私はあなたの瞳の林檎

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 202
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065132555

作品紹介・あらすじ

ずっと好きで仕方がない初恋の女の子。僕の告白はいつだって笑ってかわされる。でも、今好きなものを次なんて探せない!(表題作)いいものは分かる、けど作れない。凡人な美大生の私が、天才くんに恋しちゃった!(「ほにゃららサラダ」)僕が生きていることに価値はあるのだろうか。僕は楽しいけど他の人にとっては?(「僕が乗るべき遠くの列車」)思春期のあのころ誰もが直面した壁に、恋のパワーで挑む甘酸っぱすぎる作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 著者初読み。
    勝手な思い込みで、もっと回りくどくてエグい小説を書く人かと思っていたのだけど、装丁に惹かれて読んでみたらびっくりするほどストレートな文体でストレートな話だった。
    2話目が一番好き。
    対になると思われる作品の方も読みたい。

  • 小学生から中学生、高校生、大学生。10代のそれぞれの恋の話。

    『私はあなたの瞳の林檎』
    戸ヶ崎くんは同級生の林檎が好き。思春期真っ盛りの中学生の時もずっと人目をはばからずに林檎に視線を送り続けたし、林檎もずっとそれに応えることはなかった。
    戸ヶ崎くんが林檎を想い続けられた理由は、小学生のときの秘密の思い出と、小学生から中学生に上がる間の春休みに過ごした時間があったから。バイト先の藤井優さんのおかげで気持ちに在り方に気づき、戸ヶ崎くんと林檎は無事に付き合う。

    『ほにゃららサラダ』
    ほにゃらら、とはうんこのことで、ほにゃららサラダはうんこサラダのことだ。芸術家ぶって良い物を作れない奴らをバカにした造語で、高槻くんが好んで使う言葉。松原はそんな高槻くんが大好き。美大生の恋。
    高槻くんと付き合うようになれた松原だったが、高槻くんと自分との才能の差に悩む毎日。何度か光が見えそうな瞬間が来るけど、自分を上回る作品を作り出す高槻くんがに対して気持ちが変化していく。

    『僕が乗るべき遠くの列車』
    祐介は色んなものに対して意味がないと思っていた。たとえば自分が中学で違うクラスになっていても、同じように楽しかっただろうし、たとえばいま自分が死んでしまっても後悔はないような、そんな達観した態度で生活していた。
    それを同じクラスの鴨ちゃんに見破られて、すこし恥ずかしいような気持ちにもなったが、そのおかげで夏央と交流を深めることができた。中学生の短い恋愛。
    大学生になった祐介は鴨ちゃんに告白され、夏央の死を知る。そこで思い知らされる、鴨ちゃんの想いと生きていることの意味。

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    3つの短編すべてが素敵な恋の話だった。
    『私はあなたの瞳の林檎』と『僕が乗るべき遠くの列車』に共通する、好きなのに会話をしなくなってしまう(できなくなってしまう)期間って本当に何なのかわからないけど、十代の恋愛あるあるなんだろうな。
    『ほにゃららサラダ』はレベルの高い美大生の話で、ちょうど漫画『惰性67%』を読んでいた自分からすると色んな美大生がいるんだな、という感じだった。『惰性67%』の美大生たちはうんこサラダどころか、ただのうんこエロ学生たちだった(彼らは逆にそこが長所だ)。高槻くんは『ハチミツとクローバー』の森田さんとかはぐちゃんみたいな才能がある側の人間なんだなあ。いいなあ。

    違う種類の恋の話を3つ読んで色んな感情が生まれたけど結局は、10代の恋っていいなあと思う。

  • 表題作は、2012年の雑誌掲載時に読んでいた。わたしが舞城さんに出会った記念すべき短篇で、それまで読んだこともない感覚がして「ああ、こういうの好き!」とすごく嬉しくなったことをよく覚えている。今回、他の作品をいろいろと読んだあとで読み返してみると、あら意外に普通だった? でも、もろもろエッセンスは詰まっているから、初めて触れる人への磁力は推して知るべし。
    2編目『ほにゃららサラダ』もすごく好き。舞城さんの作品は登場人物が恋をしたり世界と闘ったりしながらも、学校の宿題とかをちゃんとやったり生活の中で地道に自分を律したり、そういう普通の小説だと省かれがちな長い時間が描かれていたり想像できたりするところが好きだしうまいと思うんだけど、これもそう。美大学生が主人公だと、それだけで独特の色がつきそうなところを、これはわりと普遍的な物語になっていて、それでいて美大生ならではのあれこれもきっちり描かれているところがさすがだと思った。会話もいいなあ。高槻くんの「行かいでか」(P112)に萌えた(笑)。
    それで、最後の書下ろし『僕が乗るべき遠くの列車』がまた圧巻だった。夢の場面。なぜだか『好き好き大好き』に出て来るニオモの世界とか、ドリルホールとかいろいろ思い出されて、わたしは基本的にファンタジー苦手なんだけど、舞城作品のファンタジー成分はだいじょうぶ、というか、胸が疼き憧れさえ感じてしまうのはなぜなんだろう。これは何度も読み返すことになりそう。
    で、興奮冷めやらぬまま、思わず『林檎』に戻ってもう一度読んでしまったんだけど、そしたら、コンビニの店長のおじさんの場面で泣きそうになった。電車の中で。この子のお母さんもそうだけど、子どもを見守るってこういうことだよね。こういうおじさんに私もなりたい。
    あと、気づいた点と言うか、三作品とも主人公に対して、恋愛対象?になりそうな相手がふたりずつ出てくる。

  • 表紙は、高橋源一郎さんの「銀河鉄道の彼方に」をどこか思い出させるような感じで素敵。
    内容 設定はいいと思うが、評価には個人差があると思う。
    ただ、感情の表現(高揚感等)はかなり上手。

  • 舞城王太郎新PJ発動の1冊目~「私はあなたの瞳の林檎」僕・戸ヶ崎直紀は鹿野林檎のことが好きだ。小学校卒業の日に、春休み中遊ぼうと言われて調布からあちこちに出掛け、最終日は待ち合わせのコンビニに現れず、それきりになった。高校に入ってイタリアンでバイトを始め、同級生の姉に付き合おうと言われて林檎に相談したらうまく行けば良いと言われながらも、返事を躊躇しつつ、林檎に交際を申し込むと、すんなり受け容れられた。「ほにゃららサラダ」私・松原は美大の1年生で、同級生の高槻君はあちこちから注目される才能を持っているらしいので、何とか話す機会を狙っている。文藝科の髙橋君に繋いでもらって、話をしてみると、高槻君は美大生のみんながやっているのはうんこサラダと言い放つ。大人にも評価されるセッションに参加して、テーブルを隅に寄せている様を写真に撮りたいのに脚立がないというと、周りにいるおじさん達が人間ピラミッドを作り、女の子なら乗せられると、乗せられると面白い体験ができた。その後、高槻君とはセックスをする仲になったが普通のデートがないと不満を持っている。年末に田舎の福井に帰り、十字架を作って、吹き溜まりに立てて、写真を撮りまくって、高槻君らに見せると魂胆を見透かされたが、髙橋君は私の写真に触発されて小説を書き上げたと言われ、少し自信が持てた。「僕が乗るべき遠くへの列車」15歳になる前に死ぬんだろうと思った僕・倉本のことを菊池鴨はお見通しで、尊敬してしまう。そんな僕に近づいてきたのは鵜飼夏央で、図書室の自習室前の薄暗い廊下でチュウを求められた。夢の仲で夏央と不思議な電車に乗って遠くへ行くらしいが、勾配がきつくなり、前から順に屋根が吹き飛んで、僕は死ぬらしい。入浴k中にお父さんが脱衣室に入ってくるのが嫌だと夢の中で夏央は言う。高校を卒業して大学に入っても時々夏央と会って飲むが、大学二年の夏の夜中2時半に菊池鴨から突然、電話が掛かってきて、いきなり付き合おうと言われ、夏央が交通事故で死んだと教えられた。大人になるまで交際を控えようと思っていたのだと、鴨は言い、僕の隣には鴨がいる~この恋シリーズは読みやすいね。芥川の候補になって、賞が取れるように作風を変えようとしているらしいが、デビュー直後の作品が消えてなくなるわけじゃないから、辛いかもね。次のテーマは家族っと

  • 私はあなたの瞳の林檎
    ほにゃららサラダ
    ◎僕が乗るべき遠くの列車
    小学校高学年から中学生くらいに読んでたら何回も読み直す本になっていたと思う。
    深いテーマを扱いながらも読みやすいエンタメ仕上がり

  • 阿部共実みたいな世界観。
    YAっぽい感じでスラスラ読めて面白かった。
    いちばん好きなのは表題作「私はあなたの瞳の林檎」。
    大切だけど、好きだけど、なんだか恋人とか付き合うとかそういうんじゃなくてみたいな微妙な関係…青春だなぁ。でもやっぱり好きみたいなね。

  • 私にはKraftwerk・駕籠真太郎・舞城王太郎という生涯追いかけ続られる相手がいて幸せだ。

  • ほにゃららサラダ面白い。

  • 昔『煙か土か食い物』に衝撃を受けて、暫く追いかけてたんだけど、『好き好き大好き超愛してる』あたりからあんまり面白いと思わなくなって読まなくなり、もう何年?一時期は芥川賞の候補にもなってたけど、この頃はそういう話も聞かないし、それでいて今も書き続けているってことは何かしら変わったのかもね、と思って読んでみた。
    書いてる内容は随分変わったな、という印象。昔はこういう普通の青春小説みたいな設定自体なかったと思う。
    しかし独特の捻りは健在で、あからさまでない分上手さが感じられた。
    特に美大生の葛藤を描いた「ほにゃららサラダ」が良かった。表題作と三番目も良かったけど、どうしてもさ、こういう話、一定以上のルックスの人たちだから成り立つ設定という気がして。林檎がブスだったら、同じ身の上でも成り立たない話のような気がして。ごめんね、根性悪くて。
    でも三番目の主人公の考え方は共感した。こういう風に考える人って少数派だけど必ずいると思う。
    ちょっと哲学っぽい話でもあった。
    久し振りの舞城王太郎は結構良かった。

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著者プロフィール

1973年、福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞しデビュー。03年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『淵の王』『深夜百太郎』『私はあなたの瞳の林檎』など著書多数。12年には『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦著)の25周年に際して『JORGE JOESTAR』を刊行。近年は小説に留まらず、『バイオーグ・トリニティ』(漫画・大暮維人)の原作、『月夜のグルメ』(漫画・奥西チエ)の原案、トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』の翻訳ほか、短編映画『BREAK』や長編アニメ『龍の歯医者』の脚本、短編アニメ『ハンマーヘッド』の原案、脚本、監督などをつとめている。

「2018年 『されど私の可愛い檸檬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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