ハロー・ワールド

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 206
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065133088

作品紹介・あらすじ

インターネットの自由は、僕が守る

藤井太洋は諦めない。技術(テクノロジー)も、そして未来も。ーー宮内悠介          
現実の話なのにSFに見せかけてる不思議な構造。ーーひろゆき
現代人必読! 未来はまだまだ捨てたもんじゃない。ーー大森望

専門を持たない「何でも屋」エンジニアの文椎の武器は、ささやかなITテクニックと仕事仲間と正義感。郭瀬と汪の3人でチーム開発した、広告ブロッカーアプリ〈ブランケン〉が、突然インドネシア方面で爆発的に売れ出した。〈ブランケン〉だけが消せる広告は政府広報だ。東南アジアの島国で何が起こっているのか――。果たして彼らはとんでもない情報を掴んでしまった。文椎は、第二のエドワード・スノーデンなるか?

スケール、エッジ、ハートを兼ね備えた旗手による、静かで熱い革命小説

感想・レビュー・書評

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  • あまり日本では見ないプログラマー、ITの人が主人公のある程度のテクニカルなフィクションで楽しい。色々な社会問題、ブロックチェーン、暗号化されたメッセージングプラットフォーム、自動運転。ボヤッとはしているものの読んでいてかなり楽しかった。

  • 181209.書店でジャケ買い。
    前半は登場人物の名前も覚えにくく(脳内音声化出来にくく)、ありがちなスーパープログラマがささっとイメージを具体化してしまい、内容もイマイチ薄いかな、という印象でした。
    中盤のドローンあたりから、SF版世にも奇妙な物語か?となりましたが、
    後半から急に面白くなりました。
    インターネットやツィッターの心情、経緯、主人公の芯にあるものなど、急に血の通った物語になった感じです。
    仮想通貨のマイニングをサイコロ振りに例えたのは非常に分かりやすかったし、どこからがフィクションか分からないですが、仮想通貨乗っ取りの話は脅威を感じました。
    通貨インフレの影響や意味合いなど何も分かっておらず勉強になったし、とても面白いアイディアだと思った。
    作者自身、このネタをどう伝えたいかという事が原動力になっているのでは?と感じました。

  • 近未来、数年後のかなり近い未来を描いている。最後の話の国債とビットコインを絡める話とか、ビットコインを個人の儲けにしない、ユニバーサル・インカムにする的な話は難しく、たぶん3割ぐらいしか分かってない。

    なぜ楽しめたのだろう? 小学生の頃、友達の家の押入れで発見した家族計画の本。中学生の時、古本屋で見つけた横溝正史。高校生の時、夢中になって読んだ落合信彦。自分の年齢(あるいは知識、能力)よりちょっと歳上向けに書かれた本は、なぜか(分からない所が多くても)面白いと感じてしまう。これを【背伸び効果】と名付けよう。

  • なんとなく琴線に引っかかった作品なんだけど、かなりのヒットです。

    「ハロー・ワールド」から始まる、システム・エンジニア文椎の変革の数々。
    私は専門家ではないので、どういうレベルの話がされているのかは分からないけど、とりあえず専門知識に欠けていても楽しく読めます!

    最初は、文椎自身が作ったiPhoneのアプリが、突然インドネシアのとある地域で大量に売れたのは何故か、という怪現象を追っていく話だった。
    そこから見えてきたのは、デジタルツールに介入した政府による民衆の盗撮や監視の疑惑。
    そして実際に、文椎が現地から繋げたアプリを通すと誰かのウェブカメラが起動し、とある光景を映し出したのだった。

    自分が生み出したものから見えた世界にまで、彼が真摯に介入しようと、臆病ながらも進んでいく姿が格好いい。

    「行き先は特異点」で、今度は彼がドローンを持って現れるのだけど、ナビの位置情報が誤作動を起こす中、グーグル・セルフドライビングカーに追突されてしまう。
    なるほど。もしも、GPSに不具合が生じたら?
    いつか読んだ未来を語る本には、これからは情報戦争であり、衛星の略奪戦争が静かに起こると書いてあった。
    のどかなオレンジ農園に次々と「配送」されて来るamazonの箱。うわあ。面白い!

    「五色革命」「巨象の肩に乗って」「めぐみの雨が降る」と話が進む中で、明らかに世界と関わる文椎の存在が大きくなってゆく。
    ドローンや、Twitter、マストドン、仮想通貨と私でさえ知っている単語の使い方の壮大さたるや。

    個人としては自由であることを求めながら、集団としての規模が大きくなるほど、自由を制限しようとする動きが生じる。
    そんな制限を、個でありながら抗う術となり得るのが、電子情報の世界なのかもしれない。

    変革をもたらすだけでなく、文椎は「足るを知る」精神を持ち合わせているとも感じる。
    更なる自由を、幸福をと躍起になる若者に向けて、今足元にある世界が以前とは変わって良くなっていることを何度も伝える。
    それが、変革を求め続ける若者たちには物足りない言葉だと分かっていても。

    プログラミングって、魔法だ。
    世界の流れを創り出し、時には人を操るようなことまで出来るような気がする。
    ただし度を超えた魔法は、いずれ崩壊を招く。
    そんな中でラストシーンは、いかにも人、という感じがちゃんと出ていて、良かった。大満足。

  • 題材の選択が出来すぎな程にちょうど良すぎる。
    卑近でありながらも、こうも物語を作り上げられるのか。
    いつも思うけれど、書けそうで書けない物語を書く作家さん。

    作中で通して感じるのはフットワークの軽さとスピード感。
    電車の待ち時間でawsでサーバ用意してABテストするみたいなのとか、演出としても良い。
    在り方が啓蒙的にも感じる。
    腰の重さは駄目だよね、と。
    あとは社会に対して何かできることはあるのかという、焦燥感のようなものへの応答。
    自己啓発本とか読んだことないけれど、こんな気分になるのかも知れないなぁ。

  • SNSのライトサイドを行こうっ

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著者プロフィール

藤井太洋(ふじい たいよう)
1971年、鹿児島県奄美大島生まれの作家。国際基督教大学中退。ソフトウェア開発会社に勤務しながら小説を執筆し、2012年電子書籍『Gene Mapper』をセルフパブリッシングして話題になる。翌年、増補改訂版『Gene Mapper - full build-』を早川書房より刊行、単行本デビュー。2014年には『オービタル・クラウド』(早川書房)を発表、「ベストSF2014[国内篇]」1位、第46回星雲賞(日本部門)、そして第35回日本SF大賞を受賞。
2015年には日本SF作家クラブ第18代会長に就任している。2018年10月、新刊『ハロー・ワールド』を刊行。

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