宝石の国(9)特装版 (プレミアムKC)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 149
感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・マンガ (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065131022

作品紹介・あらすじ

全ページ新規描き下ろしミニ画集付き特装版! ・紙のセレクトから、装丁、ページ構成、本文デザインに至るまで、すべて作者本人が手がけたものに。

感想・レビュー・書評

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  • "「私は本来隷属する方が得意だ よろしく頼む」
    「隷属じゃなくて対等ね……」
    「努力する
    君たちの前で 指導者らしく振る舞うのが何より難しかった
    常に眉間にしわを寄せていなくてはならなかった」"[p.83]

    うわああああ……。
    それでも始終しかめつらだったカンゴームが好きだったという思いと、でも確かにカンゴームと確実に頭を返せなくなったフォスとの関係ってお互い自身がどうこうというより遺物に縋って成った関係だったのかもなという思いと、でも王子の真意が読めなさすぎておまけに自我を取り戻すといいつつひどく女性的に扱っていて怖いという思い。
    だって最後に容赦なく砕かれたそれ、ラピスの頭なんだぜ……

    月に行く直前や着いた時点でグダッてて大丈夫かフォス……という気持ちが始終付きまとう。今まで怪しい……と思っていた先生がなんだかすっと肯定的に見れるようになるとともに、今まで主人公だったフォスに対して懐疑的な視線を向けそうになる。
    エクメアの真意が読めなさすぎてあの頃のカンゴームが良かったと唸ってしまう。
    ただただゴーストに言われたから、とだけでは捉え難いあの頃のカンゴームとフォスのやりとりが消えてしまったのがなんともいえないし、あの頃のカンゴームがカンゴーム本来のものではなかった、というのならそんな状態を好ましく読んでいたのか……という鬱々した思いにもなる。
    今までずっと眉顰めてた?眉顰めてないシーンもあった?確認のために読み返したいような読み返したところでさらにトドメを刺されそうな……
    ただエクメアの接し方もなんだかなぁ……君の自我を、という割には女性的に扱って女性らしくさせることに固執してるように見えるのがなぁ……
    アンタークは還らないし、失くしたフォスの欠けらも戻らない。そこに対してフォスが何を思ったのかその感情をみせる言葉がなかったのが少し怖いような。
    フォスが明確に先生側の宝石たちと敵対する存在と捉えられたその時に、シンシャが他の宝石たちの輪に受け入れられるっていうのが……もうなんというか……。
    フォスの異変にも気付けるセミに癒しを求め始めました。セミ助けて。

  • 宝石たちの月への移動、カンゴームの変化、金剛の告白、二派に別れた宝石たちの戦い。情報は次々開示されるけれど、月人・エクメアの底はまだ知れない。それぞれの立場と関係性が大きく変わり、今巻も見所が多い。
    特装版の付録である画集『STATUE』も、絵はもちろんのこと、研究機関による宝石―鉱石生命体―の企画展示というコンセプトが面白い。

  • カンゴームは利用されてるだけってことはないと思うけど
    王子かわいそうなひと好きそうだし大丈夫かな、大丈夫だよね

  • ヤバイ先が全く読めない
    出たばっかなのに続きがめちゃ気になる

  • いや~待望の9巻ですね。
    私は特装版を購入しましたので、おまけの描き下ろし小画集のことも書いておきます。

    まず、小画集ですが、厚さは5ミリくらいかな?
    7巻に付いていたイラストブックと同じくらいのボリュームだと思います。
    中身は各宝石ちゃんたちの胸像のイラスト。
    美術館に展示されているというコンセプトで一番最後に作品の説明が書かれています(これも作者書き下ろし)
    描き下ろし以外に特筆することはないかな…。

    さて本編ですが、8巻の展開が衝撃的すぎて感想を書けていないことに気付きました…。余裕があれば後から書きます。
    今回、発売前にTwitterで展開が衝撃的すぎる、というツイートを見かけてドキドキしていました。
    Twitter上で見かける他の方の感想も「地獄…」みたいなものが多かったのですが、私はそんなに落ち込みませんでした。
    これはつまりカンゴームの人間性もとい宝石性の大きな変化を指すわけですが、主人公であるフォスフォフィライトは腕を失い、足を失い、今では頭も別物になってしまっています。
    主人公がこれだけ変わり果てているのにカンゴームの性格が変わったぐらいではもうビビりません。

    カンゴームはずっと「こうあるべき」というものに縛られて窮屈な思いをしていたところ、エクメアに初めて素の自分を認めてもらったことで、その本当の自分を解放することができたのだと思います。
    思い返すと他にも宝石ちゃんたちはそれぞれ悩みを抱えていました。その悩みの解決や答えを探すためにフォスに付いて月へ行った者もいます。
    慣れ親しんだ土地、環境、人間関係から離れて初めて自分の個を見つめ、ヒントや答えを得たり、考え方や価値観に影響を受けることで、変化する宝石ちゃんはこれからどんどん増えるのではないかと思います。
    一方、仲間を失ったことにより、残された者にも変化が生まれました。
    先生自身も、先生と宝石ちゃんたちの関係も、一人ひとりも。
    こちらも仲間を失い、以前はそれらがやってくれていた役割を誰か代わりにやらねばならなくなる、もしくはユークの作戦どおり、無理に繕ってでもこれまでの生活を維持することをしていくわけですから、たとえ望まないとしても一人ひとりが変化を求められることになるのでしょう。
    最後パパラチアやフォスが偵察のために戻った際には、これまでは闘いに参加してこなかったシンシャが闘いに加わっています。

    アンタークを失った時、朝焼けを見ながらフォスは変化が怖いと泣いていました(よね?)
    けれど今は誰よりもすべてに変化を望んでいる。
    彼の変化に比べればカンゴームの変化など取るに取らないものかもしれません。
    カンゴームがフォスを砕いたのは何か意味があるでしょうか。自分をアンタークの代役に縛りつけていたことへの恨みでしょうか。それとも単に八つ当たりでしょうか。
    彼にとってはきっと先生のことも月人の今後も闘いの行く末も、もうどうでもいいことのように思えます。

    当初、物語の進み方がゆっくり過ぎる、というようなことを感想に書いていましたが、現在、かなりのスピードで展開しています。
    しかしここにきても果たしてどのような結末を迎えるのかさっぱりわかりません。
    月人は救われるのか、宝石ちゃんは戻ってくるのか、先生は直るのか?たとえばハッピーエンドなのかバッドエンドなのか?
    しかしそれらを一概に「happy」だとか「bad」だとか決めることができるのでしょうか。
    誰かにとっての善は別の誰かにとって悪であるかもしれず、誰しもが幸せになる結末は現実世界においても物語の世界においても存在しないといっても良いでしょう。
    誰もが失ったものを取り戻し、欲しているのに手に入らないものを得られるよう願っています。

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著者プロフィール

投稿作『虫と歌』でアフタヌーン2006年夏の四季大賞受賞後、『星の恋人』でデビュー。初の作品集『虫と歌 市川春子作品集』が第14回手塚治虫文化賞 新生賞受賞。2作目の『25時のバカンス 市川春子作品集 2』がマンガ大賞2012の5位に選ばれる。両作品ともに、市川氏本人が単行本の装丁を手がけている。

「2022年 『宝石の国(12)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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