到達不能極

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 204
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065130605

作品紹介・あらすじ

衝撃の受賞作なしから1年――。
こんな熱量を、興奮を待っていた!
賞始まって以来、最大スケールの冒険ロマン、ここに爆誕!!
第64回江戸川乱歩賞受賞作

2018年、遊覧飛行中のチャーター機が突如システムダウンを起こし、南極へ不時着してしまう。ツアーコンダクターの望月拓海と乗客のランディ・ベイカーは物資を求め、今は使用されていない「到達不能極」基地を目指す。
1945年、ペナン島の日本海軍基地。訓練生の星野信之は、ドイツから来た博士とその娘・ロッテを、南極にあるナチスの秘密基地へと送り届ける任務を言い渡される。

現在と過去、二つの物語が交錯するとき、
極寒の地に隠された“災厄”と“秘密”が目を覚ます!

感想・レビュー・書評

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  • ツアー客を乗せた飛行機が、原因不明のトラブルにより、南極に不時着する「現代」と、第二次大戦中、謎の任務に乗り出すことになる、ペナンの日本海軍航空隊の「過去」を織り交ぜた展開は、オーソドックスながら、上手く絡み合っていて、楽しめました。

    また、南極の歴史における実際の出来事と、上手く融合させたような、フィクション的解釈の要素も興味深く、南極を舞台にした新鮮さも良かったのですが、ネタバレに当たる部分の稚拙さが強く、そこだけ妙に浮いてしまっている印象を受けました。

    それで、肝心のクライマックスのところが、微妙な感じになってしまったのが残念といえば残念なのですが、物語の内容自体は、まとまっていると思いますし、色々な戦闘機が登場することで、ミリタリー好きな方も楽しめるのではないかと思いました。

  • いや、これは面白い!!
    これがデビュー作とはびっくりする。
    過去と現在が入り乱れ、さらに登場人物達も色々と出てくるのに全く混乱せずとてもテンポよく読まされるあたり本当に面白かった。
    戦時中にドイツがしていたある実験が基にどこまでが本当にあった話なのか…とオカルト的な面でもワクワクさせられる。
    過去と現在が入り乱れる話は大抵混乱しがちになってとてもしんどくなるが、そんな事は全くなくむしろ早くこの展開がどう未来に結びつくのかときになって気になって仕方なかった。
    是非とも次回作を期待したい!!

  • 昨年は受賞作がなかったので残念でしたが、今年はやっと来ました。
    過去と現在が交差して、物語が進みます。
    どこに収束するのかと思っていたら、物語は意外な方向に少しずつ進んでいきます。
    最初単調な感じがしましたが、読み進むにつれ、引き込まれていきます。
    到達不能極という言葉は知りませんでした。
    科学的な見地からは異論はあるのでしょうが、こういうのは大好きです。
    ラストも良いです。
    楽しめました。

    • たま@さん
      ラスト私も好きです。気持ちよく読了できました。
      ラスト私も好きです。気持ちよく読了できました。
      2018/10/25
  • 久しぶりに読みながら先の展開にワクワクドキドキさせられた。どうなるんだ、いったいこの先どうなるんだ、と。
    あるところで「ええ?そっちに行くの?」と、予想外の展開にのけぞる。そっちかー。
    けれど、たまたま読んでいたその同じタイミングでネットに上がってきたとあるニュースがその予想外の展開とほぼ同じ内容で、のけぞりからいっきに前のめり状態。そうか、これはとんでもでもなんでもなく、ありえるSFというか、あってもおかしくない話なのか。
    いやぁ、南極、行ってみたいですわ。ペンギン好き。
    ともあれ、ネタバレするので感想も紹介も書きにくいですわ。

  • 2018年 江戸川乱歩賞受賞作。
    2018年のツアーの救助要請と1945年の日本空軍の輸送作戦。時を超えた2つが「南極の到達不能極」で交わる時にどんな秘密が明かされるのか。

    ミステリー×極地もの。ナチスの遺産などオカルトあり、70年の純愛もあり、極地の風景もありと盛りだくさん。選考委員の評を読む楽しいです。

  • 太平洋戦争の開戦日(12/8)に2日間かけて読了。SFテイストの冒険ミステリー。ナチス・ドイツの秘密兵器とそのカギを握る美少女。そして彼女を慕う旧帝国海軍の若き兵士。なんだか「終戦のローレライ」を彷彿させる設定。途中でネタばれするが、その後はアクション編として読んだ。江戸川乱歩賞受賞作。新人ですが、非常に読みやすい文を書いていて、次回作を期待したいです。

  • 南極に謎の基地がありその周辺で謎の墜落などが起きている。南極ツアコンの拓海が連れてきた叔父さんが実は戦争中にきたドイツ軍の基地。意識が電気の中に閉じ込められて生きながらえているというちょっとスリラー的な話でもある。最後は円満で終わったが、まあ、推理小説分野の話なので、結構すらすらと読めて面白かった!
    めっちゃな感動はなかったものの結構ハプニングがあったので4つ!

  • 江戸川乱歩賞受賞作だけのことはあるなと思わせる面白さでした。
    過去と現在が交互に語られ、どう関係があるのか、だんだんと明らかになっていくあたり、興味を持ちつつ物語に没頭できる仕掛けがいっぱいです。
    物語のスケールも大きく、映画化しても楽しめると思いました。
    本の最後に賞の選者の厳しいお言葉が載っていますが、それらの欠点を補う物語となっています。
    壮大なミステリをお探しの方にはピッタリの一冊です。

  • 肝心のSF的部分が残念。

  • 南極の凍てつく寒さと神秘性が抱える奥地にこんな話があってもいいかな~と思う。
    テンポが良い文体に伏線の回収もなんだか粋。
    失われた青春があの戦争中にはたくさんあった筈…だからこそのラストがとても好きです。

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著者プロフィール

1973年、東京都生まれ。千葉大学理学部物理学科卒業。2018年、『到達不能極』で第64回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。近著に『環境省武装機動隊EDRA』『一千億のif』『レーテーの大河』がある。

「2023年 『クメールの瞳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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