隠れたる事実 明治裏面史 (講談社文芸文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065129272

作品紹介・あらすじ

明治維新から150年が経ちます。その間多くの歴史研究が積み重ねられてきましたが、それはそれとして大衆レベルで「いったいなにがあったのか」をわかりやすく解説してきたのが「政治講談」であり、そのジャンルを確立したのが伊藤痴遊でした。いわば彼は「明治大正における池上彰」だったのです。本書の序文で痴遊はこう述べています(抜粋要約、仮名遣いはあらためた)。

 維新前後から明治にかけての歴史を部分的に分けて、人物を本位としたものを、いつか書いてみたいと思っていた……(中略)。/本書の体裁も、やはり言文一致のきわめて通俗のものにしてある。昨今に至って、西洋の学問が旺んになったため、外国歴史のことは知っていてもかえって日本の歴史を知らぬ青年が多いようだ。これは大いに注意すべきことである。生れた国の歴史を知らずに、他国の歴史ばかり知っているその人の思想はドンナ風になるか、すこぶる懸念に堪えない。そこで僕は維新前後から明治にかけての歴史を、人物本位で書くように努力して、(中略)……大体の事はかなりに穿ったつもりだ。/ことに、大概な人は遠慮して言わぬことまで、相当にさらけ出してある。したがって、多少の批難の起る事はもとより覚悟の上である。

感想・レビュー・書評

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  • 『隠れたる事実 明治裏面史』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター
    https://bookmeter.com/books/13034921

    『隠れたる事実 明治裏面史』(伊藤 痴遊):講談社文芸文庫|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000313448

  • 著者が話している場面等に出くわしたことも無ければ、録音を聞いたのでもないのに拘らず、「声音が聞こえて来るような、“語り”のような文章」に少し引き込まれながら本の頁を繰った。
    「裏面史」と題名に在る。取上げられているのは、江戸開城に至った幕府の最期に関する辺りから、かの山縣有朋が関与したという<山城屋事件>、相次いだ要人暗殺、遣欧使節の際の政府を巡る事柄、征韓論関係の政争、台湾出兵、佐賀の乱、萩の乱等、「事件の裏側」という内容ばかりだ。なるほど「裏面史」である。
    或る程度知られているような、存外に知られていないような事柄、事件の当事者になった人達の履歴や伝えられる人柄が活き活きと語られていた。本当に「講談を読む」という感覚だったかもしれない。
    著者は1867(慶応3)年生まれであるそうだ。自身が生きた時代、扱おうとする話題の関係者が存命である場合も少なくない中で情報を収集して練り上げた話しで、各々の話題がそれぞれに迫力が在ったと思う。
    「偶々…」という具合で、興味深い作品に出会うことが出来て善かった…

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著者プロフィール

伊藤痴遊(いとう・ちゆう)
1867~1938。講談師、政治家。旧姓は井上、本名仁太郎。横浜に生まれる。1881年自由党に入り星亨門下の壮士として活躍する。加波山事件、静岡事件などに関係し処罰されたこともある。1887年からは双木舎痴遊と号して政治講談を創始(のち伊藤と改める)。抜群の話術で政界の裏話や人物譚などを巧みに談じて名声を得た。一方、東京府会議員などを歴任、1928年の最初の普通選挙で当選し、代議士となる(当選2回)。終生、話芸の向上発展に尽くし、話術倶楽部を創設、『痴遊雑誌』を創刊した。『伊藤痴遊全集』全30巻がある。


「2018年 『隠れたる事実 明治裏面史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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