呉越春秋 湖底の城 七 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065129760

作品紹介・あらすじ

楚の出身である范蠡(はんれい)は十二歳の時、家族と住居を盗賊の襲撃により失った。奇跡的に難を逃れた彼は、父の親族がいる越の会稽へ移り住み、賢者・計然のもとで学ぶ。ここで親友の種(しょう・後の大夫種)と出会い、優秀な二人は二十代半ばにして太子・句践(くせん)の側近に抜擢される。やがて、越に呉が攻め入ると、范蠡は策略をめぐらし越を救う存在となるのだった。謎多き忠臣を活写する、中国大河歴史ロマン第7弾!

感想・レビュー・書評

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  • 越、范蠡の巻。
    闔盧が死に、夫差と勾践はどんな戦いをみせるか。
    臥薪嘗胆の前段階。
    傾国の美女、西施の未来を宮城谷はどのように描くのか?

  • 主役は伍子胥から若き范蠡へ。それでも伍子胥は輝きを失うことなく、その存在感は際立っていた。伍子胥恐るべし、である。
    呉王闔廬自ら率いる呉軍の侵攻に対し、気鋭の新国主である句践率いる越軍が迎え撃つ。呉と越の存亡をかけた戦いがついに始まった。
    これまで戦のシーンでもどちらかというと“静”の印象を受けていた宮城谷の筆致だが、本巻では“動”の描写の連続で、読んでいて心が震えた。

    「━━人の造った物のなかで、もっとも美しい物は、もっとも醜い物になりうる。」『将来の妻』より。
    「偶然とおもわれることも、天意あるいは神力がはたらいて、じつは必然であったことがあとでわかる。」『将来の妻』より。
    「徳で攻め治めることは、才や威のそれにまさる。商売だけではなく政治でもおなじことがいえる。」『将来の妻』より。
    「いまの自分が弱いので、強い者を避けつづけるのでは、いつまで経っても強くはなれない。」『将来の妻』より。
    「人生も戦いの場であるとすれば、戦って敗れたがゆえに逃げるのは宥されようが、戦うまえに逃げては世の人々の赦しは永遠に得られない。」『将来の妻』より。
    「……意いつづけていれば、いつか成就する、」『范季父』より。
    「━━欲するためには、備えよ。」『国難』より。
    「すぐれた人と思想があれば、たとえそれが敵側にあっても、学ばなければならない。これは、できそうでできないことである。悪感情がさきに立つと、それが自身の思考的視野をさえぎってしまう。」『越軍の策』より。
    「━━威張ったら、人としての成長がとまる。」『夕映えの空』より。
    「人は、聴く耳をもたない人には、語りかけないものだ。民と政府のありようもおなじで、訴えても願っても、とりあってもらえない政府には、なにもいわない。沈黙した民はおとなしい良民ではなく、不満と怒りのかたまりであるとおもうべきだ。そうなるまえに、悪感情の捌け口をつくっておく。それも政治の方法のひとつだ。」『海辺の風』より。
    「勝つ、ということは、勝ちつづける、ということだ。」『諜者たち』より。
    「人生にも、攻守がるのだ。まず内をかためるのが、成功への常道だ」『西施』より。
    「信用を失えば、人として立てない。」『諜報戦』より。

  • いよいよ満を持して伍子胥が孫武に将軍職のオファーを申し出る。ただし子胥の一存では決められない。判断を下すのは呉王・闔廬〈こうりょ〉である。そこで子胥は話が通りやすくするため、孫武に兵法を記して欲しいと申し出た。これが後に『孫子』として伝えられる。
    https://sessendo.blogspot.com/2022/03/blog-post_24.html

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  • ついに宿敵同士の苛烈な戦いが始まる。#伍子胥#ご し しよ#のライバルは無限の魅力に満ちた男だった。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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