- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065131152
作品紹介・あらすじ
無罪判決、続出中! 多くの子育て中のママ、パパを襲う「冤罪」の悲劇の裏にひそむ「正義」の実態を解き明かす! 「揺さぶられっ子症候群」は、はたして「虐待」の根拠となりうるのか?
子育て世代をはじめ、すべての保護者たちに伝えます--。
ここ数年、「赤ちゃんを強く揺さぶって傷害を負わせた」として、親が逮捕されるというニュースが相次いでいます。こうした報道に触れるたび、『生まれて間もない我が子に手を上げるなんて、なんてひどい親なんだろう!』と怒りを覚えている人も多いのではないでしょうか。著者の柳原三佳氏も、メディアから流される「虐待」という言葉に、何の疑いもなく憤りを覚え、なぜこんなことが頻繁に起こるのだろうとやりきれなさを感じていた一人でした。
しかし、その考えは、当事者、つまり「虐待を疑われた親たち」への取材をきっかけに大きく変わったといいます。
日々の子育ては緊張の連続です。どれだけ気をつけていても、ほんの一瞬、目を離したすきに、つかまり立ちから転倒してしまったり、ベビーベッドから落ちてしまったり、そうした事故は防ぎきれません。しかし、そんな「不慮の事故」による子どものケガについて、脳の専門家の視点で調べることなく、自動的に「揺さぶられっ子症候群」だと判断し、「親による虐待」だとレッテルが貼られてしまう――こんな、でっちあげのような事件が立て続けに起きているのです。
最愛の我が子が脳に障害を負うという苦しみのなか、一方的に虐待を疑われ、子どもと引き離されてしまった親たちの過酷な体験をレポートしながら、医師だけでなく、法律家の見解も取り上げ、揺さぶられっ子症候群の現状と問題について考えます。
感想・レビュー・書評
-
中の人としては臨床所見からSBS疑いとすることは許容されても、まるで確定診断された(=激しく揺さぶった事実があった)かのように扱われるのが元凶の1つかと思いますし、診断を厳密に行う為にも病名は変えた方が良いと考えます。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/726121 -
326
-
主観的に虐待をしていないとしても
客観的に虐待をしていないとは限らない。
●●●
「虐待も冤罪もゼロに」と主張する著者は、刑法も、刑事訴訟法も、統計学(消費者危険と生産者危険の考え方)もわかっていない。例えば、死刑廃止論者の「冤罪の可能性」という主張について、きちんと考えてみてはどうか。
刑そのものを、形式的に、あるいは、実質的に廃止する以外に、冤罪をゼロにする方法はない。一方、刑を廃止して、虐待を防げるのか。
具体的な事例を不適切に抽象化し、妥当でない主張に結び付けている点は残念。 -
期せずしてか、SBS (乳幼児揺さぶられ症候群, Shaken Baby Syndrome)に関する本がほとんど同時に出た。「SBS:乳幼児揺さぶられ症候群-法廷と医療現場で今何が起こっているのか?(https://booklog.jp/item/1/4772416765)」と本書だ。
ごく単純化して言えば、本書はSBS診断に否定的な見解を持ち、前掲書はSBS診断の妥当性を主張する内容となっている。そのため、両者を比較検討することは最低限必要であると思う。わたし自身の感想としては、診断の妥当性については本書で論拠となっている文献はいずれも前掲書のなかで反論がなされており、それに対する再反論を待ちたいところだ。
例えば本書で海外の事例として紹介されているDuhaime論文、Bandak論文、Lloyd論文、Geddes論文、SBU報告書などはいずれも前掲書に登場しており、そのなかで反証がされている(論点が重なっている部分も多いので、やはり比較しながら読むのがよいと考えます)。
他方で本書は、SBSが疑われた事例について具体的に描写しており、そのなかで三兆候のみによる機械的な診断や、児童相談所の強制力を持った介入が家族を引き裂いてしまうなど、実際上の問題が指摘されている。この点に関してはSBS診断がもつ危険な一面を描いていて意義深い。
医学的な議論にせよ、法的、社会的な議論にせよ、立場を超えて前向きに進めてほしいものだが、双方読んでみて、両者の隔たりの大きさを感じた。
著者プロフィール
柳原三佳の作品





