あの頃、君を追いかけた (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065130612

作品紹介・あらすじ

「あなたって本当に幼稚」。優等生だ
し可愛いし、だけどクールな君が、あ
る日、後ろの席にやってきた。勉強嫌い
の俺に、容赦ない指導を繰り出す君。放
課後の教室、帰り道、いつの間にか俺の
毎日は、その笑顔でいっぱいになってい
た。誰もが、切なくて愛しい「あの頃」を
思い出す。青春ラブストーリーの翻訳版。

感想・レビュー・書評

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  • 「……あなたって本当に幼稚ね」

    ブク友マリモさんにおすすめしていただいた台湾版映画『あの頃、君を追いかけた』がとても良かった。
    もうね、クラス一番の優等生で、みんなの憧れ的存在の美少女、沈佳儀(シェンチアイー)を演じた ミシェルチェンさんの可愛らしいことといったら。彼女の笑ったときの三日月のような目が大好き。初めてポニーテールにした彼女を見たときなんて、私も悪がきの柯景騰(コーチントン)らと一緒にほわぁとなっちゃったよ。
    ちょっぴりほろ苦くて切なくて、なのに思い出すと愛しい。そんな青春時代の恋の原作を読んでみた。

    可愛くて優等生の女の子×落ちこぼれのやんちゃな男の子。もうこの組み合わせだけで甘酸っぱい恋の予感しかしない。
    映画のチアイーとコートンに比べたら原作の二人は少しおとなしめだった気もする。だけど著者の自伝的小説ということもあって、とくにコートンの拗らせすぎてそれってかなり遠回りしてるよね、ってつい思わずにいられなかったチアイーへの気持ちや、なぜにそうなる!?って言動が丁寧に描かれていて映画よりも分かりやすかったかな。

    恋って「私が一番に好きになったからあなたは彼を好きになっちゃダメ」なんてことはなくて好きになった順番なんてものは関係ないけれど、「チャンスの神様には前髪しかない」という言葉があるように恋を実らせるにはタイミングってものはあるよね。
    お互いに好意を持ってるはずなのに想いはすれ違ってばかり……なんでだろうと不思議に思うこともある。
    この二人もコートンがいざとなると臆病だったりして、重なるはずだった「好き」って気持ちが少しずつズレていったように思う。もしあの時、チアイーの気持ちを聞いていたら……

    恋は絆へと形を変えて。
    「あの頃、君を追いかけた」
    振り返れば、そこにはいつも笑顔の君がいる。
    そう思えるコートンはやっぱり素敵な恋をしたんだね。

    • 地球っこさん
      aoiさん こんばんは~

      そうです、そうです。
      台湾はどこか雰囲気が近いものがあるので、想像しやすいと思いますよ。
      ぜひ~
      aoiさん こんばんは~

      そうです、そうです。
      台湾はどこか雰囲気が近いものがあるので、想像しやすいと思いますよ。
      ぜひ~
      2023/09/16
    • マリモさん
      地球っこさん
      こんばんは!おお〜、こちらも読まれたのですね!!
      タラレバ言っても仕方ないけど、この二人は本当にタラレバだらけですよね^^; ...
      地球っこさん
      こんばんは!おお〜、こちらも読まれたのですね!!
      タラレバ言っても仕方ないけど、この二人は本当にタラレバだらけですよね^^; コートンにあとほんの少しの勇気があれば…。
      特に学生時代の恋って、タイミングが大事なんだよなぁと思いました。
      私は今でも時々、思い出したように映画の主題歌とPVを観ては、二人の世界に耽ってしまいます。笑
      2023/09/17
    • 地球っこさん
      マリモさん おはようございま~す!

      やっぱり映画は音楽や映像や俳優さんの演技やらで、ぐわぁと盛り上がりますね。
      原作には、あのいくつものと...
      マリモさん おはようございま~す!

      やっぱり映画は音楽や映像や俳優さんの演技やらで、ぐわぁと盛り上がりますね。
      原作には、あのいくつものときめきシーンが全然なくて、
      小説は映画に比べるとおとなしめのエピソードだったかな。
      でも二人の心理的なものはよくわかって読んでよかったです。ありがとうございます!

      私はこの小説を読んでから、野球部の男の子に片思いしてた青春時代を思い出して、知らぬ間に「タッチ」を口ずさんでる今日この頃です 笑
      2023/09/18
  • 数年前、日本版の映画が公開されていたが、こちらは観ておらず、私の中ではもっぱら台湾版のイメージだ。
    原作である本作は、台湾で人気作家の九把刀(英語名ギデンズ・コー)の自伝的小説。ちなみに、ギデンズ・コー自ら、台湾版映画の監督もしている。

    クラスの問題児コートンが、優等生のチアイーの前の席に座らされ、最初は口うるさいチアイーに反発するのだけど、恋をしてからめちゃくちゃ勉強を頑張るようになる。次第にチアイーもコートンを意識するようになり、本当は思い合っているのに伝えられず、大学のときのある出来事がきっかけで、喧嘩別れしてしまう。

    コートンは、自信過剰で自惚れ屋なのだけど、肝心なところでヘタレさ全開で一歩を踏み出す勇気が持てない。ツンデレなチアイーが「本当に私のこと好き?本当の私のことわかってる?」と不安になるのもさもありなん、二人はなかなか距離を詰めきれない。もどかしくて甘酸っぱく、切なくてほろ苦い。

    もうね、この台湾版の映画がすごく好きで。主演をつとめた二人の初々しさが半端ないのですよ。主演女優のミシェル・チェンは、当時20代後半だったらしいけど、高校生役が全く違和感なく、笑顔がめちゃくちゃ可愛い。コートンでなくても惚れる。
    舞台は台湾だし、こんな長い片思いをしたことはないのに、全編通して、とてもノスタルジックな気持ちになる。一時期、主題歌をリピートしながら物思いに耽っていた。

    そんなわけで、ようやく今になって原作を読んでみたのだけど、自伝的小説だからか、色々と出てくる友達の位置付けと名前がわかりにくく、イベントもあれこれとっちらかった印象。小説と映画はけっこう違っていた。
    小説では中高一貫校の中学から始まり、チアイーを好きになった後に、他の女子も好きになってこちらも長いこと追いかけたりする。高校はクラスが違うし、大学の平渓デートもない。コートンのケンカ大会を「幼稚!」と言って喧嘩になるのも電話だった。
    卒業のあと、コートンとチアイーを含む仲間たちで海に遊びに行くシーン(DVDのカバーにもなっている)、二人の唯一のデートらしいデートで、天燈をふわーっと上げるシーンが映画ではとても印象的なのだけど、これらは映画オリジナルのようだ。

    でも、映画よりも小説では、チアイーの気持ちがより多く語られている(記憶では、映画中のチアイーはここまで言ってなかった気がする)。

    「まさかいっつも私と結婚したいって言ってた人が、ちょっとした失敗で立ち直れなくなって、二言三言文句言われただけで諦めて、数日後には他の女の子と付き合ってるなんて、誰が思う?私のことを好きだったことなんて、まるで嘘だったみたい」

    「あなたが彼女と付き合ってからも、まだあなたは私のことが好きなんだから、遅かれ早かれその子と別れて、私とあなたはこんどこそ名実ともに付き合うんだって思ってた。でも待っても、ずっと待ってても、あなたたちはずっと仲良くて、とっても羨ましくなっちゃったんだけど、どうしようもないよね」

    チアイーの後悔の滲み出たこの言葉には刺さるなぁ。チアイーからは「二言三言文句」でも、コートンにとっては自分の生き様そのものの否定で、チアイーとは決定的に相容れないと絶望するような出来事で。二人とも本当にずっとすれ違ってたんだよね…。
    チアイーは、たぶんずっとコートンが好きだったんだろうけれど、この時素直な気持ちをコートンに話したことで、もしかしたら吹っ切れたのかもしれないなぁと思った。

    「乾杯、俺たちの青春」

    こんな風に祝福できるコートンも、こんな風に想ってもらえるチアイーも、みんな大好きだった。あー、また映画が観たい!

    • マリモさん
      地球っこさん
      こんばんはー!

      早速観てくださってありがとうございます!
      主題歌の『那些年』(YouTubeの上の方に出てくるやつです!)が...
      地球っこさん
      こんばんはー!

      早速観てくださってありがとうございます!
      主題歌の『那些年』(YouTubeの上の方に出てくるやつです!)が、映画のダイジェストっぽくてとてもいいのですよー。過去と現在が交錯していき、青春を思い出してしんみりしてしまいます…(自分はこんな青春ではなかったのに!?)
      天燈に書いたチアイーの言葉が、最後の最後になってわかるところ、最初に観た時は、もうキューンとしちゃいました♡笑 

      私も、チアイーがポニーテールにして、男子sがぽーっとなって目で追う場面、みんなで罰を受けて泣き笑いの場面、とても好きです。みんなで罰を受けたあの日から、優等生然としていたチアイーとの関係性も変わっていくんですよね。
      あと、チアイーが後ろの席からボールペンでつんつん突くときのちょっと得意げな(?)笑顔も可愛くて。

      作者の九把刀は、インターネット小説の先駆け的な存在なのですよ。日本文化の影響もすごく受けていて、スラムダンクとか読んでいる世代です。

      台湾映画だと、"不能説的秘密"(言えない秘密)も台湾的な風景が美しく、ストーリーも切なくて良いです。舞台は台湾の淡水です。
      台湾のスーパースター、ジェイ・チョウ(周杰倫)が、監督や脚本や主演やら全部つとめていて、超絶技巧のピアノが見どころ!
      って、知った風に言ってますが、台湾映画はほぼこの二作しか知りません!笑
      2023/07/19
    • 地球っこさん
      マリモさん おはようございまーす!

      そうそうこの曲、いいですね!
      こうやって映像で観ると、またぐっと胸にきますね。
      あの教室で机にうつぶせ...
      マリモさん おはようございまーす!

      そうそうこの曲、いいですね!
      こうやって映像で観ると、またぐっと胸にきますね。
      あの教室で机にうつぶせになりながら、つい気になる人を見てしまう……、ああ、やりました、やりました。
      青春ってほろ苦いから、いいのでしょうかね。

      ボールペンでつつくのね、直接ポンポン背中を叩かないところがね、いいですよね。

      作者さん、セリフとかから日本文化の影響を受けてるのわかりましたよ~
      台湾映画って、中国とか韓国のものよりも親近感というか、なんというか共通するノスタルジーを感じますね。
      こんな青春時代を送ったわけじゃないけど、でも知ってる、この感じ〰️って。

      「不能説的秘密」もぜひとも観てみたいです。
      今は配信されていないようなので、チェックしておきます!
      2023/07/20
    • マリモさん
      地球っこさん
      おはようございます!
      台湾とは何となく感覚的にも近いものがあるのでしょうね。最後に行ってからは10年くらい経つのでだいぶ変わっ...
      地球っこさん
      おはようございます!
      台湾とは何となく感覚的にも近いものがあるのでしょうね。最後に行ってからは10年くらい経つのでだいぶ変わっているかもしれません。

      不能説的秘密も、音楽学校が舞台の青春映画なのですが、雰囲気はだいぶ違いますね。ピアノと時がキーになります〜。
      2023/07/20
  • 「青春」の化身との物語。

    沈佳儀の大人っぽさ、関わってみて初めてわかる幼さ。
    そのギャップにズブズブとはまってしまう作者の気持ちに両手を上げて賛同してしまった。

    おちゃらけて何も考えていないように見えるが要所要所で出てくる作者の優しさ、そしてなにより8年間本気で彼女のことを考えた愛情深さ。
    ハッピーエンドであるかどうかは一概には言えないが、この青春時代が人生の中で最も幸せな時間の一つになったことは間違いない。

    学生時代の8年間を捧げた相手に対して
    「結婚おめでとう 俺の青春」
    と言えるだろうか。
    確かに自分は作品とは程遠い学生時代を送ったが、未来の自分に「よくやった」と褒めてもらえるような恋をしようと思った。

    そして最後に、よくぞ齋藤飛鳥を選んでくれた。

  • 中二夏、読了。
     台湾の青春小説の翻訳版。
     女子は男子よりも早く心が大人になって、男子の言動を幼稚だと思って見ている。そのことに男子は気づくことはない。
     読後、とても切なくなりました。また再読したい。

  • もう何回も読み返してる大好きなお話
    実話だからこそのリアルさ、切ないけれど素敵な終わり方。本当に素敵

  • 大人になってから青春時代を思い出して、「楽しかったなぁ」と思えるように、いろいろなことを経験して、失敗もして、過ごそうと思いました!

  • 最近「僕」と「君」を多用した陳腐なラブストーリーが頻発していて辟易している。
    感覚では「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」あたりからか。
    それで本書が気になりつつも手に取っていなかったのだが、最近知人にすすめられて読んでみた。

    原作は台湾の小説で、現地で2011年に映画化もされている。
    本書は翻訳版で、日本でも2018年に映画がリメイクされた。

    著者はネット小説家だそうで、日本でもそうだが、ネット小説はエンターテイメント寄りで、文芸的な美しさはあまり得意ではない様子。
    とっつきやすさが人気につながるのだろうけれど。

    ストーリーはクラスのマドンナ的な女の子を中学のころから大人になるまで追いかける話。
    自伝というか日記というか、人によってはただの思い出話を聞かされているように感じるかもしれない。
    なんだか自分に酔っているような書き方だ。
    というのもこの作品、著者の実話だそう。
    だから途中で他の女の子を好きになったり、かと思えばその子が突然退場したり、物語としてはあちこちとっちらかっている所も多い。
    登場人物にも物語上不必要なキャラが何人かいるし、主人公が突然ケンカを始めるところなんて意味が分からなかった。
    でも、著者つまり主人公であるコーチントンがその時に感じていたことはとてもリアルで熱を持っている。

    作文でも論文でも就活の志望動機でも、書いた人間がどれだけ本気かというのはあまり上手な文章ではなくてもなんとなくわかるものだ。
    本書は小説としてはそれほど出来のいいものではないが、コーチントンがどれだけシェンチアイーのことを好きだったのかというのはよく伝わってくる。
    その熱が読み手の甘酸っぱい出来事を思い起こさせるのではないだろうか。
    想いだけでこれだけ人を引き付けるのは結構すごいことだ。

    ただ、想いだけでは上手くいかないこともある。
    この類の作品に出合うといつも思い出すのがマンガ『いちご100%』の作者のあとがき。
    「お互い好きあってても事情やタイミングなんかで……」
    いろんな意味で昔懐かしい気持ちになった。


    さて、小説は星を付けるなら☆3くらいなのだが、映画が面白いのでぜひ見てほしい。
    私も知人に映画の方もすすめられ、小説を読んだ後に台湾のオリジナル版を見るか日本のリメイク版を見るか悩んだのだが、あまり期待せずに主演の齋藤飛鳥を見て終わろうと日本版にした。
    アイドル女優だから……と思っていたら彼女の演技もそんなに悪くなかったし、なによりめちゃめちゃかわいい。
    そしてコーチントン役の山田祐貴がうまい。
    ところどころのギャグは好き嫌いがあるかもしれないが私は笑ったし、テンポもよかった。

    今の日本でラブストーリーをやらせると甘すぎて吐きそうになるようなイチャイチャシーンが出てきたり、終盤でヒロインを走って追いかける主人公みたいなかっこ悪いシーンが積み重なりがちだ。
    しかし、リメイク版は割と原作に忠実で、しかもストーリー的に甘くなりすぎることがないので、落ち着いて見ることができた。

    ラストは原作にはない演出もあったが、小説ではできない映像ならではの盛り上げ方だったと思う。
    まさか男同士のキスで泣くとは思わなかった。

    小説を読んでいたから映画に入りこめたというところもあるかもしれないが、作品総体としては面白かった印象の方が強い。
    すすめてくれた知人には感謝。

  • 原作→実写
    原作良き、登場人物が中国?の名前だからあだ名をつけて読了
    少し自分と被る感情があり、親近感が湧いた

  • 日本版映画で齋藤飛鳥出演してたから読んだ本。だったが、、、原作読んで良かった。

    濃い密度の、青春。。

    シュンチーアイ、、、、、
    パラレルワールドって信じてる???

  • 柯景騰(コーチントン)/柯騰(コートン)
    ギャグ漫画は超一級、勉強は苦手な悪ガキ。現在は小説家。

    沈佳儀(シュンチアイー)
    クラス一番の優等生で、大人っぽい気品あふれる美少女。みんなの憧れ的存在。

    鄭孟修(チョンモウシウ)
    中学時代の柯景勝の親友。あだ名は“怪獣”。家は金持ちだが何かと鈍感。

    謝明和(シエミンハ)/阿和(アハ)
    小学校以来の柯景騰の友人。 博学で話題豊富。 沈佳儀に惚れている。スイカのようなポッチャリ体型。

    許志彰(シュージージャン)
    柯景騰のクラスメイトで悪ガキ仲間。運動神経は悪い。

    許博淳(シューボーチュン)
    頭がでかくて口下手。 仲間内で唯一、沈佳儀に惚れていない。

    廖英宏(リャオインホン)
    背が高くて成績優秀。 ただしユーモアセンスにもキレあり。

    李小華(リーシャオホア)
    中三の時、柯景騰が恋した同級生。 他の仲間と別れ、女子高に進学する。


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