コンテクスト・オブ・ザ・デッド (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 99
感想 : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065134351

作品紹介・あらすじ

編集者の須賀は作家と渋谷で打ち合わせ中、スクランブル交差点で女の子を襲うゾンビを目撃する。各地で変質暴動者=ゾンビの出現が相次ぐ中、火葬されたはずの文豪たちまで甦り始め…。デビュー10年目の極貧作家K、久しぶりに小説を発表した美人作家の桃咲カヲル、家族で北へ逃げる小説家志望の南雲晶、区の福祉事務所でゾンビ対策に追われるケースワーカーの新垣、ゾンビに噛まれてしまった女子高生の青崎希。この世界で生き残れるのは誰なのか!?

感想・レビュー・書評

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  • 羽田さんのイメージから、ゾンビものを連想しなかったので、衝撃で思わず手にとってしまった。ゾンビとは墓から出てくる生きる屍と思ってきたが、意図的に作り出すことのできるものだと、ここ最近のゾンビ事情からうかがえる。こういった世界があり得ないこともないのではないかと。ゾンビと上手く共存することが当たり前の世の中になったら…身近に感じて怖い。

  • 文学好きのひとにプレゼントなら芥川賞作家の羽田圭介さんが描く、現代の日本にゾンビが発生した中、なぜか火葬された文豪までもよみがえるというメタ構造のゾンビ文学『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』を。

  • 図書館にて。
    新型コロナが蔓延する現実の世界の中で、情報が隠蔽され理不尽な政策のせいで人災で悪い状況になっているとしか思えない状況、これは何かに似ていると気がついたのがゾンビ映画。
    もともとゾンビ映画は好きで何本か見ていたが、ステレオタイプの映画ほど当てはまる気がして笑える。
    ツイッターなどでも同じ意見が散見されたが、時間が経てば経つほどほんとそう思った。
    今までの現実ではとても考えられないようなことが起きているのに、わかったような顔をしてへらへらしてしまう人から始まる冒頭の部分、平気なフリをしてしまう感じは正に今。
    平気な顔をしているうちに本当に平気なような気持ちになってしまう、周囲もそうだからと安心してしまうところなど。
    しかしながら他のゾンビものとアプローチが違う点は、ゾンビにならない条件として思考を上げている点だ。
    自分の頭で、自分はどうするか考える。
    当たり前のようで、全然当たり前ではない。
    思考しないことが当たり前のようになっている昨今において、そのことに警鐘を鳴らすアイテムとしてゾンビを出してきたとしたら、それをコロナウィルスに置き換えることで今の現在進行形の状況がくっきり浮かび上がる。
    ただ、ウィルスは思考と関係なく襲いかかってくる。
    ゾンビのように感染者もわかりやすくない。
    この現実の結末はどうなるのだろう。

  • 初羽田。芥川賞受賞後第一作ということで、羽田さんなりの文学の在り方なんかが語られている…のかな?現代作家(特に若手)には耳に痛いことも描かれていたりで、これに明確な答えを出せないならば直ちに辞めた方が良いでしょう。一番記憶に残っているのは…文壇バーであの大文豪を見かけたところ。このシーンは興奮しましたね(^^ 彼の肉声が聞きたかったなぁ。星三つ半。

  • ひたすらゾンビ化していくばかりの物語。

    『コンテクスト〜』の意味は分かるけど、この長さを以てすると、展開が欲しかったなーと思う。

  • 世の中の文脈を汲み取ることへの風刺で突っ走った作品。考えてる風で、空気を読んだ、流された生き方じゃゾンビと変わらんだろと。言いたいことは面白かったけどちょっと強引な展開もあり。

  • 研修や集会の感想文を読んで研修の趣旨に沿った良い感想だ!と思った事がある。しかし似たような研修に出ていると『これ前に見たような気が?』と既視感に襲われる。
    研修の意図を汲み取って正解の感想を書く事が正しい事なのか、自分の心と頭に問いかけ感想を書くべきなのか・・・
    多数派は安全で少数派は危険 生物の本能とも呼べる何かに支配されている事の危険性に気がつかせてくれる小説です。


    突如ゾンビ発生!?ゾンビに噛まれた人はお約束通りゾンビになる!
    しかしゾンビパニックの一方普通の暮らしを送っている人達ががいたり、生活保護だの文藝賞のパーティだのと呑気な人達もいます。何人かの主人公達の視点に切り替わりながら物語は混沌とした方向に進んでいきます。

  • あなたはまだ生きていますか? 日本全土が騒然! 衝撃のゾンビ・サバイバル問題作! 

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著者プロフィール

1985年生まれ。2003年『黒冷水』で文藝賞を受賞しデビュー。「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞。『メタモルフォシス』『隠し事』『成功者K』『ポルシェ太郎』『滅私』他多数。

「2022年 『成功者K』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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