雑賀のいくさ姫

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 115
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065132852

作品紹介・あらすじ

海の上なら、大逆転がある!

織田信長が畿内を席巻しはじめた戦国末期。
イスパニアのイダルゴ(騎士)の家系に生まれたジョアンは、内紛と難波のはてに、紀州雑賀のいくさ姫、鶴に拾われる。鶴はカラベル船を修復した「戦姫丸」に乗って商いのために南洋に向かうが、海賊や大大名の思惑、そして自らの過去に巻き込まれていく。
雑賀、村上、毛利、大友、島津――戦国の西国大名オールスター水軍が、日本を狙う大海賊と雌雄を決する一大海戦を描く、歴史海洋小説の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 時代小説ですが、読みやすく楽しめました。
    最初は、コメディなのかと思うような展開でしたが、徐々にシリアスさが増してきました。

    登場人物が皆個性的で、それぞれに、しっかりとバックグラウンドがあるので、海戦のシーンも読んでいてすごく熱く、手に汗握る想いでした。

    また、鶴と孫一、月麗と林鳳それぞれの情が、実に対照的で、印象に残りました。鶴とジョアンの少しずつ変わる主従(?)関係も、微笑ましいものがありました。あの終わりかたは、正直、やや爽快さに欠ける気もしましたが、これはこれでいいかもと思いました。

    生きたいように生きることに、美学があるのかどうか、正直、分かりませんが、サムライという言葉にグッとくる感じが、私の内にあるのは確かです。続編があってもおかしくない終わりかただったので、期待しております。

    そこでは、もうひとつのテーマであろう、鶴とジョアン本来の夢を叶えるための、大冒険となるでしょう。

  • 「村上海賊の娘」の“雑賀版”な感じの本書。

    強欲で乱暴だけど、仲間想いの“いくさ姫”・鶴。ナウシカのように凛とした、島津の巴。普段は眠そうなのに鉄砲の名手・蛍。そして、敵対する海賊メンバーの月麗など、女性達の活躍が目を惹きます。
    明国大海賊との海戦シーンは手に汗握り、不利な状況の中でも、闘う日本連合軍の各々がカッコいいです。
    へなちょこだったジョアンも、徐々に成長していくのが微笑ましいです。
    個人的に、能天気な左近さんがなかなかいい味出ていたと思います。いい奴ですよね。

  • 雑賀衆の娘・鶴は遭難していた西洋の船を生存者一人も丸ごと乗っ取り、
    自分の船にしてしまい、南洋の国に出て商いをしようとしていた。
    時代は織田家が石山本願寺と戦っていて、
    その動向を伺っている諸国に
    島津家から、明国の大海賊船団と戦わなければ九州を乗っ取られるから
    協力してほしいと頼まれちゃう。

    雑賀、村上、大友、毛利、島津の西国大名オールスター水軍が大海賊と戦う
    海洋大戦もの。

    道化役の西洋の船に乗ってたジョアンが頼りない雰囲気で
    冒頭ではなんだかゆるゆるな歴史小説なんだなぁと思ってた。
    でも、ジョアンが案外成長するし、
    途中から島津家の巴姫も素敵だし、
    雑賀孫市もかっこいいので面白くなってきます。
    鶴の活躍も見事で、少女が活躍する時代物として
    楽しく読めます

  • 「村上海賊の娘」のスピンオフみたいで、おもしろかった。
    ところどころ繰り広げられる血みどろの戦闘シーンは好きじゃなかったけれど、まあ数ページなのでガマンできた。
    左近、ナイスキャラ!キライじゃない笑

  • 『村上海賊の娘』で出てきた村上水軍も出てるし、『破天の剣』の島津も出てくる。
    主人公の鶴はもちろんだけど、島津巴や月麗など女のキャラクターが活躍してるのがうれしい。

  • 【本文より】
     少女といった方がいい年頃に見える。
     黒い黒髪を後ろで束ね油なしの上着の膝の出たズボンのようなものを着ている。その手にはやや短い刀が鞘に納まったまま握られていた。
     よくよく見れば美しい少女だった。背丈はジョアンよりも頭ひとつ分ほど低いがよく整った顔立ちはこの国の人間としては彫りが深くどことなく、南国風の雰囲気を漂わせている。

  • 時は、戦国。明の海賊が九州を狙った。各國の水軍が総力を上げ対抗する。一大スペクトル!

    何か大きなことが起こった時、それぞれ思惑や因縁などがあると思うけれど、一旦それは脇に置いて、それぞれの長所を活かして目の前のことに向かわねばならんのですな。さもなくば、大きな波に飲み込まれる。

  • 自分たちの領土を守るために戦っていた時代に、西国大名が個々の思惑を超え、協力して、国を守るために戦おうとする。
    有名な水軍が勢ぞろいし、オールスターの華やかさ。
    戦国時代で、これだけ大規模な海戦をえがいた作品は、めずらしい気が。
    陸上との戦いとは違ったおもしろさがある。
    『村上海賊の娘』を思い出す。

  • 面白かった(^^)。だけど村上海賊の娘の方がもっとワクワクさせてくれた。

  • 面白い.登場人物がどれも漫画的でわあるが愛すべきキャラクターの持ち主ばかりである.涙を誘う場面もある.

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著者プロフィール

天野純希
1979年生まれ、愛知県名古屋市出身。愛知大学文学部史学科卒業後、2007年に「桃山ビート・トライブ」で第20回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2013年『破天の剣』で第19回中山義秀文学賞を受賞。近著に『雑賀のいくさ姫』『有楽斎の戦』『信長嫌い』『燕雀の夢』など。

「2023年 『猛き朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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