八丁堀の忍 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.83
  • (2)
  • (1)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 34
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065126158

作品紹介・あらすじ

忍びが牙を抜かれた文政の世に、伊賀の山中に、わらべの頃から人体兵器として養成する裏伊賀の集団があった。十五の若者・鬼市は、決死の思いで抜け忍となり江戸に出る。執拗な追っ手に追われ、鬼市は隠密廻り同心・城田新兵衛に出会い、その腕を見込まれ、同心屋敷にかくまわれた。はじめて人の優しさに触れた鬼市。義賊として生きようとしていた裏伊賀の若者が、江戸の闇を守る。活劇と人情の忍び物語。新シリーズ、開始!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「購入」
    裏伊賀の忍びの隠れ砦(訓練所)から抜けてきた若き忍び鬼市の活躍の物語です。

    忍びが牙を抜かれて江戸城の警備をしている文政の世。鬼市15才は、攫われて忍びの隠れ砦の裏伊賀に連れてこられて生きた殺人兵器として訓練をさせられた。そこでは、仲間も、友も殺さなければ、次は自分が殺される世界だ。十五歳まで生き残った凄腕の鬼市は、この裏伊賀を抜けることを決めて奈落の底の断崖に飛び込んだ。

    鬼市は、死の谷から這い出した。途中の村で辻斬りが出た、その臭いを追って江戸まで出てきた鬼市を、裏伊賀から赤い目をした上忍で裏伊賀をすべる頭の「高尾の南」、その息子の「赤目の一平太」と「気取り伊佐次」が追っていく。

    江戸で入った煮売り屋で酒粕に酔った黒の忍び装束に忍び刀を差した鬼市を見た江戸の目明かしは、辻斬りと怪しんで鬼市を捕まえる。その目明かしを使っている柳生新陰流の遣い手で南町奉行所隠密廻り同心、城田新兵衛は、上役の対馬多聞与力の許しを得て、この目の澄んだ若者鬼市を、名を市兵衛と変えて手下として使うことにする。
    鬼市は、逃げて来る途中の村で嗅いだ辻斬りの臭いを大川(墨田川)で嗅いだ。その臭いを伝って行くと湯島の切通しで若狭の小藩を脱藩した真岡大膳が、駕籠に載った医師を斬らんとしていた。

    【読後】
    城田同心の所で暮らしていると鬼市の顔から笑顔が出て来ます。少しずつ江戸の町に馴染んでいく抜け忍の鬼市です。次作は、どんな展開が待っているか楽しみです。展開が早く、テンポがよく、忍者が出て来ます。楽しみで仕方がありません。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    八丁堀の忍シリーズ1作目
    2018.08発行。字の大きさは…中。2022.12.29~30読了。★★★☆☆
    ブックオフ、110円で購入2022.12.29
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    《八丁堀の忍シリーズ一覧》
    06.死闘、裏伊賀
    05.討伐隊、動く
    04.隻腕の抜け忍
    03.遥かなる故郷
    02.大川端の死闘
    01.八丁堀の忍  2022.12.30読了

    「参考」
    ※参考は、私のメモ書きです。本の感想ではありません。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    「著者紹介」
    倉阪鬼一郎(くらさか きいちろう、1960年1月28日 –)は、日本の小説家・評論家・俳人・翻訳家。
    三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。三重県立上野高等学校、早稲田大学第一文学部文芸科卒業。早稲田大学大学院日本文学専攻中退。環境経済学者の倉阪秀史は実弟。名字を「倉坂」と誤記されることが多い。

  • 少年忍者ものとして大変に楽しめました。(^^
    世間知らずが都会に出てきてのちょっとしたトラブルとか、何かとフォーマットに沿っているという印象も強いのですが。
    忍者の里を抜けて江戸に着くまでが大半なので、一通りキャラクターの紹介をしましたって感じです。
    次巻以降にも期待大です。

  • 率直に言って、最近の倉阪鬼一郎さんの作品にはキレを感じなくなっていました。「八丁堀の忍」(2018.8)、宇良伊賀の忍者として修業中、同僚を殺してまでの修業に嫌気がさし、抜け忍となった鬼市15歳の物語。テンポよく、キレもよし。期待できる新シリーズです。

  • 忍が牙を抜かれた世を、若い鬼市は駆け抜ける! 

    さらった子らを鍛え上げ、人体兵器として密かに送り出す裏伊賀の砦で育った鬼市は決死の思いで、餓狼の啼く断崖を滑り下りる。執拗な追っ手から逃れ、めざす江戸には、運命の出会いが……!? 文庫書下ろし。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1960年、三重県生まれ。
早稲田大学在学中に幻想文学会に参加、分科会の幻想短歌会を主宰。
1987年、短篇集『地底の鰐、天上の蛇』(幻想文学会出版局)でささやかにデビュー。
1989年、第一歌集『日蝕の鷹、月蝕の蛇』(同上)を刊行。
平成とともに俳句に転向、「豈」同人。句集に『アンドロイド情歌』『悪魔の句集』『怪奇館』など。俳句関連書に『怖い俳句』『元気が出る俳句』『猫俳句パラダイス』などがある。
1998年より専業作家。ホラー、ミステリー、幻想小説など多彩な作品を発表。近年は時代小説の文庫書き下ろしを多く手がけ、オリジナル著書数は130冊を超える。
趣味はマラソン、トライアスロン、囲碁・将棋、油絵、鉄道など。

ホームページ「weird world 3 倉阪鬼一郎の怪しい世界」
http://krany.jugem.jp/

「2017年 『世界の終わり/始まり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

倉阪鬼一郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×