- Amazon.co.jp ・本 (114ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065130346
作品紹介・あらすじ
もうほとんど何もかも終えてしまったんじゃないかと僕は思う。
僕は「こうもり」と呼ばれ、崖っぷちの家でひとりで暮らしながら、石炭を選り分ける仕事をしている。高級な石炭である〈貴婦人〉を見つけ出す天才だった祖父が亡くなり、家と仕事を引き継いだのだ。机と電話機しか置いていない〈でぶのパン屋〉の固いパンを毎日食べるようになったある日、公園のベンチで居合わせた体格のいい男のひとに英語で話しかけられたが、意味はさっぱり理解できなかった。長い長い話の最後に、彼はひと言「おるもすと」と云った――。
世田谷文学館開館20周年記念企画として限定販売され完売した幻の作品に、書き下ろしエッセイを加えた特別版!
感想・レビュー・書評
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ANYTHING GOESエニシング・ゴーズ。
たしかに。
大胆にいこう。
萎縮してしまっている絵を描いている自分がいたから付録の文章が響いた。
でぶのパン屋の固いパンも食べてみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
未完作品の魅力。
終わらない物語。
墓地を見下ろす崖の上に住む男の、静かな生活。
「おるもすと」本編は半分くらい。
あとは吉田さんのエッセイになっています。
特別付録もあって、それもまた短い物語なのですが、灯台で余生を暮らす女性の素敵な作品でした。
わたしが読んだのは講談社版ですが、全てのページ、表紙、帯にいたるまで活版で印刷されたという世田谷文学館版も手にとってみたい。 -
はじめてのかんかく。。
お墓の灯台に住む、コウモリ。
墓のひとつひとつを「しるし」と思う。ここに生きた、そして死んだ。終わり。覚えておこう。
祖父が死ぬまで大事にしていた腕時計をひそかに埋めた。
埋めたときはまだ動いていた。
_うめたときはまだうごいていた_
「おるもすと」の話のつづき
に、キース・ジャレットの「マイ・ワイルド・アイリッシュ・ローズ」のことが書かれていた。
この曲そのものみたいな本でした。 -
吉田篤弘の真骨頂とも言うべき、何処かの片隅で何も起こらない日常の話。でも自分は凄く共感できる。図書館帰りの孤独と愉しみがひとつになった思い。自分もそういうものが積み重なっていると感じた。活版印刷バージョン、見てみたかった、、、
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世田谷文学館版も合わせながら。
終わらない物語の楽しさ。読み手側でもそういうのはあるよなぁ。。
書き出しの文章がありながら、「終わらない」というのもよい。
あと。パン食べたい。。。 -
持っているのは世田谷文学館版だが、検索で出てこないのでこちらで登録した。
吉田先生にしては酷く静かな物語。美しい描写や出来事がある訳ではないのに、とても澄んでいる印象を残す。
好みである。 -
暗闇ににじむ、ろうそくの薄いぼんやりした灯りのような。
それは究極かもしれない。 -
世田谷文学館から買いました。Amazonで近々発売されるそうですね。世田谷文学館で購入したものは、活版印刷で、とても味があります。
物語は、とても静かに、切なさをはらみ、吉田篤弘ワールドです。
読み終わった後、数時間してから思い出して、涙が止まらなくなりました。
こんな本には、これまで出会ったことがありませんでした。 -
結びがない物語は置いてけぼりにされたような気がして不安になる。
しかし吉田篤弘の作品は何も知らないのにその先を知っているかのような安心感に包まれたままに終わる。
そこがすごく好きだ。
『おるもすと』はいつも以上にそのことを強く感じた。
著者プロフィール
吉田篤弘の作品





