっぱりそうなのねと若干物足りないがとても現実的な結末だと思う。小説の進行とともに1966年ごろから1980年ごろまでの実際の事件や東京の歓楽街の状況など時代背景が克明に記されれて自分自身の記憶と重なり興味が継続する。自分はもう少し後の世代だけど、この時代の話は若いころ大藪春彦や黒岩重吾などの本を読み漁ったのでとても懐かしかった。

  • 重罪を犯し、大金を手にした男たち。昭和の時代と風俗を活写した不朽のサスペンス巨編。

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著者プロフィール

1950年福井県生まれ。早稲田大学文学部中退。パリ滞在中エール・フランスに勤務。76年『野望のラビリンス』で小説デビュー。95年『鋼鉄の騎士』で第48回日本推理作家協会賞長編部門、第13回日本冒険小説協会大賞特別賞をダブル受賞。その後恋愛小説へも作品の幅を拡げ、99年『求愛』で第6回島清恋愛文学賞、2001年『愛の領分』で第125回直木賞受賞。17年には『大雪物語』で第51回吉川英治文学賞を受賞した。その他『タフガイ』『わかって下さい』『彼女の恐喝』など著書多数。2020年逝去。

「2021年 『ブルーブラッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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