シンドローム(下)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 415
感想 : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065127056

作品紹介・あらすじ

官邸は迷走し、首都電が責任回避に奔走するばかり。原発メルトダウンの危機は確実に進行する。表向き救世主として振る舞う鷲津は、けっして本当の狙いを明かさない。原発事故の危機のカウントダウンと、ハゲタカ鷲津の巨大買収劇が、同時並行で進む、リアル金融サスペンス。驚愕と感動の結末へ向かう!

感想・レビュー・書評

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  • このシリーズは毎回面白い。ただ今回はやや予定調和になっている感じはあったかなと思う。

  • 首都電株の過半数獲得を目指す鷲津。政府内にも最小限のコストで首都電を再建できるのは鷲津率いるサムライファンドだけではないかという意見も出始める。そんな中、株の大量保有報告義務違反の疑いでサムライファンドに家宅捜索が入る。鷲津にも逮捕状が請求されているという報道も。裏で絵を描いているのは誰か。鷲津の首都電買収、再建は成功するのか。電力会社はコストが上がればコストを使用者に転嫁できる仕組み、だから儲かる。展開のテンポにハラハラさせられ気づけば本の世界に吸い込まれ読み終わってしまっているそんな作品です。

  • 東日本大震災をモチーフに、無能な首相、政府から首都電を奪った鷲津。

    最後はちょっと尻つぼみだった気がする。
    首都電の濵尾会長の扱いなど、明確にしてほしかった。
    実際の東京電力の会長も曖昧な責任のままだから、せめて小説のなかだけでも。

  •  ヒリヒリするようなバトルが続く下巻。ただし、最後は急ぎすぎかな。あっけなく終わってしまった感じ。もう少し先の展開まで読みたかったなぁ。
     それにしても『グリード』の時も思ったが、現実とフィクションの境目が分からなくなる。まるで本当のことと思わせる上手さがある。「福島第一」に関して参考文献に挙げられている物を読んでみたくなった。

  • 首都電力(東京電力)の買収をもくろむハゲタカ鷲津がテーマ。途中までは、2011年3月11日の首都電力(東京電力)の磐前県(福島県)原発事故について書かれています。すべて仮名ながら、おおよそ誰とわかります。業界でしか知られていない内容なども書かれ、かなり多数の人に取材したものと思います。原発事故当時の首相は、高校の先輩なので、ボロクソに書かれているのには(気持ちはわからんでもないですが)ちょっとだけ弁護したくもなりました。

    下巻の半分くらいまで、(手に汗握る?)原発事故対応の内容。「これだとハゲタカっぽくないな」と思っていると、後半からいよいよ首都電力買収交渉です。政界、財界、検察、メディアを巻き込み、本当のディールの舞台裏も、きっとこうだろうと思える緊張感で読めました。

  • 鷲津曰く:「東日本大震災が起きてから…、何か大きなものを失ったという方が近い。」
    例えば、技術大国としての日本。
    一度、原発事故が発生すると、今までの態度・恩恵を忘れて、誰もが原発を非難し始める。停止だ、原発ゼロだ、と。省エネ止む無し、火力発電も止む無し、と。

    非難された電力会社社員の肩身は、どうでしたか。事故処理に昼夜対応いただいた方達には、労いの言葉は届けられたのでしょうか。よく、「原発ゼロでも、停電はなかった」と聞く。「2000年問題もトラブルなし」と。どれだけのエッセンシャルワーカーが、どれだけの苦労と涙を流して、問題のない世界を維持してきたか。一つひとつが、日本の持つ科学技術ではないでしょうか。

    きっと、どんな科学技術も、人の幸せを追求して発展してきたのではないか。蒸気機関も、車も、飛行機も、電気も、レントゲンも、ロケットも、コンピュータも。ただ、あの日、”原子力”に関しては、はっきりと「NG」が突き付けられたような気がする。資源の少ない日本においては、原発は必要悪であったハズなのに。全国民から早急に回答を求められてしまった。NGと。他の技術がどれ程の犠牲の末に現在に至っているかも考慮しないで…。

    震災と原発事故で、失ってしまった世界から、すでに10年。
    残念ながら私たちは、豊富な電力なしでは、生活が成り立たない。再生可能エネルギーはまだ途上だ。化石燃料に頼る発電もエコではない。社会インフラを維持する「当たり前」の世界。必要悪を含めて、私たちは検討する”ターニングポイント”に来ているのではないだろうか。

    ハゲタカの企業買収とは、直接関係ないが、10年を思い返してしまった。

  • 危機的対応の悪さは旧民主党も自民党も
    何も出来なかったと読み返して思う。

    コロナ禍も今後数年続くのかとため息が
    でます。

  • 下巻。

    「情報が命」まさにこれが体現されていたラストだった。
    今回も敵が悪質なために最後に得られたカタルシスも大きかった。
    結末のあと、どうなったかはとても気になる。

  • 12月-23。3.5点。
    ハゲタカシリーズ、電力会社の買収攻防、下巻。
    下巻の前半、少し中だるみのような感じで、政治の話が続いたが、後半はさすがのスピード展開。

    ラストはシリーズ史上、最もかっこよい感じがした。
    続編はいつ頃だろう。楽しみ。

  • 政府との駆け引き。
    実際3.11があった後に水面下で
    こう言うやりとりがあったのかは定かではないが、
    事故を思い出しながら読んでいたら心が痛かった。
    いま、あれから10年近くが経って、
    世論は東電をどう思っているんだろう。

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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